広辞苑のこと

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 寒いですね~。日本列島を襲っている猛烈な寒波、なんと実に40年ぶりやそうです。地球温暖化なんてホンマかいなと思ってしまいます。

 さて、そんな寒い寒い中でホットな話題、広辞苑第七版が発売されました。

20180127_070225764_iOS.jpg 言うまでもなく、国語辞典の最高峰、最高権威の名をほしいままにする岩波書店のフラッグシップ的出版物です。「広辞苑に載っているか」が日本語として正しいか否かの判断基準になります。日本語を勉強する外国人にとっては広辞苑を使うことが憧れであり、使えることが日本語習得上のひとつの評価基準とされているそうです。日本の知の集積として信頼を得、時代を貫いて圧倒的な規範性を有するこんな出版物はほかにありません。キリスト教世界の聖書にも匹敵すると言うと言いすぎでしょうか。しかし、それほどの称賛に十分値すると思います。

 そんな広辞苑が10年ぶり、満を持しての全面改訂。巷のお祭り騒ぎもむべなるかなといったところです。

 HPによると「第六版」より140ページ増、新収録語は1万語、総項目は付録込みで25万件。薄くて裏写りしない専用紙を開発することで前回からの厚さを維持しているとか。今年の6月30日までは特価8,500円、机上版(2分冊)は13,000円。そこそこのお値段です。

 ところがそんな大騒ぎに水を差すように、語釈の間違いが指摘されてます。「LGBTのTは性的指向とは関係がない」だの「しまなみ街道の島のひとつの名前間違ってる」だの、よくまあ見つけるもんやと思います。また、一部マスコミから「中国寄りの記述が多く偏向している」なんて批判もあるようです。25万項目もある中に間違いがほんの数件あったからといって「信頼が揺らぐ」などと鬼の首を取ったかのように大騒ぎする下品なマスコミの有り様をいまさらどうこう言うよりも、国民の総意として広辞苑が日本語の集大成としての地位を確立しているからこその騒ぎとみるべきでしょう。それほどの信頼を築いていることの裏返しです。広辞苑、恐るべし。20180127_090121470_iOS.jpg

 わたしが社会人デヴューしたおよそ30年前、正しい、美しい日本語はビジネスの基本的な素養ということで、買いましたよ広辞苑。当時は第四版で上代6,000円が職場の割引で4,800円でした。ミュージックCD3枚分は若い身空にはなかなかの出費ではありましたが、そこは自分への投資ということで頑張りました。

 その当時の話、ある書類を上司に回したダメを出されました。「詳細は別添資料のとおり...」と書いたところ、「別添なんていう日本語はない。広辞苑に載ってないというわけです。調べてみるとなるほど載ってない。いやしくも業務上で文章を書くからには、ひとつひとつの言葉は大事にすべし、ゆめ疎かにしてはいけないと学んだわけですが、そこでもやはり判断の基準として広辞苑があったのです。

 時代は流れ、次に買った第五版はCD-ROM版でした。このあたり時代の流れすね。そして第六版が出た10年前にはすでにインターネット万能の世の中となっており、言葉を調べる必要が生じたときには重たい広辞苑をよっこらせと開くよりもネットでググる方が圧倒的に早いという時代がきたわけです。私もとうとう買わずじまいでした。

 それでも、やっぱり日本語のデフォルトスタンダードは広辞苑。美しい日本語にはいささかのこだわりを持ち、かつ超ミーハーを自認する私としてはここはひとつ原点に立ち返り、華麗に世の風潮に乗っかって、さあ第七版、買うべきか否か。

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katsuhiko

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