小さなアサガオ

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 中秋の名月が過ぎ、秋が深まっていきます。通勤の電車ではまだ上着着てネクタイ締めている人はほとんどいません。

 日本人が夏のあいだネクタイ締めなくなって久しい。クールビズというやつです。それでもかつては確か9月いっぱいやったのがいつの間にか10月まで期間が延びました。地球温暖化の進行で平均気温が上がり夏が長くなってきた帰結ということでしょうか。何にせよ社会的に一斉にビジネスマンのユニフォームが楽ちんになることは実によいことです。ただ、ネクタイ屋さんは困ったもんでしょうね。

 街を歩いてると、そろそろキンモクセイの芳香が風に乗って漂ってきそうです。よく「運動会の香り」と言われて、私なんか「うまいこと言う」と思う昭和世代ですが、さっこんは運動会を春に行うところも増えてるとか。ともあれ、夕暮れともなるとわけもなく淋しさが募ってくるいつもの秋の風情です。

 そんな新しい季節にあって、わが家のベランダではいまだに夏の名残のアサガオがいくつか咲いてます。大半は種になってそろそろ枯れた葉っぱを撤収しようかと思いながらも、花が咲き続けてるうちは手をつけずにいました。

20200922_211451141_iOS.jpg そのうちのひとつの鉢はどうやら土の栄養が足りなかったみたいで、いくつか撒いた種のうち発芽して伸びたのは1本だけ。すこし経ってから同じ鉢にもう2つ撒いたところ、芽が出てきました。ほかのんより1カ月ほど遅れての成長開始でした。やっぱり土が悪いので、ツルは細くて伸びるのも非常に遅い。50センチほど伸びてどうやらこれが限界といった様子です。

 思えば毎年ズボラして同じ土を繰り返し使ってきたので、土そのものの力がもはや限界です。今年の春先に古い土を捨てたのですが、この鉢まだいけるかなと思って肥料を混ぜてごまかしました。やっぱりダメやったみたいです。

 ところが先週、ダメと思ってたこの鉢の貧弱なアサガオが、小さな小さな花をつけました。ペチュニアよりも小さなムラサキ色の可憐な花です。これには少し感動しました。

 伸びないから日当たりも悪い。撒いた時期が遅いから気温も低く、何より肝心の土の質が粗悪で、成長する条件は極めて劣悪であるにも関わらず、持てる力を振り絞って花を着けた。与えられた条件の中で、可能な限り限界まで力を発揮し、生命の本分を全うしたのです。

 自分を顧みて、運が悪いとか条件が悪いとか何かと理屈をつけて勝負を避け、気力を失うことが無かったか。条件が悪くても、力が小さくても、与件の中で自分のやるべきことに力を尽くしてきたか、小さなアサガオに問われた思いがしました。

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katsuhiko

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