約40年前の昔、わたしが社会に出た頃には「男たるもの(昨今こんな言い回しも聴かなくなりました)財布に入れる現金は、年齢掛ける2千円を旨とするべし」と言われたのを覚えています。20歳なら6万円、50歳なら1万円札10枚は財布に入れとけというわけです。ビンボなわたしは、いくつになってもそのお小遣いの基準を達成できたことはありませんでした。
いつかはと思ってるうちに最近は、そもそも多額の現金を持ち歩くことがなくなってきました。いうまでもなく、キャッシュレス決済が普及して現金を使う機会が急激に減ってきたからです。
クレジットカードは昔からあって「わたしはカード主義なのだ」と言えば、寂しい懐事情を隠す言い訳になってました。しかし、最近は本当に、家出てから帰るまで現金を全く使わない日が増えてきました。コンビニや自販機の支払いはすべてpaypayやICOCAなどのプリペイド決済、本屋さんはじめいろんなお店でもクレジットカードのタッチ決済、カバンの底から財布を探す必要ないし、レジを通る時間も短くなります。実に便利。財布の中から現金が減らなくて余裕かましてるあいだに、銀行口座からお金がバンバン消えていってるわけです。
経済産業省の統計によると、日本の2022年のキャッシュレス率は金額ベースで36%だそうです。日本中で買い物に使われた金額の3分の1以上がキャッシュレスで決済されたわけです。この割合は世界的にみると非常に低くてですね、アメリカは47%、中国でも60%、韓国ではなんと94%。つまり韓国の人はほとんど現金なしで買い物しているわけで、これは国を挙げて電子決済経済を推進、構築してきた結果です。一方ドイツはなんと17.9%と極端に低い。これは意外な感じですが、理由としてドイツ人は借金を嫌う傾向があるとか。確かに後払いのクレジットカードは借金といえます。
1年ほど前やったか、デパートで買い物した際に、「新しいカードを作ってくれたら、今日の買い物を〇〇%値引きしますぜ」と言われて、そんなに安くなるのならと思ったところが、手続きにやたら手間がかかり途中で時間が無くなって「もおいい!やめる!」とキレて、買い物やめて帰ってきたことがありました。
そのデパートにしてみたら、一回割引して売り上げが減っても、のちのちうちの店でカード使ってくれればという思惑やったわけで、この種の囲い込み商法の横行はカードが蔓延る所以と言えます。
売る側は、簡単に買い物させるためカードを持たせたい。消費者は、安易に買い物してしまうカードは極力持たない方が賢い。このせめぎあいが今日も日本経済を支えているのです。知らんけど。
かくして気がつけばまったく使わないクレジットカードがどんどん増殖します。先日突然、期限の更新で新しいカードが郵送されてきて「そいやこんなカード持ってたんや」ということがあり、すぐに電話して解約しました。気付かずに何年も年会費を払い続けてるカードがほかにもあるかも知れません。これは一度ぢっくり確認したほうがよさそうです。
再来月には新しいお札が流通し始めます。日本ではまだまだ現金払いが3分の2を占めてます。この先キャッシュレス、どこまで進んでいくのでしょうか。