トンデモ判決出来

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 梅雨空続く休日の朝です。ちまたの話題はワクチンと東京オリンピック・パラリンピックですが、オリ・パラどうやらやる方向で固まってきたようです。朝日新聞以外の主要メディアはまだはっきりと中止すべきという主張を示さず、中止・再延期という世論の大勢にへつらいつつも「果たしてやっていいんでしょうか」なんてあいまいなコメントしか出していません。スポンサーに気を使ってることに加えて、もし五輪を無難に完遂したときに国民から「そいやお前、反対してたよな」と指弾されることが何より怖いわけです。日本人が金メダルとったニュースを「やりました!」なんて伝えようもんなら、視聴者は「どの面さげて...」と思いますよね。いつの段階で「力を合わせて成功させよう!」に転じるか、それが新聞社、放送局のこれからの大問題となります。その点、早い時点で五輪全否定の朝日は、オリンピック成功した暁にははっきりと責任とって廃刊せんといかんでしょうな。

 さて、昨今、多様性社会の進展により、ジェンダーフリーや性的マイノリティーについての理解が急速に広がっています。そんな中でこのたび出たひとつの高裁判決のこと、書いてみます。

 経済産業省に勤務する性同一性障害の役人が、職場で女性トイレの使用を制限されたのは不当な差別やということで損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決があり、東京高裁はこの訴えを棄却しました。一審では原告が勝ってたのに逆転敗訴です。

c0193512_20180126.png 今回、高裁は「性自認に基づいた性別で社会生活を送ることは法律上保護された利益」と認めつつも、使用制限を続けたことは「ほかの職員が持つ性的不安なども考慮し、全職員にとって適切な職場環境をつくる責任」を果たすために必要だったとし、経産省の対応は適正であると判断しました。平たく言えば、原告の権利は認めるべきやけど周りの人が嫌がるでしょって話です。さらに判決は「民間は進んでるけどお役所ではちょっとねー」という趣旨のことも書いてます。

 訴えた職員やその代理人弁護士はもちろんのこと、朝日新聞も社説で取り上げるなど、リベラル層を中心に「とんでもない判決」ということで大騒ぎになってます。社会の誤解や偏見を払拭し、性的少数者差別がない社会実現の先頭に立つべき官公庁だからこそ率先して認めるべき、という主張はもっともな話で、確かにこれは時代に逆行するケッタイな判決です。しかし。

 トランスジェンダーの職員に対して国が性自認に従ったトイレの使用に制限をかけた、とそれだけ聞くと「とんでもない話」となるわけですが、当の職員と職場との間にいかなる事情があったのかということを具に理解した上でないと、裁判所の判断に対する安易な評価は危険です。結論だけに着目し、その判断に至った経緯をすっ飛ばして批判すべきではありません。

 今回この職員は、女性用休憩室や更衣室の利用は許可されており、さらに乳がん検診の受診も許可されてたといいます。しかるにトイレだけはダメと。女子トイレの使用を禁止したのはトランスジェンダーだからという理由だけやったのかな、と疑問が残ります。さらに、近くの女子トイレはダメで遠い場所にある女子トイレなら認めてきたというのも意味が分からない。この職員専用のトイレを設置してたのでしょうか。普通なら考えられない話で、はぁ?ってことになります。そこには判決に影響するような何らかの別の事情があったのではないでしょうか。報道はそのあたりを一切伝えてません。

 いずれにしても、おそらく原告は上告するでしょう。LGBT法案が自民党保守派の抵抗で今国会の成立が見送られた折も折、最高裁で判決が覆るかどうか、はたまた経産省が折れて和解に至るのか、今後の推移に注目していきたいと思います。

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