ネタバレ御免

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 今年もゴールデンウィークが始まりました。コロナ規制が明けて、かつての民族大移動が戻ってきました。慶賀の至りであります。とはいうものの私は連休中、近くのイオンモールに買い物に出かけたり、古い友人たちの集まりで久闊を叙する予定はあれど、あまり遠出は致しません。コロナ前の活況が戻るということは人出・混雑も元通りということで、二の足を踏んでしまいます。20230429_081147933_iOS.jpg

 さて今日の話、出版社や書店のサイトでは、書籍の紹介で「駄作なんで読む必要なし」なんて決して書きません。一方、読書家の方々が読んだ本の感想を縷々綴るブログは、実際に読んだ読者側の素直な感想なんで、興味ある書籍についての情報を得るにあたって非常に参考になります。飲食店の口コミと同じですね。

 そんな多くの感想や書評では暗黙のルール、というより基本的な常識として、あらすじの説明は途中までで、結末まで詳細に説明することはしません。新聞ラ・テ欄のドラマの説明でも同じことですが、全部書いちゃうとドラマ視たり小説読む楽しみが著しく減ってしまいます。推理小説なんかやと、最後まで書いちゃうとそもそも読む意味がなくなってしまいます。

 記載内容にネタバレを含む場合にはそれを予め知らせて、ネタを知りたくない、読みたくない人への配慮がなされます。

 しかし例えば推理小説で、すでにそのトリックや結末がおよそ多くの人々に周知され常識となっているものは、この限りではありません。古典的な作品でポーの「モルグ街の殺人」やアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」「アクロイド殺し」さらに「オリエント急行の殺人」などなど。が、それでもそのトリックをはっきりと書いているのはwikipediaくらいでしょうか。まだ読んでなくてこれからという人はネタバレサイトに近づかなければよいのです。

 ところが先週、朝日新聞読んでて仰天しました。

 直木賞審査委員の北方健三さんが、過去の選考の裏話を語る文化面の連載コラムですが、東野圭吾さんが「容疑者Xの献身」で同賞を受賞した際のくだりで、北方さんがトリックの核心を語った部分をそのまま載せてるのです。ネタバレを拡散できないので詳細は省きますが、ストーリー上の一番肝心な事実をさらっとひとことでバクロしてます。そして、その事実によってこの作品は直木賞に相応しくないのでは、という議論が審査上であったという内容なのですが、これはちょっとどうかと思います。

 直木賞とった作品なので、すでにそのトリックは「オリエント急行」レベルに国民の常識となったと判断したのでしょうか。確かに、ドラマ化、映画化、舞台化され、海外でもリメイクされるなど大ヒットした作品で、そのストーリー、結末、トリックは多くの人の知るところはなっています。しかしそれでもやっぱりミステリーなんやから、作品の核心に触れるところは触れずに置くべきでしょう。

 朝日新聞、政治・社会分野同様に、文化面でも記事の質低下が感じられます。

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katsuhiko

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奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

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