「すくらっぷ・ブック」永遠に

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 明日の日曜日、早朝よりはるか日本海まで釣りにでかけるので、タイガースの戦いを横目に見ながら土曜夕刻のブログ更新となりました。久しぶりの釣行、晴れてほしいなあ。
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 さて、昨日、衝撃の訃報が飛び込んできました。
 
 漫画家小山田いく氏、享年59歳。
 
 わたしは1980年頃、全盛期の少年チャンピオンに連載された氏の代表作「すくらっぷ・ブック」を読んで、ファンというよりすっかりとりこになったひとりなのです。ちょうど高校を卒業し予備校に通う、人生で最も長い1年間を過ごしてた頃でした。
 
 実に爽やかな学園青春グラフィティで、氏の出身地である信州小諸、しかも出身中学校を舞台として描かれており、全編、リアルタイムの青春を過ごす若き読者に対する作者の確固たるメッセージがあふれ、しかも散りばめられた素直なギャグがツボにきて、グイグイと引っ張られていきます。なんと、初めて読んだ日のことを今でも覚えています。「これは、ただものではない」と衝撃を受けたのです。
 
 人生で最も感性豊かな年代にありながら大学受験浪人生という不安定な状態であった当時の私は、このコミックの世界観にすっかり魅せられてしまいました。おやじとなった今、あらためて読み返すと、ややくすぐったい感じもなくはない。多感で素直で理知的でしかもかわいい、まさに理想的な中学生の在り方をこれでもかと盛り込んだ、あくまでフィクションであることは百も承知です。しかし、当時は自らの中学校時代を顧みて完全にシンクロしており、大いに共感し素直に感動できました。チャンピオン誌の発売を待ちわびたもんでした。IMG_6239.jpg
 
 よくは知りませんが、最近のコミックは短期間で突然連載が終了してしまったり、大河漫画として何十年も延々続いてたりということもふつうにあるようです。しかし「すくらっぷ・ブック」は連載2年101話、単行本11巻。ちょうど作中の登場人物の成長に合わせて中学校卒業とともに完結します。これがいい。当時は相当な人気があったので、高校を舞台とした続編やろうと思えばいくらでもやれたと思います。しかし、連載打ち切りではなく、見事に作品を「完成」させた。最終話ラストシーンでは、不覚にも涙してしまいました。マンガ本読んで泣くなんて、当時のわたしったらなんて純やったのでしょう。わが人生においてコミック最高傑作のひとつです。
 
 その後、大学生となったわたしが「ぶるうピーター」「ウッド・ノート」と、同様のさわやか青春路線の小山田作品を楽しんでいた頃、大学の同じサークルで小諸出身の友人ができ、話聞くとなんと彼、小山田いく氏の弟と知り合いで「よくいじめられた」仲やったとか。これにはビックリしました。弟といえば「軽井沢シンドローム」で有名な漫画家、たがみよしひさ氏です。
 
IMG_6240.jpg 学生の頃、よくフラフラと信州に出かけたことはかなり前に書きましたが、軽井沢から小諸に足を延ばし「すくらっぷ・ブック」に出てくる小諸城址公園や千曲川の風景を求めて、今でいう「聖地巡礼」をやったこともありました。それほど心酔していたわけです。
 
 大河コミックといえば、今に至る愛読書として別冊ビッグコミックで「ゴルゴ13」を読み続けていることも以前書きました。このコミック雑誌はひとつの号にゴルゴを何篇かとともに新人の読み切り短編が掲載されるのですが、何年か前にこのコレクションのうち昭和54年発行の古い号を読んでいるときに気がつきました。掲載されている「五百羅漢」という作品の作者名が「田上勝久」。小山田いく氏の本名です。絵のタッチもまんまです。調べてみるとなんとこれ、氏のデビュー作でした。不思議なエニシを感じたもんです。
 
 社会に出ると同時に次第に少年コミックからは距離をおくようになったので、最近の作品はあまり知りませんでしたが、59歳の逝去はあまりにも早い。なんとも残念です。
 
 青春時代、素晴らしい作品を通して大きな夢と感動をいただき、ありがとうございました。ご冥福をお祈りします。

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katsuhiko

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