万年筆つれづれ(2)

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IMG_0487.jpg これは、はっきりと覚えてます。高校に入学したときに塾の先生からお祝いで頂いた品ですから、かれこれ35年以上使い続けてます。

 「塾」といっても、現代のいわゆる学習塾ではなくて、高校の先生が自宅に近所の子どもたちを集めてアルバイトで勉強のめんどうをみるという、アットホームなものでした。月謝もきめられた額があるわけではなく、なにがしかの「謝礼」を渡していました。田舎だったので事業としての学習塾などなく、こんなのを「塾」と称しており、あちこちにいくつかあったように思います。

 そんな塾のひとつで数学を教えてもらってたのですが、おかげさまで志望校に合格することができた際に、お祝いということでその先生にいただいたのがこのシェーファーの万年筆です。ワインカラーの軸で、シェーファーの証、ホワイトドットが付いた、流線型でシンプルなデザイン。細字のペン先がなかば軸と一体化しており、なかなかシャープな感じがします。ブランド名と「MADE IN U.S.A.」の文字が書かれてますが、それ以外は何も表記がないので型式など分かりません。

 買い物にはよく当たりハズレがあります。クルマや家電など耐久消費財は、何十年も変わらず作動し続けるものもあれば、保障期間が切れると同時に故障するのがあったりで、日本の優れた工業技術をもってしても製品の出来にムラが生じるのは避けられないのです。その点、この万年筆、いただいた品ですが「アタリ」でした。

 実にインクの出がいい。長く書き続けても常に一定、変わらないペースでインクがペン先に供給されます。安心して書き続けられる。これまで使ったことのあるいろんな万年筆では、書き続けるにつれて色が薄くなったり、稀に文字がかすれてしまって振らないとインクが出てこなかったり、はなはだしきは軸をあけてコンバータやカートリッジを絞って手動でインクをペン先に送らないとまともに書けない、なんて経験を何度もしました。  その点、このシェーファーは何日も放っておいたときでも、書き始める際に最初の接地からまったくのロスなくインクが出てくる。当たりまえのようでなかなかこうはいきません。ペン先の先の先まで全く乾いていないから可能なわけで、単純やけど高性能やと思います。

 さらに書き心地がいい。ペン先が紙の表面の微細な凹凸に心地よく刺激されてて、ペンを動かすほどにストレスなくいくらでも書き続けられる。

 万年筆はデリケートな筆記具で、メンテナンスを怠ると一定の変わらないペースで書き続けたいという要求をすんなりきいてくれない場合があります。このシェーファーは持ち主に従順な優等生なのです。

 入手したいきさつからしておそらくそんなに高級品ではないと思います。しかし、おそらく一生使い続けることになるでしょう。

 つまり「アタリ」です。先生、どうもありがとう。

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