台風の日の鰻

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 梅雨らしく、すっきりしないお天気が続いています。

 「すっきりしない」なんてネガティブに言いますが、古来日本人はこの梅雨と台風の恩恵でもって稲作文化を形成し発展させて、豊葦原の千五百秋に瑞穂が風に揺れる豊かな国を築いてきたのですから、大自然の営みすなわち八百万の神々への感謝を忘れてはならないわけです。

 しかし神様、時としてやりすぎてしまうことがあります。先週は台風と梅雨前線の活発な活動でもって、5日に島根、7日に福岡・大分に特別警報が発令されました。とくに九州の大きな被害の様子が伝わっています。近年、この手の災害が毎年のように起こっています。やはり地球温暖化が現実のものとして影響を及ぼし始めたのでしょうか。いかな科学技術の進歩をもってしても、人間はまだまだ自然現象を自在にコントロールする域には達していないことを思い知らされます。今回もまた、復旧が速やかに進むように祈るしかありません。

20170704_100400000_iOS.jpg さて、そんな台風接近の最中、思ったほど影響なかった大阪で、能天気にも久しぶりにウナギを食べてきました。鰻丼、大好きなんです。

 中央区北新町の鰻料理専門店「鰻 にしはら」さん。江戸前鰻の専門店で、友人が以前に行ってそのとび抜けた美味しさに驚嘆し、是非一緒に行こうとお誘いいただいたのです。こういう友達は大事にしないといけない。

 予約した待ち合わせの時刻より少し早めに着いたので、鰻の骨せんべいをつまみにして先に一杯やりながら待ちました。台風圏内の蒸し暑い中を歩いて辿りついたので、ビールの旨いこと。ほどなく友人も現れ、乾杯と。先付、ウマキときてメインロールの鰻丼、ハフハフいただきましたよ。なるほど、これは美味い。乗ってる鰻がボリューミーで、タレの味は濃厚やけどやわらかい鰻の身にしっかりとうま味が詰まっています。ごはんの量も適当。ビール飲んだこともあり、すっかりお腹いっぱいになりました。

 メニュー見ると「大(一尾半)4,700円」「中(一尾)3,300円」「小(半尾)1,900円」この日予約していただいたのは「中」。適量でしょう。「大」はこの1.5倍になるわけで、ちょっと多い。久しぶりに美味しい鰻を堪能しました。満足。

 昔読んだ「美味しんぼ」で、鰻は蒲焼、白焼など伝統的ないろんな料理法があるけど、一番美味い食べ方はなんといってもドンブリである、と書いてました。同感です。主役の鰻が冷めにくい上に、タレが染みたごはんとの相性が抜群なのです。やっぱり鰻はサイコ―。20170704_102136000_iOS.jpg

 健康診断の結果を見たあとで脂質、コレステロールの値を気にしながらも、やっぱり美味しいものには目がない今日この頃です。

 しかしこの鰻丼、昔に比べてかなり高価になってます。現在のウナギ養殖は完全養殖ではなく、天然のシラスウナギを捕獲して養殖場で育ててるわけですが、肝心のシラスの漁獲量が乱獲と環境の変化の影響で半世紀前の十分の一以下に減ってるとか。末端価格高騰も、さもありなんといったところ。

 その昔子供の頃、父に連れてってもらったデパートの大食堂で鰻丼を食べたことを覚えています。今思うと、こどもならそこはスパゲティかハンバーグやろ、ですがそれはさておき、その日わたしは初めて大阪風鰻丼いわゆるマムシ(間蒸し)に出会ったのです。お腹を空かせ期待に胸躍らせてお重のふたをパカッと開けた瞬間、なんと茶色いご飯の上に乗っているはずのウナギが見当たらんやないですか。絶望に打ちひしがれて父に訴えると「大阪の鰻丼はごはんの間に鰻が入ってるんや」と教えてくれました。幼い日の衝撃として特別記憶に残っています。昭和の時代、うな重は大食堂で子どもがお手軽に楽しめる庶民の味やったのです。

 願わくは鰻の完全養殖技術が一刻も早く実用化され、吉野家の牛丼とかわらぬ値段でこころゆくまで鰻丼を味わえる時代が再び来たらんことを希った、台風の日のお出かけでした。

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katsuhiko

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奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

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