オルガンの調べ

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 今日は朝からしっかりとした雨が降ってます。市民総体で出場予定のテニスの試合が延期になってうちの奥さんは恨めしそうに空を見上げてますが、わたしはもとより完全オフを予定していた日曜日、久しぶりに朝寝を楽しみ、というか惰眠を貪った結果、昼過ぎてやっとブログ更新にかかっています。晩秋の雨は冷たさがいや増して、物悲しさと淋しさが募ってきます。こんな日はまったりと音楽に浸るのがいちばんです。

 昨日、土曜出勤した帰り、気分転換でいつもと違う住宅街を抜けるルートで地下鉄まで向かったところ、通りがかったおうちからオルガンと思しき音色が聞こえてきました。なんと懐かしい。今でもあのブカブカ足踏み式のんがあるのでしょうか。電子キーボードやシンセサイザーとは明らかに違う、この音は紛うことなき旧式のオルガンです。

 ピアノのあるお家はそこいらにありますが、オルガンも現役やったのですね。遠い記憶が甦ってきました。

 小学生の頃、田舎の山峡にあった小さな小学校にはもちろん音楽室なんてシャレたものなどなく、講堂と称してたいちばん大きな教室にいちおう舞台があり、アップライト型のピアノも置いてあって音楽室兼ねてました。壁にはお約束の作曲家の肖像がずらっと並んでたもんです。音楽の授業はここでやってたわけですが、教室にもピアノがわりのオルガンが置かれてました。

 当時、クラスメィトにはお稽古ごとでピアノを習っている女子がかなりいたように思います。赤黄バイエルとか、チェルニーとか、ブルグミュラーがどうのなどと女の子だけで盛り上がってたのを覚えてます。男子は誰も習ってません。なんせ小さな田舎町のこと、ピアノなんて女の子のものという風潮があったし私もそう思ってました。音楽の授業もどっちかというと嫌いでした。しかし後年、長ずるにしたがって音楽の楽しさ素晴らしさを知るに至り、ピアノひとつ弾けないことの悲哀を痛感し、西田敏行の歌が身に沁みていくこととなります。

 両親に「なぜに小っちゃい頃から、ピアノを習わせてくれなかったのか。あの頃習い事といえばピアノやったやん」と質したところ、「何言うてんねん。『やる?』って聞いたら、あなたが『いやや』て言うたんやないの」

 いや、諦めるの早すぎ。子供の将来を考えたら、そこで無理にでもやらせるのが昭和の情操教育というもんでしょ。どんな才能が開花したかも知れんのに、まったくもう(^^;)

 このような経緯により、歌うことは大好きながら、ピアノをはじめ楽器にはほとんど縁のない人生を歩んできました。ただ、青春時代には多聞に漏れず、ギターだけはジャカジャカやってましたが。

 ともあれ、そんなわけでオルガンといえば学校にあるピアノの代替品というイメージやったところ後年、ホンマもんのオルガンは教会やなんかにある超スケールのデカい楽器ということを知ったわけです。

img026.jpg バッハやヘンデルのオルガン曲もたくさん聴きましたが、いちばん印象強かったのが、サン=サーンスの有名な交響曲第3番「オルガン付」。オルガンの曲というわけではないのですが、シンフォニーでありながらオルガンが主役を張っています。学生時代、NHK・FMで初めてこの曲を聴いたとき、その迫力に度肝を抜かれ好きな曲のひとつとなりました。その後多くの指揮者、オーケストラの「オルガン付」を聴きましたが、一番最初に聞いたカラヤン盤がダントツに感動的です。最初に聴いたことで「この曲はこういう曲である」という摺込み現象も起こっているのでしょうけどね。

 この曲に限らず、カラヤンの演奏は何といっても分かりやすい。明快です。曲の「ここを聴け」というところを最も前面に押し出してきます。オルガン付の最大の聴きどころ、魅力は、第3楽章冒頭で満を持して突然オルガンの大音響が鳴り響くところですが、いちばん肝心なこの場面の迫力が他の盤と圧倒的に違います。クラシック音楽に詳しい人やなんかは、カラヤンの音楽は「素人受け」を狙いすぎるなんて言いますが、私は好きです。ひねくれた理論や解説は評論家にまかせておきましょう。われわれ素人はやっぱり理屈抜きで素直に感動できることが大事やと思います。

 音大に勤める知り合いからたまに、学生さんたちの発表会に招待されることがあります。発表会といっても音大生ですからまあ、プロのコンサートと遜色ありません。そのひとつで演目がかの「オルガン付」のときに出かけたことがありました。会場のザ・シンフォニーホールは本格的なパイプオルガンが設置されていることがひとつの売りになってます。これは、ぜひとも行かねばならないとイソイソと出かけたのですが、期待していたオルガンの響きが何とも貧弱で期待外れでした。生演奏の迫力をもってしても、いや、生演奏であればこそこれが限界かと感じた次第です。

 やはり生まれて初めて聴いたカラヤン指揮、コシュローのオルガン、これを超える「オルガン付」を未だ知りません。

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katsuhiko

男 

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奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

生まれてから約半世紀たちました。

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雨の日と夜中はクラシック音楽聴いてます。

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