読んだ本のことの最近のブログ記事

ノストラダムスの思い出

| トラックバック(0)

 昨日、高校の同窓会に出席してまいりました。

 といっても同級生が多数集まり懐かしさに胸弾ませる、いわゆるところの同窓会ではなくて、地域支部のひとつとしての組織です。同じ高校を卒業したというだけの、年代もバラバラの集まりで、出席者の年齢層は私よりはるかに上で、私はほぼ最年少でした。知ってる人もほぼ皆無。ある知り合いから是非にと誘われて行ってはみたものの、なんだか不思議な集まりでした。しかしなんと高校時代の恩師がゲストではなくで同窓生の一人として来られており、この再会は嬉しかった。

20190601_233101901_iOS.jpg さて、先々週のエントリーで、現代人は超常現象を次々に科学的に解明し夢を奪うことで、キツネ・タヌキからも見放された嘆かわしい状況のことを書きました。NHKの幻解超常ファイルはじめ最近のテレビ番組は、数多の超常現象はUFOやメアリー・セレスト号、麦畑のミステリー・サークルも、妖精の写真も、ネッシーやツチノコでさえ、すべて物理的、常識的に説明できる事象または「ウソ」であったことを次々に解き明かしてきたのです。これはいかんと。

 そんなことを書いてるうちに書架の奥の方からこんな児童書を見つけました。小学生の頃におこづかいで買っていたシリーズです。当時の趣向がバレバレで気恥ずかしいですが同時に懐かしくもあります。

 そのうちの一冊「世界のなぞ世界のふしぎ」、この本には上記のネッシーはもちろん、メアリー・セレスト号なども謎を謎のままに掲載しており、科学的な解明など微塵もありません。これによって純真な少年の好奇心を大いに満たしてくれていたわけです。20190601_233302972_iOS.jpg

 中でも特に興味深い記事があります。いわゆるノストラダムスの予言のことが書かれているのですが、この本の出版は1971年。かの五島勉氏が著した「ノストラダムスの大予言」が祥伝社から発行され空前のノストラダムスブームが始まったのが1973年ですから、それ以前にもノストラダムスのことは児童書に登場するほどに知られていたことになります。ただ、この本では1999年の予言を「宇宙から侵略者がやって来るが、地球人がこれを防ぐ」と記載しており、ブームとなった「恐怖の大王による人類滅亡」とは違った解釈をしているのが面白い。

 ところで、その1999年の予言の記載の横に鉛筆で「40さい」と書き込みがあります。覚えていませんけど、もちろんわたしが書いたのでしょう。この年に自分が何歳になるかを数えることで、謎に対する興味を膨らましていたんやろけど、実は1999年、わたしは37歳でした。つまりは数え間違えていたわけで、幼いころから算数が苦手やったということをこんなところからも思い知らされます。ある意味、典型的文系人間として成長するその後の人生を暗示しているともいえ、予言のひとつの形であったと考えると、これ、当たってるやん。 

何もなければ

| コメント(0) | トラックバック(0)

 大型連休も最終日となりました。先週のエントリーで触れたように、この連休は旅行に出かけるでもなく、気の置けない仲間との宴会を中心として体調の維持・管理を図り、つまりは休養を中心としたリフレッシュに努めたことになります。

 それでも昨日は久しぶりにゴルフの練習場で少し身体を動かしたことで、今日は心地よい疲れとともに朝を迎えています。何もなければおそらくは練習に出かけることもなかったところ、職場の友人がゴルフを始めるというので「教えろ」という話になり、少しくお付き合いをした次第です。

20180505_135350360_iOS.jpg さて、この連休中に1冊の本を落手しました。なんと栄養学の専門書です。専門雑誌の連載記事をまとめたものやから専門書といっていいでしょう。連休中に会った友人から、所縁の権威ある先生が書かはったということで推奨とともにいただいたのです。パラパラと読み始めるとこれがなかなかにおもしろい。

 私は長年の不摂生がたたり、中性脂肪とコレステロールの値がいささか高く毎年の健康診断では必ずひっかかります。保健室で保健師さんに「おいコラ、死にたいのかおまえ」とやさしく指導されるとやはり少しは気になって、その後しばらくは塩分を控え、タマゴも控え、さらに脂っこいものもなるべく摂らないように努めます。毎日お昼ご飯はざるそば1枚なんて、立派なもんです。しかし、長続きせず気が付けばいつの間にか好きなものを好きなだけ食べる状態へとまい戻ってしまい、で1年経って健康診断でまた指導と。だって、世の美味しいものは脂肪と糖でできているんやからどうにも仕方がない。

