タックルとクレーム

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 げにおそろしきはネットの威力、と先週書きましたが爾来今に至るまでさらに威力を増して吹き荒れています。

 あとからあとから小出しに学園上層部の会見が行われる後手後手対応や、あのディフェンスの学生さんどうなるのか、栄光の日大フェニックスこれからどうなるの、など国民の興味は尽きず、特にネット上ではおよそひどい言われようが続いています。今日は事件の内容や大学の対応を語るよりも、大衆のひずんだパワーのことを少し。

 なぜか、日大の対応は安倍政権の隠蔽体質に似ているという声をよく聴きます。朝日新聞をはじめとするアベ憎し勢力はとにかく何でも安倍総理のせいにするわけですが、安倍政権のせいで大学までウソをつきはじめたというわけです。また、監督のパワハラには国民こぞって激怒するのにセクハラ加害者には寛容なのはおかしいやんとか、およそ関係ない主張が各方面から参入し、もう分けがわからない。これぞ大衆のひずんだパワーです。そのうち、米朝会談の中止も日大のせいにされるんやないでしょうか。claim.jpg

 なかでもつらいのは、日本大学で抗議の電話が鳴りやまないことです。今回の事態の前提として、日本大学という組織はとてつもなく大きい。学生・生徒数12万人、先生たち、そして事務スタッフの皆さんすべてあわせるとその関係者たるや大変な人数になります。そのうち、今回やっちゃった当事者はほんの数人で、学生・生徒は言うに及ばず、大半の関係者たちは何の落ち度もない人たちであることを忘れてはいけません。

 電話かけて対応窓口の職員さんを怒鳴り散らす人たちは、ここぞとばかり自らの鬱憤を晴らし、あるいはサディスティックな悦びに浸っているだけです。ひずんだパワーとはこういう連中のことです。失敗した、または弱みを見せた人や組織に、何の関係もない人がいわゆる「電凸」する。「いじめ」によく似た構造ですが、自分の名前や身分を隠してる点でいじめよりずっとたちが悪い。さらに、そんな愚かな行為を行いながら、正義は自分にあってまるでいいことをしたかのような気になっているのです。最悪です。

 大体、クレームというものは自分自身が迷惑や不利益を被った場合や、相手、今回であれば日大のことを思って意見を述べたいという場合の手段であって、心無い誹謗中傷は何の解決にも、再発防止にも役立ちません。大学に架かってきた電話を最初にとる人は、組織を代表してファーストコンタクトとなるのですから当然その気構えは必要で「さあね、わたしに言われても...」というわけにはいかず、しっかり話を聴くことは当然必要です。しかし、相手の言いたいことの主旨を理解すればあとはもう「担当者に伝えます」でいい。罵詈雑言のクレームに延々と付き合う必要などないのです。

 「タックルさせられた日大の選手が可哀そう」というのが現時点の多数世論ですが、わたしはふってわいた災難の対応に苦しんでいる罪なき日本大学関係者の方々がよほど気の毒に思います。

 さて、今回の騒動、監督さんとコーチの一人が「責任」をとって辞任されたわけですが、それが「指導が行き届かず選手である学生がひどい反則をして相手にケガさせた」ことの責任なのか、「相手にケガさせるように指示した」ことの責任なのかがいまひとつはっきりしません。今後第三者委員会の調査、警察の捜査の焦点はこの点に絞られてきます。事態が速やかに収束し、日本大学と関係の皆さんに一日も早く平穏な日々が戻ることを願ってやみません。

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