はじめての歌舞伎

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img023.jpgのサムネイル画像 昨日行ってきました。歌舞伎座ではなくミナミの国立文楽劇場で行われた「上方歌舞伎会」というイベントです。

 これまで、観たい観たいと焦がれつつ機会がなかったホンマもんの歌舞伎、やっと成就しました。生まれて初めてです。演目は「義経千本桜」から「下市村椎の木の場」「下市村竹藪小金吾討死の場」そして「下市村釣瓶鮨屋の場」。

 つまり、長年機会あればと思ってた歌舞伎、それが今回、故郷下市ゆかりの「義経千本桜 鮨屋の場」の公演を知るところとなったことから、ここしかないと思い立ったわけです。
 結果、期待どおり大いに満足、大いに感動して帰ってきました。

 「義経千本桜」は平家に追われる義経を扇の要のように、様々なドラマが展開されていきますが、昨日の下市村の場では義経のヨの字も現れず、源氏に追われる平維盛と「いがみの権太」という下市村のチンピラを中心とした物語です。この三段だけでいちおう話が完結するので近年ではよく上演されるんやとか。千本桜全編やと初段から五段目まであって、下市村のくだりは三段目です。全段通すと丸いちにちかかってしまいます。かつてはそうやって上演されてたんでしょ。

 舞台になってる「つるべ鮨 弥助」実は、今も下市に実在するお店なのです。わたしも子供のころからその存在は知ってまgonta.gifしたが、「なんか、歌舞伎と関係あるらしい」ぐらいの認識でした。今回実際に観て、ふるさとが全国に誇るべきことがらのひとつをやっと理解したという気がします。ちなみに下市町のゆるキャラは「ごんたくん」です。

 現代では実に様々な劇団が公演を打ち、ひっくるめて「お芝居」と言ってますが、かつてわが国で「芝居」といえば歌舞伎のことでした。江戸の昔、出雲の阿国がルーツとされるこの伝統芸能、観客はかかる演目の筋書なんかすでに百も承知であって、映画のようにスト―リーの展開を楽しむわけではなく純粋に役者の芸を観たいわけなのです。独特の所作、独特の台詞、観る者は舞台の役者が次にどういう台詞を吐くかをすべて知った上でなお芝居を鑑賞します。芸を楽しむのです。落語やなんかと同じですよね。

IMG_2664.jpg 歌舞伎の魅力は「様式美」です。リアリティのかけらもない。物語のツジツマもところどころ「?」突っ込みどころがたくさんある。しかしそんなものは何の障りにもならない。舞台・客席一体となってわが国の伝統としての様式美にひたる。それが歌舞伎の楽しみ方なんやなあと、いまさらながらに思いました。

 まず、衣装がすごい。メイクがすごい。衣装のせいで舞台や花道に立つ役者さん、皆一様に大きく見えます。実際にこんな重たい格好で旅に出たり決闘したりはでけんわけです。舞台に登場する役者さんのいでたちを眺めるだけで値打ちがあります。高そ~とか思ってしまいます。

 鮨屋の場のクライマックスに向かう場面、権太役の役者さんが花道で寄り目がちに遠くを見据えて見得を切った瞬間、背筋がぞくっとする感動を覚えました。歌舞伎初めてのまったくの素人であるわたしに芸の良し悪しなんておよそわかるはずもありません。そのわたしが素直に「スゴイ」と思う。しかも、片岡松十郎。すんませんが全く名前知らない、今日初めてみた役者さんです。稽古を積んで素晴らしい演技の域に達しているのでしょう。しかし、この感動は400年間わが国において追求されてきた日本人が求める様式美の集大成に、わたしが初めて触れたことによります。理屈抜きでDNAがすなおに反応した。そんな感じでした。

 歌舞伎は伝統芸能とか言われ、あちこちに保存会やなんかもあって、ややもするともはやオワコンのように扱われてる感もあります。しかし、日本人がいる限りその魅力は廃れることなどなく、将来も連綿と隆盛をきわめていくに違いない。帰路、降り出した雨に打たれながらも興奮冷めやらず、そんなことを思ってました。

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katsuhiko

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