蕪と株

| コメント(0) | トラックバック(0)

 知り合いの方が下呂温泉に行ってきたとかで、赤かぶら漬をお土産にいただきました。あらためて思い返すに、大根はいろんなメニューがあってしょっちゅう食べますが、カブってお漬物以外では普段あまり食べないですよね。「今日の晩御飯、カブよ」って記憶に無い。

20230602_110443607_iOS.jpg 蕪ではなくて株のお話です。毎年6月には、上場企業の株主総会が一斉に行われます。わたしのところにもある企業から招集の通知がきました。

 この会社に何らかの関わりや思い入れがあって買った株ではありません。おおかたの株主さん同様に、わずかでも配当があれば銀行に定期預金するよりも多少はましという消極的な投資にすぎません。配当というよりも、いわゆる株主優待が主たる目当てともいえます。安いときに買って上がったら売ることで利ザヤを稼ぐ「投機」ではなくて、純粋な「投資」です。買いっぱなしです。

 なので、およそ潰れそうにない、不祥事で暴落するリスクも少ないであろう銘柄を少しだけ持ってるわけです。

 そんな端株主のわたしが、総会の案内もらってもですね、この会社の運営について意見したいことがあるはずもなく、まして平日の昼間、遠く東京で開催される総会にリアルで出席することなどおよそ考えられません。自分の利益のために会社を利用しているだけなんで、出資者としてあまり丁重に扱ってもらうと気が引けてしまいます。案内の封筒に「来てもろてもお土産はないで」なんてわざわざ書いているってことは、かつてそんな時代があったということでしょね。

 会社の実際の企業活動は、基本的にその道のプロである役員や社員さんたちに任せておけばいいのであって、なんかやらかして世間の耳目を集めた場合などを除けば、株主が総会において経営に口を出すことはほとんどありません。

 一方で、諸外国に比べて日本では株主の権利は手厚く保護されてて、法律上最も優先すべきは株主の利益であり、株主総会が最高の意思決定機関なのです。20230602_021757974_iOS.jpgこの、株主の権利が絶大であることを利用して、かつて昭和の時代にはいわゆる総会屋が跋扈しました。彼らの目的は経営陣に無理難題を要求することではなく、株主総会を紛糾させることを匂わし「それがいやなら、なにがしかの見返りをよこせ」ということをナリワイとしていたわけです。総会をスムーズに進行させるため要求に応じる企業もあったし、対抗して企業側の総会屋が出てきたりで、上場企業の株主総会は大いに紛糾しました。

 企業側の防衛策のひとつとして、多くの会社が株主総会を同じ日に一斉に実施するという現象がありました。総会屋さんたちの攻撃を最小限に抑えるためです。3月決算の会社が多いので、決算から3カ月以内に総会をしなさいという法令に基づき6月の下旬に集中する中でも、かつては「6月最終の平日の1日前」に総会が集中したそうです。最終日でないのは、総会が紛糾して長時間にわたり、その結果日を跨いでしまうことを想定したそうです。なんともお疲れ様です。kabu.png

 その後1981年と1997年の商法改正で総会屋の活動が制限され、2006年の会社法改正で、会社が総会屋に利益供与を行うことが禁止されました。そして、法令に違反して総会屋とずぶずぶの関係を続けた会社が次々と厳罰に処せられたことが契機となって企業の総会屋対策の構造的な転換が進み、総会屋は株主総会から姿を消していきました。その結果総会日程の集中も緩み、複数の会社の株を持つ一般の株主にしてみたら歓迎すべき状態となりました。

 総会屋さんがほとんど姿を消したことは経営側にとっては歓迎すべきでしょうが、逆にずさんな経営やっててもチェックが効きにくくなるリスクが嵩じていきます。CSR(企業の社会的責任)が言われて久しい中で、会社の経営陣は総会屋さんたちに追及されなくても適正な経営で株主の期待に応えなければなりません。どうかわたしの持ってる株が紙くずにならないよう頼んますね。

トラックバック(0)

トラックバックURL: https://corridor0108.main.jp/mt/mt-tb.cgi/739

コメントする

WELCOME

CALENDAR

PROFILE

IMG_0227_2.jpgのサムネール画像のサムネール画像

katsuhiko

男 

血はO型

奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

生まれてから約半世紀たちました。

お休みの日は、野山を歩くことがあります。

雨の日と夜中はクラシック音楽聴いてます。

カラオケはアニソンから軍歌まで1000曲以上歌えます

月別 アーカイブ