2016年4月アーカイブ

文楽

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 「いもうとせやまふじょにわくん…何これ?」
 
 昨日、初めて文楽鑑賞に行ってきたのですが、うちの奥さん誘ったときの反応は、まあ予想どおりでした。
 
 正しくは、妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)という演目です。以前、同じ国立文楽劇場で、生まれて初めて観た歌舞伎の演目が「義経千本桜」の三段目で舞台は吉野下市村。私のふるさとです。で、今回の初めての文楽(人形浄瑠璃)もふるさと吉野が舞台となる演目を選びました。というより、ふるさとゆかりの演目がかかったので、いい機会ということで観に行ったというわけです。IMG_6372.jpg
 
 文楽とは、本来は人形浄瑠璃専門の劇場のことですが、現在では一般に人形浄瑠璃そのもののことをいうようになりました。浄瑠璃のひとつである義太夫節を太夫が語り、それに合わせて人形遣いが文楽人形を操る、簡単にいえば人形芝居のことです。大阪で生まれ江戸期から明治にかけては歌舞伎同様に隆盛を極め大変な人気があったとか。しかし、今や古典芸能として国に保護されてます。ユネスコの「世界無形遺産」にも登録されてるそうです。
 
 さて、昨日の演目「妹背山婦女庭訓」は数ある文楽の演目のうちでも実にメジャーで人気も高いそうです。しかも吉野川を挟んで対峙する妹山と背山といえば、まさにわたしの帰省先のすぐ近所です。いやまして興味が募ります。
 
 上方落語には浄瑠璃をモチーフにしたネタがいくつかあり、桂米朝師匠や枝雀さんでよく聞いてたし、特に米朝師匠は例によって分かりやすく説明しながら噺を進めてくれるので、浄瑠璃とはどういったものかということは、おぼろげながら知ってはいました。で、実際に聞いてみると想像以上に完成されたすばらしい芸術でした。
 
 およそわが国の伝統芸能は、歌い物と語り物に大別させるとか。長唄、小唄や地歌などは歌いもので、浄瑠璃や常磐津節、清元節、浪曲やなんかは語りものです。簡単に言うと物語に節をつけて話していくわけですが、言葉の長短、強弱や抑揚によって、場面場面の風情や登場人物の心情を実に巧みに語り分ける、その技量たるやなるほど能や歌舞伎同様に人間国宝を多く輩出する至高の芸事といえるでしょう。うん、すごい。
 
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 例によって様式美を愛でる伝統芸能ですので、ストーリーのつじつまや歴史考証やなんかはつっこみどころ満載です。「妹背山…」の登場人物は蘇我蝦夷子(蝦夷やなくて「えみじ」と読ませるあたり(笑))入鹿親子や天智天皇、藤原鎌足など古代の設定やのに、舞台装置や衣装やなんかは明らかに江戸時代のそれです。いってみれば、警視庁七曲署にいる大岡越前守が、パトカーに乗った十手持ちちょんまげの親分に無線で指示出してるようなもんです。
 
 さらに、実際の妹背山付近には桜なんて全くないのに、舞台の背景画は吉野川両岸満開の桜。そもそも吉野川右岸の妹山は大和の国、左岸の背山は紀伊の国で川はその国境という設定ですが、もちろんこれもウソで、ほんとはどっち側も大和です。最後の場面では、切腹した主人公が苦しんでるのに、かたわらで父親が敵対してきた家の女主人、つまりヒロインの母親との和解の情況を延々と演じ続けます。「んなことやってんと、はやいこと助けてやれよ」とは、うちの奥さんの素直な感想です。しかし、そこは言ってはいけない。あくまでフィクションであり、ファンタジーとして楽しむ必要があるのです。IMG_6394.jpg
 
 反目しあう家の男女が恋に落ち、最後にはどっちも死んじゃう悲劇ということで、この演目のストーリーは、よく「ロミオとジュリエット」に例えられます。しかし、実は見どころ違うのであって、両家の親の、子を思う実に深淵な情愛こそが主題であり、それによって圧倒的な悲劇として観るものに訴えかけてくるのです。その心情を太夫の語りと人形遣いの絶妙の至芸が見事に表現していきます。ものすごい迫力です。実際に鑑賞してそのすばらしさを満喫しました。
 
