自民党総裁選が終わり岸田さんが次期総裁に決まりました。

いつになく盛り上がった総裁選でした。新聞各紙、テレビでもニュースもワイドショーも総裁選のヘビーローテやったんで、野党がヘソ曲げて「自民党の宣伝ばっかしすな」なんてブーたれてましたが、そんなら自分ちもそれほど国民の関心を集めるような政党になったらええやんって話です。国民にほとんど見向きもされない現状で総選挙に突入、新総裁率いる自民党に挑む野党の姿は、風車に突撃するドン・キホーテを彷彿させます。
そんなことよりも、先週衝撃の訃報が伝わりました。劇画家のさいとうたかをさんが亡くなりました。総裁選が無かったら各紙一面トップで伝えていたことでしょう。
わたしはゴルゴ13の熱烈なファン、読者でありました。このことはブログ始めた頃や特別展のイベント行ったことなど何度か書いてきました。とりこになったのは30数年前大学生の頃、授業の合間に大学キャンパスで、帰省の新幹線で、就職活動のお供に、さまざまなシーンでビッグコミック誌や単行本でゴルゴを楽しんでいる自らの心情、その時の風景を鮮明に思い出せます。サラリー
マンとして働き始めた当初、深夜におよぶ残業でヘロヘロんなった帰りの通勤電車でも、ビッグを読んでたら時を忘れることができました。われわれごく平凡な一般大衆がひととき現実逃避し、壮大なステージでヒーローと感情を共有し、銃弾の一撃でもってカタルシスを得ていく至福の時間でした。どれほどの読者がゴルゴから夢と希望と勇気をもらってきたことか。
さいとうたかお氏はゴルゴのプロとしての信念について、成功率100%よりも「約束を必ず守る」という切り口を語っておられました。ゴルゴは引き受けた以上は、いかに不可能と思える困難なオファーでも必ず遂行します。自らに課したルールとして、それを基本に置いていたのです。思うにこれは、超人的技能を駆使するヒーローであってもわれわれ一般ピーポーであっても同じことなのです。近年、国家間の約束であっても平気で反故にし一向に恥じることもない国家・政府も散見されます。まさにゴルゴに鉄槌を下して欲しいもんです。
国民的漫画家と称される人はほかにもいてますが、連載50年のギネス保持者、単行本発行総部数3億部の圧倒的金字塔です。時の国際情勢を反映した重厚な脚本は単なる時事ネタではなく、鋭い洞察に裏打ちされた深遠なメッセージを読者に向けて発信し続けました。「ゴルゴ13」は、そのものがで文学、絵画、映画などと並び立つ総合芸術のひとつのジャンルと言っても過言ではありません。

作品の品質を維持継続させるため、プロダクション方式を早くから確立し、スタッフとの共同作業で仕事を進めてはったとか。近年になって、分業の中でさいとう氏が直々にペンを入れる部分が徐々に減ってきたのが分かるようになってきました。しかしゴルゴ13(デューク=東郷)の顔だけは最後までご自身で仕上げたはりました。ファンとしてこれは嬉しいことでした。
不死身のゴルゴ同様に作者さいとうたかをも永遠に存在し続けると、なんとなく信じていました。これは多くのファンも同様であったと思います。突然のご逝去の報は何だか現実味がありません。
ゴルゴ13の連載は今後もスタッフによって続けられるということです。これも嬉しい話です。常々さいとう氏は最終回の原稿を保管していると話してましたが、ファンとしては氏の退場と同時に最終回も読んでみたい気がするし、一方でゴルゴは不滅であって、作中でも歳を取らず永遠に活躍してほしいとも思うのです。ました。これは多くのファンも同様であったと思います。突然のご逝去の報は何だか現実味がありません。
素晴らしい作品をありがとうございました。深甚なる感謝とともに、心からご冥福をお祈りいたします。
英国の隣にシーランド公国という独立国があるそうです。しかし、ここを独立国家として承認している国はひとつもなくて、自称国家にすぎません。国といっても島ですらなく、大戦中に英国軍が北海の沖合10キロに建設した軍事要塞が戦後放置されていたところ、1967年にベイツという人が勝手に占領し、独立を宣言したそうです。海上にぶっとい2本の柱を立てて、その上に平面と建物を載せただけの作りで、広さは200平米ちょっとといいますからテニスコートくらい。しかし軍事施設だけあって頑強に作られているらしく、築80年以上経てもいまだに波荒い北海に屹立しています。ベイツ氏は元英国軍人で、海賊放送をやってたかどで英国で訴えられてたときにこの要塞に気が付いて逃げ込んだとか。目のつけどころが良かった。沖合10キロは領海(当時は3海里)からはずれてて英国の司法権限の管轄外ということでまんまと逃げおおせたらしい。
本命不在です。
江戸時代、はずみで主人を殺して逃げた侍が、逃げた先々でもやけになって悪事を重ねたのちに改心して出家の旅に出ます。九州豊前の国の海岸崖沿いにある通行の難所に至り、自分の罪滅ぼしとしてここに安全に通れる道を通そうと堅い岩山に金づちとのみで一人トンネルを掘り始めます。当初土地の住民からはバカにされますが、その後理解を得て手伝ってもらうものの、すぐにまた一人になってという作業を延々続けるうちに20年以上が経過します。一方、殺された主君の子もまた仇を求めて全国を経巡るうちとうとうこのトンネル堀りの現場で仇敵を発見します。すぐに殺そうとしますが、完成するまで待ってやれという沿線住民の要請もありいったん延期して、早く開通させるため自分も一緒に穴掘りを手伝う羽目になります。ようやく貫通したとき坊さんに「約束やし、さあ斬れ」と言われても、「敵を討つなどという心よりも、このかよわい人間の双の腕かいなによって成し遂げられた偉業に対する驚異と感激の心とで、胸がいっぱい」になって、とても復讐など実行できませんでした、というお話です。
この話のもとになったトンネルは「青の洞門」といって大分県中津市に実在し、指定文化財、観光名所になってます。実際は偉い坊さんが托鉢で資金を集めて作ったといいますから、小説は菊池寛の創作とは言え史実にインスピレーションを得たのでしょう。ちなみに開通後は通行料を取ってたので、日本最古の有料道路とも言われてるそうです。
これまで読んだり観たりした復讐劇のうち、このパターンに当てはまらないものがひとつだけありました。それがかの松本清張の小説「霧の旗」です。有名な作品で、繰り返し映画・ドラマ化されてるんで「ああ」と思われる方も多いでしょう。ネタバレで続けます。