ひさりぶりに万年筆のことを書きます。
モンブラン社製 「マイスターシュテュック 144」 というモデルで、記憶している限り生まれて初めて自分で買った万年筆です。
デパートで買ったとき、うちの奥さんが一緒にいたから、おそらく20年ほど前、当時はネットの通販なんてなかったか、あってもまだ私は使う習慣はありませんでした。
既に何本も万年筆持ってたのに、何故にこの一本買ったかということですが、単に「太字の万年筆が欲しい」という実務的な事情からでした。
それまでの人生で入手した万年筆は、これまでにも書いたとおりすべていただきものやったので、用途や自分の好みが反映されることもなく、一様にオーソドックスな細字か中字のものでした。一方、80年代後半頃から、オフィスでは急速なIT化が進み (当時は「OA化」なんて言ってましたが) 書類作成方法が手書きから、ワープロ、パソコンへと劇的に変化していきました。書類はプリンタ印字でも、手紙や仕事上の信書の最後には自筆で署名がしたい。どうせならインパクトのある太い文字が書きたい、けど太字の万年筆一本も持ってない…。それが購入動機でした。今思うと、署名なんか太かろうが細かろうがえーやないかと思いますが、何故かその頃はこだわってたのですね~。珍しく「買おう!」ということになったのです。
どうせなら一生使えるブランドにしようと、モンブランの売り場で代表的なモデルを教えてもらいました。
太字ならなんでもええけど、せっかくなら署名だけでなく日常も使えるのがいいなと希望を言ったところ、マイスターシュテュック というシリーズを「大中小」並べられました。順に「149」「146」「144」とゆうモデルやそうです。
149は一目見てダメでした。ぶっとい!どっかの大統領が条約の調印式のときに使えばサマになるようなシロモノでした。これは、ぺーぺーのビジネスマンが普段使いするにはちょっとインパクトありすぎ。
146はそれよりやや細め。それでもいつも使ってる他のペンやなんかに比べると、相当に太い。インクがたくさん入るための工夫なんやろか。私は手が小さいので太すぎる筆記具は長時間使いづらいという思惑から、結局いちばん細い144というのんに決めました。これなら持ち運びにもかさばらない。お値段も手頃。
さて、買って帰って使い始めたところ、初めての太字の筆記感覚に戸惑いながらも、モンブラン独特の毛筆にも似たヌルヌルとした書き味には満足していたのです。
ところが、しばらく使っているうちにどうも調子が悪くなってきました。インクの供給がよろしくない。太字なので当然ペン先のインクの減りはすさまじく早い。それに合わせてコンバータからインクがどんどん送られれば問題ないのですが、どうも追いつかずに結果、字がかすれてしまう。これは万年筆としては致命的な不具合です。
ハズレやったかなぁと思ったものの、やっぱり初めて自分で買ったアイテムですので諦めきれません。何とか使い続けたいと思って、買ってから数カ月後、心斎橋のモンブランブティックに出向いてオーバーホールしてもらいました。結果かなり調子よくなったので、以来使い続けてます。
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