夢を載せて

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 JAXAのH-IIAロケット26号機の打ち上げが成功しました。

 宇宙ロケットというと、われわれの世代やとすぐに米アポロ計画の月ロケットを想起しますが、いつの間にか日本でも純国産のロケットを開発し、人工衛星をバンバン打ち上げるほどの技術を確立してたんですよね。

HIIA.jpg 今回のミッションは、人口衛星の軌道投入ではなくて小惑星探査機「はやぶさ2」の発射です。ドラマチックな地球帰還で日本中が感動にわいた「はやぶさ」の後継機ということで、さらに注目が集まった感じです。

 リニアモーターカーの敷設やiPS細胞の実用化など、科学技術の最先端情報は大きなニュースになります。大阪万博やないけど、人類の進歩はここまできてる、その時代に自分が生きているという実感に誰しもが感動するからでしょう。その中でも宇宙開発は人類がまだ見ぬ未知の領域としてはけた外れに大きい。知れば知るほどその壮大さに圧倒されながら、省みてちっぽけな存在の人間が起こせる所業はどっこい存外大きい、などと想像と創造を導いてくれます。

 今回探査の対象となったという小惑星「1999JU3」は、地球とよく似た軌道で太陽を回ってる直径900mくらいの天体やとか。そこまで行って地面を削り取って持って帰ってくるそうです。そんなことホンマにできるんやろかと思いますが、実際に先行機の「ハヤブサ」は小惑星イトカワ表面の微粒子を持ち帰りました。

 私が愛してやまない桂枝雀さんは若い頃、アポロの月面着陸について、「あんなことできるはずがない。あれはスタジオで撮影したに違いない」という説をとってました。だって、幼い頃、田舎で小川を跳び越すときでさえよく失敗してボチャッとはまった。もちろんこちらの岸も向こう岸も止まってるのに。それを、動いてる地球から動いてる月に、動いているロケットに乗って行けるはずがない、というものでした。これは大いに説得力があります。わたしもスタジオ説に賛成でした。hayabusa.jpg

 しかし時を経て21世紀、ハヤブサは帰ってきました。そしてさらなるミッション背負って再び遥か彼方の小さな星を目指して旅立って行きました。これはSFの世界でもなければ、遠い未来の出来事でもなく現実に起こりつつあることなのです。枝雀さん、もし存命ならばどういうコメントをマクラに振ったでしょうか。

 その後アメリカではアポロからスカイラブの宇宙ステーション、そしてスペースシャトルとどんどん宇宙開発を進め、日本はその後塵を拝してきました。なぜか飛行機産業や宇宙開発は発達しなかった。やっと先日、初の国産ジェット機を製品化したところです。

 太平洋戦争にボロ負けした日本は、世界中から「危険な国」のレッテルを貼られて軍需につながる航空機産業は禁止されたからこの分野が遅れてる、ということがよく言われてますが、そんなことはないでしょう。連合国の占領下にあった8年間はそうであっても、独立して主権回復ののちは誰はばかることなく研究開発できたはずです。実際、戦後の貧しい時代にYS‐11という傑作機を開発しました。一方でジェット機の開発は遅れたのは、やっぱり採算の問題やったんでしょうね。つまり、ジェット機やロケット造っても儲からない。アメリカにまかしとけばよかったと。

 がむしゃらに走ってきた日本は、この間、効率と利便を極めることに技術開発の力を注ぎ、人の幸せを実現してきました。その延長で考えると、小惑星の石を持って帰ってきていったい何の役に立つのか、そんなことに税金使って国民の腹が膨れるのかということになります。ところが、高度成長終えてバブルも経験して、その後の不況に苦しんで21世紀の現代、日本の国民はその持てるモノづくり技術をもっと夢のある分野に活かしたくなってきたのです。果たして目に見える利益だけが技術の使い方やろか、という話です。

 実際今回、巷間賛辞に満ちています。「JAXA、Good job ! 事業仕分けで民主党にいじめらながら、本当によくやった。頑張れハヤブサ2!無事に還ってこいよ~」

 みんな夢を求めてます。

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katsuhiko

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