 歌舞伎もそうでしたが、休憩時間に座席でお弁当食べられるのがいいですね。コンサートやミュージカルではこうはいかない。日本の伝統芸能が市井から発展し今日に至るひとつの証左といっていい。けど、願わくばごはん休憩30分はちょっと短い。1時間あったら館内のレストランや劇場周辺のお店でゆっくりお食事できるのにとも思いました。
 
 人形浄瑠璃の演目の多くは時をたがわず歌舞伎に移植されて、こちらは人形やなくて実際に役者が演じ、セリフも太夫が語るんやなくて役者が自分の口で言うわけです。江戸時代には人気を二分した両者、平成の現代においても依然としてそれなりの人気を保っています。以前にも書きましたが、伝統芸能でも何でも、本当のホンモノは誰かがことさらに保存しなくたって残っていくものなんです。橋下改革の一環で市からの補助金が減らされた文楽ですが、今日も観客は大入り満員。大丈夫です。大阪の文楽は連綿と未来に伝えられていきます。

桜、都から山峡へ

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 今年も桜はすっかり散りゆき若葉萌えいずる季節となりました。日本はその情緒豊かな四季の中でももっとも爽やかな時節へと突入していきます。
 
P4035970.jpg そんな能天気な感傷を突き崩すように、九州で大地震が発生しました。阪神淡路のときも東日本のときもそうでしたが、いつも想定外のところで起こります。災害大国ニッポンにまた試練です。またもや日本人の叡智が試され、強さと優しさが求められる状況となりました。今はただ人的被害が少ないことを祈りつつ、そんな非常事態を横目にブログでは先日来のお出かけのことを書いていきます。
 
 年度かわって最初の休日は、恒例の京都での同窓会花見でした。いつものメンバーで疎水べりの満開の桜を愛でつつ散歩したのち、粟田口の料亭竹茂楼さんで、祇園甲部の舞妓さんの京舞接待つきで京料理を楽しみました。
 
 お天気もよく実に爽やかな楽しい一日となりました。ひとえに祇園通の仲間のおかげであって、いつもながらの差配には感謝に堪えません。聞けばこの幹事氏、この春職場を替えて新たなスタートを切ったとか。他のメンバーもそれぞれにいろんな人生経験を重ねていく様子が語られ、自分もさらに頑張らねばという思いが募っていきます。同級生の絆の賜物であり、幸せを感じる瞬間でもあります。
 
P4096097.jpg そしてさらに先週は、縁あって奈良県吉野郡川上村での観桜会に参加する機会を得ました。大阪工業大学と川上村とは連携協力協定を締結しているのです。
 
 自然豊かな同村を舞台に、木造小学校の校舎をリノベーションしたり、間伐材から作った割り箸を炭化し養生に再利用し環境循環型社会について学んだりと、そのほかにもさまざまな活動を展開しています。その関係で今回お招きいただいたという次第です。
 
 川上村といえば、わがふるさと下市町も同じ吉野郡にあり馴染みがあります。さらに、かつて例の奈良検定を受検していたころ、関連して吉野川の源流までを辿るハイキングに参加したことは以前にも書きました。あの川上村です。
 
 この日も京都のとき同様に快晴で、吉野山に向かう花見客の渋滞を見越して早めにマイクロバスで大阪を出発した一行は、途中道の駅に立ち寄るなどしてがやがやと吉野に向かい、予定よりやや早く会場の旧小学校に到着しました。校庭の脇には見事な桜の大木が屹立しています。まさに観桜交流会にふさわしいおだやかな春の雰囲気の中、村長さんはじめ、村の方々との楽しい交流、花見宴会はあっという間に過ぎ去りました。引き続き大学と村との連携、絆の強化を確かめあい、別れを惜しみつつ村をあとにしました。
 
P4096106.jpg 川上村の面積は大阪市より大きい。しかし人口は1,600人と大阪市の実に1/1,600以下です。都会の大学と、田舎、それも大山奥の大きくて小さな村との連携は何とも不思議な気がします。しかし、都会の学生が大自然の中で学ぶことは大きな意義があり、また村としても学生の活動拠点として活性化を図るという、双方大きなメリットがあります。
 
