「朝日新聞政治部」

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 近年、日本人の新聞離れがよく言われています。新聞協会のデータでは、すべての新聞の発行部数はピーク時の5400万部から昨年3300万部と4割も減ってます。

 原因はいろいろあると思いますが、ネットニュースの普及の影響が大きいのでしょう。先日も書いたように、朝晩の通勤電車の光景が如実に紙離れを物語っています。日経新聞を広げるサラリーマンがいなくなり皆さんスマホをいじくってます。その日のトップニュースはじめ主だった情報はすべて、わざわざ購読料を払わなくてもタダで手に入るのです。職場で聴いても「ネットで読めるし、新聞とってません。」という若い子たちが増えてます。shinbun.jpg

 しかし新聞はやっぱり紙で読むべきです。ネットニュースは自分が興味がある記事しか検索しないし、Yahooニュースなどのキュレーションサイトはあるものの、どうしても入ってくる情報に偏りがあります。一方紙面だと多くの記事がいやでも目に入るので、関心がなかった分野に触れるきっかけになります。総体的に得られる情報に大きな差があるのです。職場では周りに「ネットばかり見てないで新聞読め」と言っても「youtubeがあるんでテレビも必要ない」という子までいて、なかなか厳しいものがあります。なんとか紙の新聞に復権してほしいもんです。

 そんな社会一般的な新聞離れの中でも朝日新聞の発行部数はこの10年間で800万部から430万部まで落ち込んでおり、業界全体が部数を減らす中でもその減少率は群を抜いています。当然、会社の経営も悪化し、売り上げは過去最高やった2012年の4762億円から、昨年は2938億円と著しく減って経営危機に陥っています。現下、大リストラを敢行中ですが、耐えきれずに去年とうとう購読料を値上げしたことで読者離れにさらに拍車がかかっています。

 なぜに朝日がこれほどまでに落ちぶれたのか。ひとつにはトレンドに乗り遅れ、電子媒体への移行に失敗した結果といえますが、それよりも何よりも近年繰り返されたかずかずの不祥事によって読者が愛想を尽かしたということと、そもそも、一貫して日本と日本人の誇りを傷つけてきた編集方針がいよいよ国民に受け入れられなくなってきたのです。その詳細はこれまでに再三書いてきたので繰り返しませんが、まあひどいもんでした。「慰安婦」「吉田調書」「池上コラム」いずれも、日本の新聞の歴史にその名を遺す大事件でした。

20220905_051823751_iOS.jpg 先ごろ、そんな朝日新聞をリストラされた元記者が書いたその名も「朝日新聞政治部」という本が話題になってます。朝日の批判を続けるからにはその実態を知っとくべしということで、読みましたよ。1枚のページがぶ厚いのでなんだかすぐに読み終えました。量的には新書で十分なのにハードカバーで出した講談社の商売気を感じます。

 著者の元記者は「吉田調書」誤報事件の中心人物で、当初大スクープをとったと社内で大絶賛されたのに、その後一転誤報の責任を押し付けられ転落していく過程を詳しく書いています。ただ、本人は未だに誤報と認めておらず、単に記事の表現が不十分やっただけと主張しています。そして、それにも拘わらず記事全体を誤報とあっさり認めた当時の社長の事後対応がお粗末やったせいで大騒ぎになったと。なぜ自分のせいにされるのかという憎しみと怨嗟が、つまりはこの本の言いたいことなのでした。

 新聞社内部の政争の有様や、会社に盾突く記者の気骨の様子なんかはそれなりにおもしろかったけれど、そんなものは別に大きな組織ならどこでもありがちな話です。それよりも「吉田証言」に象徴される一連の慰安婦に関する反日策動によって日韓関係を戦後最悪の状態に貶めた責任について、内部の記者は果たしてどう考えてきたのか、オリンピックのスポンサーに名を連ねながら「五輪反対」を声高に叫ぶ狂態を記者はどう評価しているのか、など、知りたいことはほとんど書かれてませんでした。ただただ、「俺は悪くない、社長はじめ上層部がボンクラやったんや」という主張に終始してます。「リストラ社員の恨み節」というサブタイトルをつけるべきでしょう。

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