朝日新聞の脚色

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 昨日、ウンベルト・エーコ氏の訃報が伝わりました。
 
 小説「薔薇の名前」などの著者として知られるイタリアの作家・哲学者やそうですが、正直、これ以外の作品はまったく知りません。
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 もう十数年前のこと、胆のう炎を患って肝機能が低下ししばらく入院したことがありました。あまり自覚症状がない元気な入院患者やったので、一日中退屈でしょうがない。したがってベッドでいっぱい本を読んだわけですが、この作品もその中のひとつでした。特異なシチュエーションで読んだ作品は、自分の思い出とともに記憶に残るもんです。
 
 14世紀いわゆるアビニョン捕囚時代のイタリアの修道院を舞台に、僧侶たちが次々死んでいく謎を主人公の修道士が解明していく、いわばミステリーです。しかし、重厚な時代背景や異端審問に関する解説が延々語られたりで、ストーリーの本筋以外の部分が非常に多くて、しっかり腰を入れて読んでいかないと、読みながら寝てしまいそうな作品です。入院中という、逃げ場のない状況でなかったら最後まで読み終えたかどうかあやしいもんです。
 
 この作品、のちにショーン・コネリー主演で映画化もされたそうです。観てませんが映画やとおそらくは余分なところ端折って純粋なサスペンスに仕上げているのでしょう。映画は観客を退屈させてはならないわけで、興味を持続できるように原作を編集、脚色することはあって当然です。
 
 しかし報道機関は脚色してはいけません。事実をありのままに伝えることが求められます。ianfuyomiuri.jpg
 
 いきなり何の話かとお思いでしょうが、先週のことです。いわゆる慰安婦問題について、日本政府は国連欧州本部ではじめて事実関係を説明したそうです。韓国の執拗な宣伝によって国際社会で認識されているような「強制連行」を裏付ける資料はない、つまりそんな事実がないことを説明するとともに、そんな現状に至った原因は、吉田清治なる人物が著書で「自分が日本軍の命令で韓国の済州島において大勢の女性狩りをした」と事実を捏造して発表したため、と指摘しました。
 
 この本の内容が「朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えた」とも述べ、さらにその本に書かれていることは「複数の研究者により完全に想像の産物であったことがすでに証明されている」と明言しました。
 
 新聞各紙、詳細に伝えてますが、なんと驚いたことに朝日新聞の記事は、政府代表の説明のうち、吉田清治の捏造と朝日新聞による不適切な報道に関する説明の部分を無視して全く書いていません。
 
ianfuasahi.jpg 報道の自由には報道しない自由も含まれるということでしょうか。しかし、あるひとつの事象について、いち部分のみ隠ぺいすることは捏造にほかなりません。朝日の読者は、政府代表が国連で行った説明の半分しか知ることができないのです。
 
 こんなことはやっちゃダメです。論評はもちろん自由にやったらいいけど、報道機関である以上事実を歪曲してはいけません。自分にとって都合の悪いことについて詳しく報じたくないという気持ちは分かりますが、ウソでも新聞なんやから、事実は事実としてありのままにはっきりと伝えた上で、それに対する弁解なり謝罪なり、またいまだに反論があるなら反論するなりするべきでしょう。
 
 肝心なことは隠ぺいした上で、さらに朝日の記事は「韓国側の認識と違う日本政府の見解を国連の場で説明すれば、韓国で合意を批判する一部の市民団体やメディアを刺激しかねない。」などとピントはずれなことを書いてます。事実と異なる記事を書いて韓国国民やメディアを刺激するための大キャンペーンを展開してきたのは果たして誰であったのか。その結果として、日韓関係が戦後最悪の状態に至ったのはいったい誰のせいと思っているのか。「事実とは異なるが捏造ではない」と詭弁を弄して、謝罪しつつも未だ責任は認めず、貶められた日本と日本国民の名誉を回復するために何ら動こうとしないのはいったい誰なのか。
 
 日本政府が初めて国連の場でこうした事実関係を説明したわけですが、本当は朝日新聞こそが積極的に真実を発信していくべきなのです。全く反省していません。「サンゴの朝日」健在です。

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