履歴書の性別欄

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 お暑うございます。天気予報は連日「危険な暑さ」を叫んでいます。38℃、39℃というからコロナ発症した体温の話かと見紛うような、確かにこれは危険な領域です。昭和の頃、最高気温がこんなに上がれば夏の一大事、今年の10大ニュースになっていたのではなかったか。一晩中エアコンつけっぱなしはカラダによくないと言われてたもんです。地球温暖化をいよいよ身近に感じるようになりました。

 さて、先週気になったニュースから。

 コクヨが、性別欄をなくした履歴書を発売することになったそうです。あるNPO法人が署名を集めてコクヨに「作れ」と迫り、これに従ったという経緯のようです。性別欄があることで困る人の声を酌んだということで、朝日新聞その他リベラル系のメディアが一様に伝えてます。

rirekisyo_man.png NPOの人は「そもそも採用時の性差別は違法。性差別につながる性別欄をなくしていければと思う」と言っているとか。

 そのとおり。採用時に性差別することは違法です。昭和の終わりにいわゆる男女雇用機会均等法が施行され、今ではすっかり浸透しました。それまでは新聞の求人欄も男女別に分かれてました。もっと昔の履歴書は本籍地や家族構成とその職業なんかも記入してました。就職志願者のひととなりを徹底的に把握しようとする雇用側の本能的な欲求の現れです。このような、本人の資質や能力、就業意欲、動機には一切関係がない内容を求めることは人権の侵害であり、就職活動でそんな情報を提供する必要はありません。

 性別はどうでしょうか。男であっても女であってもトランスジェンダーであっても、業務遂行能力に問題なければ採用段階で区別する必要はありません。実際に一部企業では性別欄のみならず、顔写真も必要ない、さらに氏名の記入も姓だけ、と徹底している例もあります。名前ぐらいきちんと書かせろよとも思いますが、面接で話聞けば採用に足る人材か否かの判断はできるわけです。

 社会の性差別払拭に向けて、採用に際して性別にこだわらない方向性は正しい。しかし一方で、企業が多様な性の従業員を受け入れるために必要な環境を整えること、例えばトイレや更衣室の問題を解決することは、特に中小企業では簡単でない場合もあります。結局、性別を確認できない場合は採用を見送ることになります。国としてもこれまで「女性活躍社会」を前面に出した政策を展開してきた関係上、政府も企業も「女性の採用」を意識する必要があり、いわば現時点で採用時に性にこだわることは避けられないのです。政策の転換あるいはあらたな政策が必要です。

 性的マイノリティの活躍の場を奪わない社会の実現が求められるのです。これは履歴書の様式を変えて解決する問題ではありません。書類上でセクシュアリティを隠すことで偏見を排除するのではなく、もっと根本的なダイバーシティに根差した政策が必要です。難しいけれど、実現すれば履歴書の性別欄など自然に消えてしまうでしょう。

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