夢のこと

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 怖いものみたさという感覚があります。考えてみるとこれ変な話で、人間以外の動物は、怖いもの、すなわち身の危険を感じるものには近寄りません。怖いものを忌避する、生存本能というやつです。
 
 「好奇心」は動物にもあります。イルカなんて実に好奇心旺盛で、ちょっと変わったものがあるとすぐに寄ってくるそうです。しかし対象が危険なものと分かったとたん、一目散に逃げていきます。絶叫マシンなんて人間以外は絶っ対に乗ろうとしない。まあ、乗せようもないですが。
 
 ところが人間だけが怖いものに魅力を感じてそれを楽しむ、じつに不思議な感覚を備えてます。
 
 わたしも怖いもの大好きです。子供のころからテレビ番組で「怖い系」あると必ず観てました。で、そのあとしばらくはトイレに行けなくて後悔するのです。田舎のことでトイレは広い家の端っこにあって、屋外ではないもののたどり着くにはいったん履物履いて暗い中を進まねばなりませんでした。小学生には相当の試練であったのです。怖けりゃやめときゃいいのにまた怖いテレビ観る。で、トイレ行けないを繰り返して、今思えばずいぶんと「怖い」を堪能してた幼少期であったなあと思います。
 
 かつてテレビ番組でよくあった「身も凍る心霊写真・映像」のたぐいがすっかり減ってきたのは何とも淋しい。科学至上主義の社会にあって、いたずらに超自然的な現象をさも事実のように伝えることは果たしていかがなもんか、なんて、よくある放送局の大人の事情によるものとか聞きました。むしろ、PCの普及で幽霊やUFOの映像なんて素人でも簡単に合成、作成できてしまうようになった昨今、「どうみても作ってるやん」という写真や映像を流して「さあ、笑ってつっこんでくれ」という開き直りの怖い系が増えたように思います。実に悲しいことです。ここでも昭和が遠くなりました。
 
 ところで、女性は大体、怪談、怖い系苦手な人が多いと思ってました。結婚するまでは。かつて、バブルの頃、職場の皆で夜中まで残業しているうちになぜか怖い話になって、一緒にいた女性職員が「帰れない」なんて泣き出してしまって困ったことがありました。また、かつてあるTV局の公開録画に参加したとき、ゲストの一人があの稲川淳二さんで、お約束の怪談を語り始めたところ、隣に座ってた女子高生の一団が一斉に耳をふさいで下向いてしまったということもありました。「何しにきたん?」とか笑ったもんです。女性が一緒にいるときにうかつに怪談語り始めると本気で怒りだす人もいたりで、どうやら本当に怖いらしいと思ってました。ところが、うちの奥さん、私同様に怖い系大好きなんです。映画もホラー、スプラッターは必ず観るし、テレビもそれ系の番組は絶対見逃しません。怪談嫌いは女性一般の傾向と思ってましたが、そうでもない。人によるようです。
 
IMG_2322.jpg 怖い夢というのがあります。映画やテレビのバラエティで他人の体験を観るのとは違って、これは本当に怖い。みてるときは当然のこと、覚めてからもなんだか忘れられない、後を引いて怖さが残ります。
 
 数少ないですが、私も忘れられない経験があります。もう何十年も前のことですが、意外にも夏目漱石を読んだあとにとてつもなく怖い夢をみたのです。
 
 「夢十夜」という短編で、10編のアンソロジーです。漱石自身の経験なのか、完全フィクションなのかは知りませんが、「こんな夢をみた」という一文で始まる、シュールな世界を第1夜から第10夜まで描いていきます。その中の第3夜が完全に怪談話で、不条理ではあるが妙に納得してゾッとするものでした。それを読んだ日の夜にみた夢が怖かったのです。第3夜と酷似した展開、もちろん主人公は私に置き換わってて設定も私の日常に変わっており、恐怖で思わず目を覚ましたのです。こんなことはほかにあまり記憶がありません。ホラー作家などではなく歴史上の文豪の作品がきっかけやったというのも面白くて、ずっと記憶に残ってます。
 
 最近は、あまり夢を見なくなりました。睡眠時間が短くなってきたこともありますが、歳をとるにつれて、違う意味での「夢」もしぼんできたからでしょうか。これは淋しい。いつまでも青春の夢に忠実でありたいもんです。
 
 さて、G.W.も今日で終わり。中休みがあったとはいえ十分に休養しました。明日からはまた日常へと戻っていきます。がんばらねば。

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katsuhiko

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