NHK驕り高ぶる

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 国営有料放送のNHKは受信料やめてスクランブル化すべし、とだいぶ前に書きましたが、このたびNHKの受信契約を強制する放送法が合憲か否かが争われていた裁判で最高裁は「ごーけん」とする判決を出しました。もし仮に違憲判決など出ようもんなら、これまで払った受信料全部返せと日本中で暴動が起きるので、合憲判決は大方の予想どおりでした。とはいえNHK受信料問題に関する初めての最高裁判断、歴史的判決というわけで各紙大騒ぎです。

 NHKbill.jpg判決いわく、テレビが家にあれば受信料を支払わなければならない。これは知る権利に応える公共放送を支えるため、なんですと。

 「NHKが知る権利に応えているから契約は強制でも合憲」とは妙な理屈です。知る権利があれば知らない権利も当然あるわけで、視聴者に知る権利を押し付けて、それを支えるために受信料制度が必要というのは論理矛盾の気がします。

 そもそも契約には当事者間の合意が必要であり、一方的に押し付けられるものではありません。受信契約にしても同様で、放送法の「契約しなければならない」なんて法令条文は普通ではありえない話です。ではなぜNHKだけ契約の強制が許されるのか。放送法は「(NHKは)公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組...を行う」としています。つまり、NHKは「豊かで良い」番組やから、国民皆これを視なければならない、視てるんやからそれに対して金を払う義務があると。つまり「視ることを強要」しているのです。

 普通に考えてこんな法律はおかしい。「豊かで良い」番組なんて誰がどのように評価するんでしょか。いいか悪いかなんて1億人の国民ひとりひとり判断が違うわけで、国民すべてにとって「良い」番組なんてありえません。イスラム国やオウム教団は間違いなく悪ですが、そのカルト思考に心酔した変人にとっては教義に沿った犯罪を悪とする報道は「良い」番組とはいえません。ご皇室の様子を伝える報道は、天皇制を認めない共産党員にとっては「良い」放送とは思えないでしょう。人によって違うのです。皆が「良い」と思う放送なんて不可能です。放送法は不可能を求めており、その不可能を前提として受信契約を強制してるのです。

 お金払ってでも視たい人だけが見る。それでいいではないですか。

NHKlog.jpg NHKはスクランブル化しない理由について、公式サイトで次のように説明しています。

 ○ NHKは、広く視聴者に負担していただく受信料を財源とする公共放送として、特定の利益や視聴率に左右されず、社会生活の基本となる確かな情報や、豊かな文化を育む多様な番組を、いつでも、どこでも、誰にでも分けへだてなく提供する役割を担っています。

 スクランブル化すれば「受信料を財源とする」必要はなくなります。受信料を財源としなければ「特定の利益や視聴率に左右されず、社会生活の基本となる確かな情報や、豊かな文化を育む多様な番組を、いつでも、どこでも、誰にでも分けへだてなく提供する役割」など担わなくてすむわけです。本末転倒とはこのことです。

○ 緊急災害時には大幅に番組編成を変更し、正確な情報を迅速に提供するほか、教育番組や福祉番組、古典芸能番組など、視聴率だけでは計ることの出来ない番組も数多く放送しています。

 だから、何故にだれもみたくない番組を金をかけて制作する必要があるのかって話です。「お前のためを思ってこの番組を作ってやったからありがたく思って視なさい」ということですか。徴収した受信料を大多数の視聴者がみたくもない番組の制作に浪費していることを抵抗なく公言する姿勢がそもそもお上意識の権化です。視たい番組は自分で選びます。

○ スクランブルをかけ、受信料を支払わない方に放送番組を視聴できないようにするという方法は一見合理的に見えるが、NHKが担っている役割と矛盾するため、公共放送としては問題があると考えます。

 その「NHKが担っている役割」なんてものがそもそも必要ないのです。放送といえばNHKしかなかった時代にできた放送法は、今や時代にそぐわずただNHKの既得権益を保護するためにしか機能していません。視たい番組は自分で選びます。

○ また、スクランブルを導入した場合、どうしても「よく見られる」番組に偏り、内容が画一化していく懸念があり、結果として、視聴者にとって、番組視聴の選択肢が狭まって、放送法がうたう「健全な民主主義の発達」の上でも問題があると考えます。

20171208_134539842_iOS.jpg  採算のとれる範囲で番組を制作すればええやないですか。視聴者が求めれば自ずと番組の種類は拡がっていき、結果選択肢も増えます。巷間に溢れる民営ペイテレビのチャンネルの多さを知らないのでしょうか。結果的に多くの人が見たい番組を多く作りニーズに応えることが放送局のあるべき姿なのではないでしょうか。視たくもない、したがって視てもいない番組の制作費まで搾取されることがNHKが言う「健全な民主主義の発達」なんでしょうか。さっぱり分からん。

 NHKの価値観、NHKの倫理観、NHKの善悪意識こそが正しい「良い」ものであって、衆愚はただそれに従えばええんよという考えやからこんな斜め上の理屈を堂々と公表できるのです。もうね、これは合憲違憲という話やなくてNHKの在り方そのものを、その解体も含めて真剣に議論すべき時期にきていると思うわけです。

 ところで、新聞各紙今回の判決を伝える中で、もともとNHKとは仲が悪い朝日新聞は、判決要旨とともに大法廷の最高裁判事全員の写真とプロフィルなんか載せてます。「読者のみなさん、受信料合憲の判決出してNHKに味方した裁判官はこいつらですよ~、覚えといてね♡」という意図が感じられます。朝日らしい印象操作で、これはこれでなかなかに興味深い。

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