遥かなるアフガンで

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 衝撃のニュースが来信しました。

 NGO「ペシャワール会」の医師、中村哲先生が銃撃により亡くなられたとのこと。悲しくて、残念で言葉がありません。

 医師としてパキスタンからアフガンに赴任し30年以上現地で医療活動のかたわら、井戸を掘りまた用水路の建設を進めてこられました。2006年までにおよそ1600本の飲料用の井戸と13本の灌漑井戸を掘ったとか。アフガニスタンでは干ばつが悪化し、水不足による栄養失調や感染症が急増していたことから「医療だけでは難民は救えない」との思いからの活動であったと言われてます。

 先生の活動によって、これまでに1万6500ヘクタールで灌漑が行われ、65万人の生活が維持されているとのこと。「将来子どもたちによいアフガニスタンを残すことがいちばんの課題であって、できるだけ砂漠を緑化し、人々が暮らせる空間を広げていきたい」と語っておられたとか。

 nakamuratetsu.jpg信念の人でした。人間は信念を持つとここまで利他的に行動できるのか。お医者さんだったので、もっと楽に儲けて楽に生活しようと思えばいくらでもできるのに、そうはしなかった。遥か遠くの縁もゆかりもない土地に赴き、現地主義を貫き、先頭に立って重機を操作し用水路を掘り進めました。

 はじめてテレビで視たとき「この人、吉本新喜劇の山田花子に似てる」が第一印象でした。それが、その功績を知るにつれて「なんなのだ、この人は」という驚きとともに尊崇の念が沸々と湧いてきました。

 わたし、勤務先の職員研修で若い人たちに向かって話をすることがしばしばあります。基礎的な業務の取り組み姿勢で、いかに仕事のモチベーションを上げるかというありがちなくだりでよく引き合いに出すのが、いわゆる「マズローの欲求5段階説」です。端折って結論だけ言うと、人の究極の欲求は、自己実現をも超え目的の遂行・達成「だけ」を純粋に求めるという領域で、見返りも求めずエゴもなく、自我を忘れてただ何かの課題や使命、職業や大切な仕事に貢献している状態ということです。

 そして、「例えば、アフガンで井戸掘ってるお医者さん、いるでしょ。あの人、なんでまたわざわざ治安の悪い国に行って、儲かりもしないのにであんな辛いことやってると思う?」と受講者に聞くわけです。「売名行為でもなければ、他人に感謝され崇められたくてやってるわけでもない。自分の信念に基づいて目的に没頭し、使命を果たすためにやってんのよ。究極のモチベーションとはそういうもの」そして「みんなも自分の仕事を自己実現欲求を果たす手段と認識できれば、超モチベーション上がって楽しくなるよ。」とつなげます。中村先生を仕事上で勝手に引き合いに出してたわけですが、それほどのリスペクトを抱いていたのです。

 アフガンは中村先生のおかげで飢餓から解放され、先生は、日本とアフガンとの絆を築いた恩人として、これからもずっとアフガンとともにあると多くの人が思っていました。人の運命のなんと過酷なことか。多くの日本人アフガン人そして世界の人々が、強烈にそう感じたことでしょう。なんとも残念で仕方がない。地球上に生きる人類のひとりとして深甚なる感謝をささげるとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。

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