 いただいた本、そんな食と栄養とに関する情報を綿密なエビデンスの基づいて整理しており、専門的ではありますがしろうとでも分かるように書いてくれてます。野菜は本当に摂った方がいいのか、タマゴは本当にコレステロール上げるのか、減塩は健康に効果あるのか、カルシウムの必要摂取量は、そもそも「〇〇食べ過ぎると健康に悪い」は本当にそう言い切れるのかといった栄養学の「考え方」を易しく説いています。知らなかった世界が広がります。読書の醍醐味というやつです。

 およそ人は自分が興味の無い分野には手を出しません。今回のご本にしても、本好きで乱読傾向の強い私とはいえ、何もなければおそらくは生涯手に取ることはなく、ご縁がなかったであろう領域であります。信頼している友人の勧奨あればこそ新しい世界が拓けたわけで、つまりは縁があったのです。こんなことはほかにも多々あるのであって、タイミング、きっかけ、人生の大部分はこの「縁」によって支配されているように思えます。

 せっかくの縁を大事にして、少しはココロを入れ替え不摂生解消、頑張ってみようかなっと。

蜜蜂と遠雷

| コメント(0) | トラックバック(0)

 読みました。

 恩田陸は好きな作家のひとりで、文庫になってるのんはほぼ全て読んでます。話のつじつまやストーリー構成よりも、作品全体のファンタジックな雰囲気が秀逸で、そっちの方が印象に残る作家さんです。名作の誉れ高い「夜のピクニック」がやっぱりいちばん好きでした、これまでは。そう、トップの座を今回の受賞作に譲ったというわけです。enrai.jpg

 今年の直木賞と本屋大賞ダブル受賞という快挙のベストセラーです。これは読んでおかねばなるまいと思って、文庫化前に買い込んで読み始めたところ、よかった。面白かった。すごい作品です。審査員さん、グッジョブ。

 クラシック音楽がモチーフです。ピアノコンクールを舞台にした、コンテスタント(コンクールの出場者のとこ)を描いた作品です。

 と書くと、登場する人物のいろんな人生やエピソードをふんだんに盛り込み、愛憎からめて人間模様を描いていく...というのがとおり相場です。確かにそんな要素もあるにはありますが、あくまでエピソードです。この小説の主人公は各コンテスタントによって演奏されるクラシック音楽そのものなのです。

 あらすじ言っちゃうと、

 「ピアノのコンクールがありました。予選、本選と選考は進みます。〇〇さんが優勝し、2位3位以下選考結果はごらんのとおりです。」

 以上、これだけです。ストーリーとしてはこれ以上書きようがない。

 もちろん登場人物の心理描写や、人物の描き方など、必要な要素は盛り込まれてますが、この長い小説の多くを占めるのは、演奏の描写です。演奏者の心理面も表現しながら、どんな音楽が表現されているか、演奏がどのように聴衆に伝わっているか、その詳細を超絶の文章でもって巧みに表現し、演奏の場面場面、コンクールの様子を劇的に綴っていきます。なんという筆力、すごいのひと言に尽きます。まるでページの中から玲瓏たるピアノの音が溢れ出てくるがごとく、鮮やかに読者に伝わってきます。

kenban.jpg それぞれの章ごとに、有名な曲のタイトルがつけられてます。はじめ「この章ではその曲がでてくるのかな」と思いましたが、さにあらず。関係ない。クラシックの曲名ですらない。「仁義なき戦いのテーマ」なんてのもあります。つまり、その場面のストーリーの展開を曲の雰囲気で暗示しているのです。なかなかうまい。

 わたしもピアノ曲は大好きなんで、作中に出てくる膨大な数の名曲のうち、よく知ってる曲、聞いたことある曲がたくさんあります。知らない曲をこの機会にチェックしてみるのもなかなか楽しめました。演奏の場面では、その曲のCDかけながら読んでみました。CD持ってなくても、昨今youtubeに行けばたいがいの曲は揃ってて、たちまち高音質で再生可能なのです。

 ほぼすべて、コンクール開催期間だけが舞台です。その間に出場者たちが、何を考え、それをどのように演奏で表現していくか。ただそれだけで物語が進んでいきます。劇的な展開があるわけではない、どんでん返しもなければ、納得のオチもない。それでいて読者はずんずん引き込まれて途中でやめられないのです。

