ひとり多い

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 今年もあと10日。えらいこっちゃ、年賀状書いてない...

 それはそれとして、今日は最近読んだ本のことを少し。

 綾辻行人の「Another

 「今ごろかいっ!」という突っ込みがいくつか聞こえてきましたが、まあ待ってください。ちょっと言い訳がありまして。

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 前にも確か書いたことがあるような気がしますが、わたし読書がわりと好きで、常に何か読んでいたいほうなので、おもしろそうと思った本は新刊でも古書でもとりあえず買っておくことにしてます。

 本に限らず、買い物は一期一会。「街なかを一回りして帰りに買おう」をやってしまうと、忘れてしまったり、売り切れてしまったり、また帰りはそのお店を通らなかったりで結局買えず後悔することが、長い人生で多々ありました。何事でも「やらずに後悔するよりやって後悔せよ」は、人生を面白くする基本です。で、こころを入れ替えて、欲しいと思ったらその瞬間のインスピレーションを大切にしてすぐに買うことにしてます。買って後悔したことは、買わずに後悔したことよりも少なかったように思います。

 するとどうなるか。そやってどんどん衝動買いするんで、買ったきり読んでない本の在庫が増えていきます。テレビの録画が溜まっていくことはなんとなく憂鬱です。しかし不思議なことに、読んでない本が増えることはなぜか安心感があって幸せなのです。

 「Another」もそういう事情で読まずに置いてました。これが言い訳その一。

 その二としまして、最近物忘れがひどくなっており、読んだ本の内容をあまり覚えていません。読んだことは覚えていても「はて、どんなストーリーやったかな」ということが多い。ひどい場合は読んだことすら忘れて同じ本をまた買って読み始めて思い出したなんてこともありました。つまり「Another」もすでに読み終えたつもりになっていたわけです。先週、書架の前でふと目につき「えっと、どんな話やったかな」と思い出せない。有名な作品なんで、さすがに忘れるはずはない。結論「買ったまま、まだ読んでない」ことが判明したのでした。

 通勤電車3日間で読み終えました。以下感想を記しますので、まだ読んでおられない方はご注意ください。

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 綾辻行人といえば、いわずと知れた本格推理の重鎮、「館」シリーズが有名です。十角館の殺人、迷路館の殺人、人形館の殺人、時計館の殺人、黒猫館の殺人...。ほぼ読みました。中でも最初にハードカバーで読んだということもあって「霧越邸殺人事件」がいちばん印象に残ってます。

 ちなみに、これらのいわゆる吹雪の山荘もの(クローズドサークル)は、いまやミステリーの王道ですよね。古くはアガサクリスティーの「そして誰もいなくなった」「オリエント急行殺人事件」から、最近では東野圭吾まで。犯人はこの中にいる!果たしてどんなトリックが?どんなどんでん返しが?作者と読者のガチンコ真剣勝負なんて言われますが、勝てたためしが無いし素直に雰囲気を味わうだけでも実に楽しい。

 ちょっと話が逸れました。「Another」です。これは中学校舞台の青春ミステリーです。ちょっとホラーの要素が強い。スプラッタ気味のところもあります。

 「ひとり多い」系です。これはわたしが勝手にジャンル名をつけました。萩尾望都の「11人いる!」に通じるものですが、「Another」はもっと怖い。どっちかというと、ざしきわらし。怪談で何が怖いって、幽霊や妖怪なんかより生身の人間がいちばん怖い。中でも人数が合わない話は究極の不気味さという点でとどめをさします。

 いるはずのないもうひとり(Another)の謎、不可思議と秘密と悲劇とが交錯しつつ徐々に解き明かされていき、映画化したら「映え」そうな大団円へと突入していきます。

 重要な叙述トリックがラストで炸裂しますが、わたしは、これはちょっとどうかなあと思いました。また、キャストが秘密を話しだしそうな場面でわざとらしく邪魔が入るなど、ちょっと漫画チックなところがいくつかあって、これもあまり好きではない。でも、全体の雰囲気はよくて映画の原作を読んだと思えば納得の作品でした。オススメできます。

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katsuhiko

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