選びたい

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 大阪は今日もいいお天気ですが、お出かけは自粛です。昨日のコロナ新規感染者数は918人。過去最多で、12日連続で東京を上回ってます。先週のマン防の結果を見極め来週には再び緊急事態宣言が出るかもということです。大阪がコロナの主戦場となってしまいました。引き続き会食等の自粛と感染防止対策を心がけるしかありません。

 さて、最近しきりに選択的夫婦別姓制度が取り沙汰されてます。法務省が検討している正しい制度名は、「選択的夫婦別氏(べつうじ)制度」と言います。 

 同姓とするか別姓とするかを選べるので「選択的」が付くのやそうです。法案によると、制度が実現すれば結婚した際に、①夫婦どちらも夫の姓、②夫婦どちらも妻の姓、③それぞれが旧姓のまま、のいずれかを選択できます。これまで無かった③が新たに加わることになります。

betsusei.png 制度検討の基本的な発端は、女性の社会進出を促そうとする社会の動きに呼応するものです。

 かつては、結婚とは原則的に女性が夫の家に「嫁入り」するもんやから、夫の姓に変わるのが当然とされてました。夫婦で姓が異なるなんて全くの想定外やったのです。しかも、お嫁さんは家庭を専守防衛する立場となり基本的に外では働かなくなるので、結婚前後で姓が変わってもなんら支障が無かった。ところが今や、女性も男性も仕事その他で社会的立場があるため、ある日を境に突然姓が変わると困る場合が増えてきました。にもかかわらず、現行法では結婚すると夫婦どちらかの姓しか選べず(民法第750条)、そして改姓を強制されるのは圧倒的に多くの場合女性の側となっていることが問題やというわけです。

 そこで昨今「旧姓使用」が広がってきました。作家、漫画家、芸能人など、世に名前が売れてる人ほど改姓は混乱を招きます。学者先生などは学会や論文など研究活動の一貫性という理由から結婚しても旧姓そのままとする例が多い。一般人でも外で仕事している人は、結婚に際して旧姓で通す人が増えてきました。しかし、これらの場合でもあくまで「通称」であって、戸籍上・法律上は配偶者の姓に変わってるわけです。

 「女性ばっかし不利益が多い」ということで、どちらかしか選べない民法は法の下の平等を謳う憲法第14条違反と訴えた裁判で、最高裁は2015年「家族の呼称を一つに定めることには合理性が認められる」として、合憲という判決を出しました。

 しかし、夫婦別姓を求める声はどんどん広がり、この判決ののちも判例の変更を求めて提訴が相次ぐ事態となりました。そして、別姓の婚姻届を受理するよう自治体を訴えた3件の家事審判の特別抗告審で昨年12月、最高裁は再び大法廷で審理することを決めました。これは、憲法判断が示されることを意味します。4カ月経ったのでそろそろ判決が出てもいい頃です。

 このような機運の高まりの中で、政府も夫婦別姓に向けた法案の検討を加速させています。実は、検討が始まったのは意外に早くて、法制審議会が「民法の一部を改正する法律案要綱」で夫婦別姓を答申したのは平成8年といいますから、もう四半世紀の間すったもんだしてることになります。

 何年か前に学校の先生が旧姓使用を求めて訴えて敗訴した裁判は、このブログでも詳しく書きました。夫婦別姓どころか通称としての旧姓使用も認めず、戸籍名使用の強制を容認した判決に対して多くのマスコミが「これはおかしい」と一斉に書きたてました。原告が控訴したところ、なんと学校側が旧姓使用を認めて和解しました。原審で勝訴した被告の学校が原告の要求をのんだということは、控訴審では覆ることを予見したのでしょう。

 もし選択的夫婦別姓制度が実現すれば、これは「家」を基準単位として形成されてきた日本の伝統的な社会の在り方の変革を促す嚆矢となり、民法(家族法)の歴史上最大の改正といっていいでしょう。それゆえ、保守派の反対も根強い。しかし、時代は確実に夫婦別姓容認に向かっています。

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