 これが湊かなえの小説やったら、そろそろこのあたりで陰謀によって主人公が思わぬ怪我をするとか、あるいは出場者同士が恋に落ちたところ、実は一方が過去の恨みから復讐のチャンスをつけねらってて、コンクール本選のステージ上でその惨劇が繰り広げられる...火サスの台本かと見まごう、安っぽい展開となることでしょう。

 感動があとに残ります。それこそラフマニノフの長大なコンチェルトを聴き終えたかのような爽やかな感動が。読み進めて終わりに近づくにつれて、ああ、もう終わってしまうのか、残念、もっともっと読み続けていたい、と思える作品でした。

 脱帽です。

知的生活

| コメント(0) | トラックバック(0)

 渡部昇一氏の訃報が伝わりました。

 本業は英語学の学者さんでしたが、それよりも保守派の論客として長くわが国の論壇に君臨してきた人です。舌鋒鋭くあくまでブレない主張は、保守層には心強く響き、また共産党に代表される左翼暴力集団には目の敵にされ攻撃されてきました。

 わたしはというと、大学時代に読んだ「知的生活の方法」が渡部氏との出会いでありました。当時、氏の思想・主張などまったく知らず、本屋さんで何となく手に取って読み始めたところ、その示唆に富んだ内容に共感したことで名前を覚えたわけです。今も手許にあるその本パラパラめくってみると、いっぱい線が引いてあって熟読してた様子が知れます。20170422_050728147_iOS.jpg

 その後、メディアのいろんなシーンで見かけるにつれ、どうもこのオッサン、保守というよりもそうとう右寄りやなァと理解が進み、極めつけがあの石原慎太郎との共著「それでもNOと言える日本」でした。

 先発の「『NO』と言える日本」はバブル前の時代、日本が「沈まぬ太陽」として世界に君臨していた頃に世に出た、ソニーの盛田昭夫さんと石原の対談です。わが国の輝かしい発展を賞賛する内容でした。日本人は誇りを取り戻し、もっと自信をもっていいのだというその主張が世の働く世代の心に響きベストセラーとなりました。そして出版社が2匹目のドジョウを狙ったのがこの「それでも~」やったのです。こちらは盛田さん抜けて石原と渡部氏、そして軍事評論家の小川さんの対談ということで、当然ながら右翼的主張がドンチャンと展開され、読んでて辟易してしまいました。またその後「『NO』と言える日本への反論」なんて本も出たりで、どうもワケわからなくなります。3冊とも読みましたけど、出版社1冊目でやめときゃよかったね、と思ったもんです。

20170422_052122027_iOS.jpg ついでに言えば、石原は都知事時代の亡霊に取りつかれ、築地市場の移転問題で何やらヘタうったみたいで、結局今になって恥をかき晩節を汚しました。尖閣問題で中国を挑発し、その後の国際関係悪化を招き国益を損なったバチが当たったというべきでしょう。

 話それました。ともあれわたしにとって渡部氏は、知った当初の、しっかりと本を読む知的な生活とはこうあれと諭してくれた、それこそ知的な英語学者さんという印象から、中国を「シナ」と呼び敵対姿勢を募らせ、憲法改正を叫びややもすると戦前の軍国主義を礼賛するかのような論陣を張る、とんがった知識人という印象へと変わっていったわけです。

 その後も氏の信条は揺るがず、例の韓国の慰安婦問題に際しては先頭に立って朝日新聞の大失態を糾弾し、貶められた日本と日本人の名誉を取り戻すための活動を続けてきました。そしてとうとう朝日に対する訴訟におよび、市民約9,000人で1人当たり1万円の慰謝料と謝罪広告を求めて提訴しました。これは、まあムリ筋でしたけど、日本人のひとりとして気持ちはよく分かります。読んではないけど「朝日新聞と私の40年戦争」なんて本も書いてるそうですから、まあ半端やないです。

 主張はトンガり過ぎてて一般ピープルにはやや受入にくいところもあったし、わたしも氏の考えに無条件にくみするものではありませんが、あくまでぶれない主張の鋭さは素直にスゴイと思いました。何の根拠もなく国粋主義思想を叫ぶのではなく、学者ならではの理路整然とした論理構成により日本の素晴らしさを訴え、国民に元気を与えてきたことは確かです。

 国際関係、特に中国や朝鮮半島をめぐる東アジアの情勢が歴史上類をみない雰囲気に進みつつある現代社会に、氏の存在は大いに意味があったと思います。ご冥福をお祈りいたします。