 人はふるさとをあとにし都会に出てその後の人生をかたち作っていくケースが多いわけで、故郷はまさに遠くにありて思うものというのが通り相場です。わたしの場合でも、大阪と吉野という距離的にはそんなに遠くはないけども、いわば仕事と故郷は隔絶している中で今日まできたところが、偶然、その故郷が自分の仕事の中に突如登場してきたことに、なんとも不思議なエニシを感じます。
 
 人と人の絆の力を感じます。村は多聞に漏れず過疎が進み、将来的な発展は必ずしも楽観できる状況ではないはずです。しかし、この日、満開の桜のもと美酒を酌み交わした村の方々は、村長さんはじめ皆さん一様に明るく元気かつ大らかで、それは村の明るい将来を暗示しているようでもありました。

ギャンブルのこと

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 先週、春の嵐到来で、桜満開の風景もそろそろ終わりかという昨日、縁あって奈良県の川上村に出かけ観桜会に臨んできました。先週の日曜日は、恒例の京都の花見に呼んでいただきました。今週末、桜が散って人出が減った吉野山で花見の後夜祭ともいうべき集いに出かける予定が残ってますが、いちおう今年の花見は昨日でおしまい。これから梅雨に突入するまでの陽気は、季節の中でも最も素晴らしい時節のひとつといえるでしょう。
 
 momo.jpgそれぞれの花見の様子は追って書いていくこととして、今日は憤懣やるかたないお話しです。
 
 オリンピックに出るということは、少なくともわが国のその競技における最高の選手ということですが、バドミントンの有力選手が国内の違法賭博施設に出入りしていたことがバレて、五輪出場どころかどうやら選手生命も危ういという事態になってます。
 
 奇しくも、先日賭博問題を起こして猛烈な非難を浴びたプロ野球読売ジャイアンツの開幕戦で始球式やったのが、この桃田とかいうバドミントン選手やったとか。
 
 こういのもカール・ユング言うところの「共時性の法則」というのでしょうか。いや、やっぱりこの場合「類は友を呼ぶ」と言った方がいいでしょう。ジャイアンツは、プロ野球界全体に多大なる迷惑をかけておきながら、なんらの反省を形にすることなく、まるでなにごともなかったかのようにペナントレースを戦い始め、その恥知らずぶりを晒し続けています。まさにそんな厚顔無恥球団のセレモニーにふさわしい「同じ穴のムジナ」を自ら招いていたというわけで、なんとも大笑いです。
 
 ところで、あらためて考えてみると、この賭博という行為。なんだか微妙なんです。
 
 なにがかというと、例えば殺人や窃盗などはそれ自体が明らかに犯罪です。しかしわれわれが賭博という行為を犯罪として話題にするためには「違法賭博」と言います。つまり、違法でない窃盗なんてないけれど、違法でない賭博が存在するわけなんです。いうまでもなく国営ギャンブルである競馬・競輪・競艇・オートレース、それにもっと身近な宝くじのことです。gamble .jpg
 
 これらはれっきとした賭博行為ですが、それぞれ特別な法律によって、やっても犯罪とならないこととされているのです。さらにパチンコは「三店方式」の脱法論理で違法でないということになってますが、パチンコがギャンブルではないなんて誰も思ってないわけで、グレーゾーンが野放しになっているにすぎません。
 
 賭博をやってはいけないこととして規制するのなら、合法的な賭博なんてあってはいけないんです。
 
 賭博を禁止してる法律や判例もよく読むとおかしい。
 刑法第185条「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」
 
 判例でも「関係者が一時娯楽のために消費する物、例えば缶ジュースや食事などを賭けたにとどまる場合は賭博やない」とされてます。つまり、1回10円を賭けてやるジャンケンは、逮捕、起訴されるかどうかは別問題として、刑法に触れる、すなわち犯罪行為なのに、一食ン十万円の高級ワインつきフルコースを賭けてやるジャンケンは合法なんです。おかしいでしょ?
 
