ジャニーズの悪夢

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 先週の日本は、現役国会議員の逮捕、辺野古問題で沖縄県が敗訴、H2ロケット打ち上げ成功、ASEAN首脳会議と重要なニュースが盛りだくさんでした。しかしこれら1面トップ級の事件を抑えてワイドショー界隈がもっとも時間を割いたのが、ジャニー喜多川の常習強制わいせつ事案でした。なので、このことちょっと書いてみます。

 事務所の新旧社長が記者会見して二人とも「ジャニー喜多川の狼藉は、噂は聞いたことがあったけど事実とは思わなかった」としました。

 まあ、これ信じる人はいないでしょう。キンキキッズやキムタクなど所属の名だたるのタレントがこぞって「知らなかった」「ただの噂と思ってた」と連呼してますが、これもそのまま信じる人は少ないでしょう。jani.png

 ジャニーズのファンにしてみれば、推しがそう言うなら信じてやりたいということやろけど、客観的に評価してまあ苦しい気がします。知らんはず無かったやろと。

 だって外部専門家による調査でも被害者の証言でも「ジャニー喜多川の猥褻行為を受け入れなければ仕事干される」んやから、所属のメンバーの中でもいっぱい仕事もらってきた有名タレントほど被害者であった可能性が高いわけでしょ。なのにそんなツッコミがあまり聞こえてこない。

 そもそも喜多川が多くの所属のジュニアたちにわいせつ行為を繰り返し行っていたことは、芸能界のみならず社会一般でも広く暗黙の承認事実、つまり「タブー」扱いでした。このことを初めて記事にして社会に問うたのが例によって週刊文春で、1999年のことでした。これに対して喜多川とジャニーズ事務所は名誉棄損で訴えを起こして高裁まで争って2004年に敗訴しました。つまり、喜多川の唾棄すべき狼藉は間違いない事実として社会に認知されたわけです。

 普通なら、この時点で喜多川は、恥ずべき犯罪者として社会的に抹殺されたはずです。しかしそうはならず、判決後も引き続き事務所のトップに君臨し、あまつさえ同様の犯罪行為を続けてきたというのです。なぜか。

20230907_204443403_iOS.jpg すべてはメディア、マスコミの責任です。判決を受けて厳しく喜多川を糾弾すべきところ、そんなことしたら所属のタレントに仕事頼めなくなる。わが国のエンタテインメント産業からジャニーズのタレントがいなくなったらこれは一大事。非常に困る。NHKにしても、ジャニーズが一人も出てない紅白歌合戦なんていったい誰が視るのよって話です。新聞各紙も右に倣えでいつの間にか判決のことなんて誰も言わなくなってしまった。喜多川は胸を撫で下ろすと同時に自らの存在の大きさを再認識し、変わらず死ぬまで芸能界の帝王として無双を続ける一方で、汚い獣欲を満たし続けたのです。

 報道機関は、記者会見の様子なんかよりも、この点をどう受け止めどう謝罪するのかということの方がよっぽど重大なのに、例えば朝日新聞なんてベタ記事でちょっと触れてるだけで、例によって謝罪はありません。「今後とも人権尊重を...」なんて、言うべきは全くそこと違うやろって話です。他の新聞各紙も似たり寄ったりです。テレビもまったく他人事のようにジャニーズ事務所の残党一味を糾弾するだけで、自らの責任に重点を置いた発信はまったくありません。おそらくは、「そうは言っても、ジャニーズが無くなったら、放送局だけやなくてファンの人もそれはイヤなわけでしょ。もうウヤムヤでええやん」ということなんでしょう。つまり文春の判決のときと同んなじなんですわ。

 メディアの責任は重大です。

 ジャニー喜多川はメディアにとっても悪夢の存在となりました。今回の騒動で、テレビや新聞は自分にとって不都合な事案はたとえ真実であっても報道しない、書かないということが明らかになり、自らもそれを認めました。今後、放送されるあらゆる内容、書かれるあらゆる記事の信ぴょう性が著しく損なわれました。消すことができない汚点です。芸能界の帝王による常習わいせつ事案という一大スキャンダルであるにとどまらず、メディアが自らに死刑判決を下した大事件として歴史に名を遺すことでしょう。

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