騎士団長殺し

| コメント(0) | トラックバック(0)
 村上春樹の最新作「騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編、第2部 遷ろうメタファー編」先月の発売からおよそ1カ月経ちました。初版130万部刷っても余裕で売りつくすとか。発売時点でミリオンセラー確定なんて、出版不況の救世主的存在にして、じつにバケモンみたいな作家さんです。わたしは新作発売を待ちわびるほどのファンではありませんが、氏の作品はたいてい読んでます。
 
IMG_7929.jpg 誰かが「出版界のボジョレー・ヌーボー」とか書いてましたが、現今、発売日の発売時間にカウントダウンで大騒ぎできるような作家は村上春樹だけです。芸能界やスポーツ界、いろんな分野がそうですけど、文壇にもそんな存在がいるってことは、わたしみたいなお祭り大好きミーハーにとってはやはり喜ぶべきことであります。
 
 先週の連休前に、書店で山のように積み上げられているのをふと見かけて、とりあえず買ってしまいました。超絶ミーハーを自認する身としては避けて通れないところなのです。で、先週の連休、とくに出かける予定もなかったので夜更かしして一気読みしました。今日はその感想を綴りますので、ややネタバレ注意です。
 
 まあ、なんというか実に村上春樹してます。穴の中からとか壁を抜けたりとかで、異世界に行っちゃって通り抜けて無事に帰ってくるストーリーが得意な村上春樹ですが、今回もやっぱりそれがあります。というかクライマックスでそんな展開となります。不思議な村上ワールドここに極まれりという感じです。
 
 見方によってはファンタジー小説と言えなくもない。だって、現実ではありえない超自然的な出来事について、種明かしや説明が最後まで無く回収されずに残ってしまうのです。前々作「1Q84」でもそうやったけど、極めて現実的なストーリーの進行からいきなりファンタジックな展開に突入します。「えっ、え?」ってなります。主人公「私」の前に「イデア」である騎士団長が登場する場面が、この上なく唐突なのです。シリアスな恋愛ドラマにいきなりゴジラが出現するようなもんです。
 
 推理小説やミステリーよろしく細かなディテールや伏線を見落とさないぞと思いつつ読んでるのに、ある時点から物理的整合性は意味を失い、独特の世界観が展開されていくのです。これぞ村上ワールドの真骨頂。
 
 主人公「私」は冒頭で妻から突然離婚を言い渡されてしまい、傷心の旅に出ます。その途上で起こった重要な伏線を経て、その後の実にいろんな出来事、展開の中で、結果的に自分は妻の中に幼き日に亡くした妹の姿を求めていたのだということに気がつき、めでたく妻とよりが戻ります。ハッピーエンド的な香りが漂いますが、実はその重要な展開すら、ひとつのエピソードにすぎません。この作品では村上が訴える「イデア」や「メタファー」というもっと重要な主題が重層的に展開されていくのです。
 
 面白かった。なんだかこれまでの村上作品をおさらいしているような感じがしました。かといって決して二番煎じ感はなく、むしろスケールアップしています。
 
 ネット上や新聞雑誌では「明らかに新境地を切り開いた」と書いているのがありますが、同感です。
 
 ちなみにこの書評、感想なんてのは、まあ実に多くの意見があるもんで、村上がいかに人気作家であるかということを如実に示しています。中には「駄作である」とけちょんけちょんに悪口書いてるのんもあります。センモンカさんたちは、文学的、芸術的な観点から作品に難癖つけてけなすことが仕事なんで仕方ないんでしょうけど、小説なんて、読んで面白ければそれでええやないですか。
 
 ところで、この作品続編があるんやないでしょか。お話の中にでてきて重要な役割を果たす「穴」が結局なんやったの、とか、戦前の大陸やヨーロッパの出来事についても、もちょっと詳しく書いてよって部分があったりで、なんとなくそんな気がするんです。「上・下巻」ではなく「第一部・第二部」なんてところからも、そんな兆しがありありと窺えます。第三部があるとしたら、実に、実に楽しみです。
 
 どうやら「新作発売を待ちわびるほどのファン」になってしまったようです。
前の5件 1  2  3  4  5  6  7  8  9

WELCOME

CALENDAR

PROFILE

IMG_0227_2.jpgのサムネール画像のサムネール画像

katsuhiko

男 

血はO型

奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

生まれてから約半世紀たちました。

お休みの日は、野山を歩くことがあります。

雨の日と夜中はクラシック音楽聴いてます。

カラオケはアニソンから軍歌まで1000曲以上歌えます

月別 アーカイブ