センセイたちよ

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 およそ人が仕事をするということは、どんな仕事であっても必ず世の中の役にたっています。もちろん犯罪などの反社会的行為は論外ですが。中でも政治家は、国のため地域のために直接つくすことを仕事として収入を得ます。私利を捨て公けのために働く、立派なお仕事です。だからこそ国民、住民は、彼らから何らのサービスや商品の提供を受けるわけでもないのに、彼らの給料の一部を文句も言わず負担しています。nounai2.jpg

 しかしながら、ちょくちょくとんでもない議員のことが話題になります。最近では政務調査費の使い込みがバレそうになったんで、まったくわけの分からない号泣記者会見でごまかそうとしてかえって世界中の笑い者になってしまったバカ。こんな輩は、自分の仕事を理解していません。選良としての使命感が欠落しているのです。兵庫県民の皆さん、お気の毒です。あなたたちが選んだ議員サマですよ(^^)

 思うに議員という仕事は、国や地域が今後将来に向けていかにあるべきかということをしっかり考えてほしいもんです。それが最も大事な仕事やと思うのやけど、近年の議員先生たちは、いかに選挙区や選出母体の都合のいいように政治を動かすか、いかに多くの予算を選出地盤や支持団体に引っ張るかが最も大事な仕事となっています。これでは天下国家を語るという政治家本来の仕事はなかなかでけへんなぁと思うのです。

 思い起こすのは明治維新を駆け抜けた志士たちの仕事です。彼らの多くは本当に国の将来を憂いて私欲を捨てて動いた。中には自らの栄達を望んだ場合もあったけれど、少なくとも公けのために尽くし名を残しました。そのおかげで今日わが国は、いろんな多くの問題を抱えながらも坂の上の雲に手が届くほどの発展を見ました。号泣会見の恥知らずなんかは論外として、政治家というからには金と欲を満たすのみでなく、「日本の将来はどうあるべきか、国民、市民のために何をすべきか」をほんの少しでもその意識の片隅に置いてほしいもんです。

 司馬遼太郎が好きで、たいがいの作品は読んでいます。

 どの作品もそれぞれに素晴らしく、作者の確固たる歴史観に支えられた時代の情景が圧倒的な迫力で迫ってきます。いったいどれだけの調査と研究を尽くせば、これほどまでの仕事ができるのか。この世に生を受けたからにはライフワークのかたちを後世に残したいと願うのは人の常であったとしても、こんなスケールで人々に感動を与え、支持されてきた人を他に知りません。

 膨大な司馬ワールドのうちからベストスリーを選ぶとすれば、

 『竜馬がゆく』
 『坂の上の雲』
 『翔ぶが如く』

 あくまで「私なりに」の思いですが、これは多くの人の賛意を得られる自信があります。

shiba1.jpg 「竜馬がゆく」はとにかく痛快。難解な文章を用いない司馬作品の中でも軽くて読みやすく、漫画雑誌を読むようにトットコ読み進められる。そして読み終わると皆一様に「よおし、俺も竜馬みたいになるどーー!」最初にこれを読んでしまうともう司馬遼さんのとりこになってしまいます。若いころのわたしがそうでした。こどもたちに読書の面白さを摺込むのにももってこいの傑作やと思います。そもそも日本人は坂本龍馬が大好きですが、その人気はこの作品が世に出たことが大きく影響してるんやないでしょか。

 「坂の上の雲」「翔ぶが如く」はともに、日本という国と日本人がその悠久の歴史の中でもっとも劇的に変化を遂げた激動の明治という時代にあって、近代国家を形作った人たちが国の中枢において何をしてきたかを描きます。綿密な調査と鋭い分析によって重厚に裏打ちされた物語がドラマチックに展開し、今日の我が国が国家としての体をなしているのは、志高き有為の志士たちがいたればこそであるということをあらためて教えてくれます。

 さらに登場人物の行動を通して、日本人が日本人であることの意味、日本人でいられる理由、志とはなにか、人は一生のうちに何をなすべきかなど、多くの示唆を与えてくれます。

 「日本人は全員読むべきである」なんて言うと何かの教祖様みたいで怒られそうですが、将来を担って立つ若者たちには、本当に読んでほしいと思います。

 昭和になって日本は、侵略戦争という過ちを犯して悪者になってしまいました。そのことは真摯に反省し二度と繰り返さないことは肝に銘じる必要があります。しかし、過ちを後悔し自らを卑下するがゆえに、日本人としてのアイデンティティを喪失することがあってはなりません。国際社会において信頼を築き上げ世界の平和に寄与していくために、また、自由と民主主義、基本的人権といった人類普遍の価値を尊重する強くて優しい国と国民であるためには、まず自らがそれに適う力があるという自覚が必要です。

 司馬遼太郎の作品は、日本人にその自覚と勇気を与えてくれる、現代の良薬やと思います。

 やっぱり、中学生高校生必読の書としてもらうわけには、いかんもんでしょか (^^)

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katsuhiko

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奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

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