湿潤にっぽん

| コメント(0) | トラックバック(0)

 冬になると風邪を引きやすい。気温が下がって抵抗力が落ちることもありますが、やはり空気が乾燥してウイルスが蔓延しやすいことが原因と言われてます。夏は気温が上がると湿度も上がり蒸し暑さが募り、冬は逆で気温も湿度も下がると。夏と冬の湿度が逆になれば一年中快適に過ごせるわけですが、そんなわけにはいきませんわな。

 さて、ここに、1枚の記念切手のシートがあります。だいぶ以前にも書きましたが、郵便切手蒐集は趣味の王道であり、わが国の高度経済成長期の切手収集ブームでは、当時全国にわんさかといた小学生の多くがこの紙切れの魅力に取りつかれ、こぞって蒐集に勤しんだものでした。ちょうどわたしたちの世代です。20201208_233509474_iOS.jpg

 時は流れてそいつらが大人になると、かつての興奮を再びと、当時のおこづかいでは買えなかった比較的高価な記念切手を思わず衝動買いしてしまうことがままあります。わたしだけかも知れませんが、年とると思い出の補填、人生の宿題を回収する行動が発現しがちなのです。この切手シートはそんなわけで近年になって手に入れたものなのですが、買ったときに気がついたことがあります。

 これらは「国際文通週間にちなむ切手」という当時非常に人気が高かったシリーズもので、現在も続いています。日本文化の神髄を世界に発信する意味から浮世絵などの日本画を題材としており、これはその初期のもので、葛飾北斎の富岳三十六景の「神奈川沖浪裏」。世界一有名な浮世絵のひとつで、欧米では「The Great Wave」という名で知られてます。

 気がついたことというのは、シリーズの他の切手シートと比べて、耳(切手の周りの白い部分)が白くて綺麗やということです。他のんはこれより発行年が遅く新しいにも関わらずやや黄ばんでおり、並べて比べると保存状態の差が歴然です。

20201208_233611365_iOS.jpg 原因は判明してまして、実はこの神奈川沖浪裏のシートは発売後すぐにカリフォルニアに送られて、ずっと現地で保存されてたものなのです。つまり、日本と加州の気候の差がこの保存状態の違いを生んだわけです。

 寒暖差はそんなに違わないんで、この際気候の差というとやはり湿度の差ということになるでしょう。西海岸はカラッとしてるけど、日本は湿っぽい。その違いが、ものの保存状態に影響してるんやと思います。

 例えば、ふるさと奈良県の飛鳥地区でそこいら中にある古墳は約2,000年から1,500年前頃に造られたお墓やけど、中から人のミイラや古文書が見つかったと聞いたことはありません。一方ピラミッドなどエジプトの墳墓は、4,000年以上前に造られたにもかかわらず、今でも埋葬当時に近い状態で王様の遺体だのパピルスに書かれた文書だのいろんな物が出土します。この違いはやっぱり湿度の差によるものです。日本にこの湿気がなかったらもっといろんなものが残ってて、壁画が消えちゃうこともなくて、卑弥呼がどこにいたかもきちんと分かったかも知れません。

 しかし一方で、この湿気を伴う気候こそ日本で四季の風情を生み、美しい風土、豊富な大地と海の恵み、そして素晴らしい文化を育んできたわけなんで、古い物が失われやすいというデメリットにはこの際目をつむらなければならんでしょう。

トラックバック(0)

トラックバックURL: https://corridor0108.main.jp/mt/mt-tb.cgi/608

コメントする

WELCOME

CALENDAR

PROFILE

IMG_0227_2.jpgのサムネール画像のサムネール画像

katsuhiko

男 

血はO型

奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

生まれてから約半世紀たちました。

お休みの日は、野山を歩くことがあります。

雨の日と夜中はクラシック音楽聴いてます。

カラオケはアニソンから軍歌まで1000曲以上歌えます

月別 アーカイブ