 先日、合法的賄賂を即刻廃止すべしということを書きましたが、賭博にしたって同様です。国が胴元になってテラ銭をピンハネできる分にはいいけれど、国に代わって誰かがその立場に収まることは断固として許さないという仕組みはやっぱりおかしい。繰り返し同じこと書きますが、人として条理的にやっちゃダメなことは法律で許される範囲なんてあってはいけないんです。民間の賭博場を規制するのなら、国が率先して公営ギャンブルを即刻全廃すべきです。

春うらら

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P4115425.jpg 今年は、平年よりやや桜が早いようです。春になれば桜が咲くのは当たり前でニュースでもなんでもないのに、テレビのニュース番組では桜前線の北上と各地の開花の状況を毎年必ず伝えます。ニュース番組といえばどちらかというと事故や犯罪などネガティブな内容が多い。いやな話を聞かされた視聴者に、どうでもいいホンワカした話題を伝えることで、その精神状態を緩和、中和しているわけで、四季おりおりの趣きが豊かな日本では季節の便りなどはこれにもってこいなのです。歌舞伎なんかとおんなじ様式美に通じるものがあります。つくづく日本人に生まれてよかったと思います。
 
 職場となりの城北公園の桜もほぼ満開となりました。先週は年度をまたぎ、去る人あり来る人あり、気分一新、心機一転、人生でもう何十回目にもなるというのに、いまだになんだかワクワクする、いつもの光景がそこここで展開されました。
 
 一昨日、昨年度最後の3月31日、センバツ甲子園ではなんとふるさと奈良県の智辯学園高校がみごと優勝をかざり、久々の快挙になんとも嬉しさいっぱいの4月スタートです。
 
IMG_6256.jpg そして昨日1日、職場の新規採用者の辞令交付式の最中に、緊急地震警報が鳴り響きました。厳粛な雰囲気の中で突然、参列者のスマホが一斉に鳴り始めたもんやからまあ、ビックリ。あとで聞くと、みんな自分がスマホをマナーモードにし忘れてたと思って一瞬青ざめたとか。三重県沖震源の今回の地震、「スワッ!南海トラフきたか?」と思ったところがそうではなかった様子、特に被害などなく一安心でした。地球がエイプリルフールかましてきたといったところでしょうか。
 
 さて、年度初めの多忙な時期であるのに、いろんな歓送迎会など仕事の宴席が重なり、さらになぜか毎年4月はプライベートのイベントも多い。週末はすべて予定が埋まってしまいました。美術展、コンサート、そしてもちろん甲子園タイガース戦への初詣も4月の恒例行事です。きっと、暖かくなってきて気分が昂揚するということで、われながらなんともわかりやすい性格にホッとします。
 
 先週は、釣りに連れてってもらったのですが、釣果はさんざん、ほぼボウズに近いありさまで、おまけに帰ってから竿を洗っているときに壊してしまいました。なぜかロッドの穂先部分が2番目の節の中にめりこんで動かなくなってしまい文字通り抜き差しならない状態となってしまったのです。そこで今日、下手にいじくるよりもプロの手を借りようということで、購入した釣具屋さんに修理にだしてきた次第です。まさに踏んだり蹴ったり。次回の釣行までにはまだだいぶありますが、早めに手配しておこうと。これにしたってわたしのこと、寒い時期なら出かけるのがおっくうになって「そのうちにね~」なんて結局ズルズルいっちゃうところが、なぜかちゃっちゃと対応してる。春の陽気のなせる効能といえましょう。
 
 さて、今年も何回か桜の下でお酒をいただくことになっており、その第一弾として明日は京都市内東山界隈で花見から料亭での宴席に出かけます。毎年招集され春の恒例行事となった高校時代の気の置けない友人のいわばプチ同窓会です。しばし日常から逃避し今年度を乗り切る鋭気を充填することといたしましょう。

WELCOME

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PROFILE

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katsuhiko

男 

血はO型

奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

生まれてから約半世紀たちました。

お休みの日は、野山を歩くことがあります。

雨の日と夜中はクラシック音楽聴いてます。

カラオケはアニソンから軍歌まで1000曲以上歌えます

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