深まりゆく秋を感じるべしと、紅葉見物に行ってきました。
京都です。
奥さんが、テレビで観た嵯峨野の「大河内山荘」行ってみたいとか言うもんやから、それもまぁいっかと思い立った次第です。今年は奈良検定受験に備えて、ふらふらと山歩きするのも奈良県内を中心としてたので、京都は久しぶり。夏に下鴨納涼古本まつりに来て以来かな。あの折はまさに真夏の炎天下、下賀茂神社から相國寺までフラつきながら歩いたわけです。その暑気というか熱気もとうに過ぎ去り、洛北の街角にも冬の冷気がたちこめてます。
久しぶりの嵐山は9月の台風18号大雨被害の傷跡もすっかり癒えて、多くの観光客で賑わっています。外国人もやっぱり多くて、聞こえてくるやたら声高の騒音は中国語や韓国語が多い。国際観光都市京都らしい在りようで、たまに日本語を聞くとほっとします。
大河内山荘。往年の俳優大河内傳次郎の別荘やったとか。敷地、実に2万坪。大河内傳次郎といえば桂三枝のギャグ「オヨヨ」のもとになった時代劇俳優ということぐらいしか知りませんが、小倉山のふもとの一等地に個人でこれほどの建物、庭園を造りあげるとは、なんとも豪気な話です。映画スタァというのは当時から御大尽やったとみえます。
回遊式の庭園で、順路に沿ってくるっとひと周り歩けるようになってます。巡っていくと次々に景色が変化していって、なんとも趣があってよろしい。特に遠く市街を一望できる展望台などはよく工夫されてると思いました。小経両側の地面の上には小さなモミジの葉が散らばってます。木がないところにもみごとに均等に葉があるということは、庭師の人が丁寧に撒いていってるのでしょう。これは、管理のための維持費たるやすごいことになってるはずです。入場料1,000円も仕方ないところか。お茶席で抹茶とお菓子つきやし。
嵯峨野をあとにし嵐電に乗ってコトコト、仁和寺に向かいました。御室の桜とゆうのんが有名なお寺やそうです。拝観料払ったときにもらったリフレットによると、このお寺世界遺産なんやとか。
そいや以前にテレビで京都出身の某タレントが「京都には世界遺産 が17個もある」とか自慢してましたが、京都の世界遺産は「古都京都の文化財」1件だけであって、17個というのはその構成要素に過ぎません。むしろ17個も寄せ集めないとひとつの世界遺産を構成できなかったということは、ひとつひとつはチンケやというあかしで、自慢にもならない。その点、奈良には「法隆寺地域の仏教建造物」「古都奈良の文化財」「紀伊山地の霊場と参詣道」なんと3件もの世界遺産があります。国宝の数で競うと文物は京都の方が少し多いけど、建造物の数は圧倒的に奈良の勝ち。ついでに国の史跡は奈良120件、京都94件、そのうち特別史跡は奈良10件、京都3件。 やっぱり、奈良やなぁ。
・・・話がそれました。
仁和寺。大阪府北摂の住民はこれを必ず「にわじ」と読みます。寝屋川市内にある同じ字の地名の方がよほど馴染みがあるからです。
高校時代に古文で習った徒然草には確かこの仁和寺関係のエピソードがあったように思いますが、今ではもう遠い記憶の彼方です。
なんとも大っきなお寺です。デカいだけあって庭園から遠くに眺める五重塔も、なんと余裕でここの境内敷地内に建ってるのやとか。
庭園の紅葉をしばし楽しんだのち、歩いて龍安寺に向かいました。こちらも大きなお寺ですが、山門付近が仁和寺より狭いぶん観光客の混雑がひときわ感じられます。修学旅行と思しき中学生たちが、明らかに北関東以北と分かるイントネーションできゃあきゃあ言ってます。彼ら4・5人の集団にヤサカタクシーの運転手さんがひとりついて案内してます。タクシーって5人も乗れるんや。
さて、龍安寺といえばなんといっても石庭が超有名ですが、実はここ来たの初めてなのです。幅20mくらいでしょうか。思ってたよりも狭い長方形の空間で、枯山水がなんとも「禅」してます。誰がどういう意味をこめて作ったのかはっきり分かっていないのやとか。15個ある石の配置に何らかの深い意味あいがあるそうですが、造ったひとは案外何も考えずに適当にポンポンと置いただけのことで、後世の人々が勝手に悩んでるのかも。
方丈の縁側に坐って哲学的な空間をつらつら眺めながら、となりの奥さんに
「このキレイな箒目、ハトとか野良猫とか入って来んのやろか」
「わたしも、同んなじこと考えてた」
今日巡った先々の紅葉は、すでに少し時期が過ぎててやや色褪せてましたが、それでも見渡すかぎりに色づいててニッポンの秋の風情を堪能できました。
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