木霊のこと

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sakura.jpg 職場のすぐとなりに城北公園というおおきな公園があり、出勤は毎朝バス停からこの公園の中を歩きます。職場までの距離は、ひとつ次のバス停からの方がかなり近いのですが、そっちからやと住宅地の道路を縦横カクカクと進むことになります。公園の中やと斜めに突っ切れるし、それよりも味気ない住宅街よりも早朝の公園を歩く方がはるかに気分がよろしい。たまに池のホトリでカモやカモメをぼおっと眺めてたりもします。

 この公園、かなり古いみたいで堂々たる巨樹がたくさん立ってます。ケヤキ、銀杏、ポプラ、桐、翌檜、高野槙、楓、紅葉葉楓などなど種類も実に多い。桜も多くてお花見時期に広場は賑わうし、園内の舗道沿いにキンモクセイがずらっと植わってて秋になるといい香りが漂い季節感を盛り上げてくれます。

IMG_0212.jpg 公園内にある菖蒲園が有名で、6月頃のシーズン中は昼間バス停に長い行列ができるほどの混雑になります。永年そばを通りながら一度も入ったことがなかったこの菖蒲園にはじめて入ったのも、もう2年も前になりました。

 大阪市内には鶴見緑地、服部緑地公園や天王寺公園など巨大な公園がいっぱいあります。よく、大阪は緑が少ないと言われますが、あながちそうとも思えません。それでも他の大都市と比べると少なめなんやろか。いつもキレイに整備されてるので、管理のためには相当の予算を費やしているはずです。私は大阪市には住民税納めてないのに、ありがたい話です。

 しかしながら、先日のこと。IMG_1213.jpg

 秋になるといつも鮮やかな黄色に染まる一本の銀杏の樹があるのです。真っ直ぐ天高く伸びた巨木というのではなく、どっちかというとずんぐりした雄の銀杏です。舗道沿いに立ってて、毎朝その樹の下を通り、キンモクセイの香り同様に、毎年この樹の染まり具合でも季節を感じてました。

 ところが、そろそろ明日あたり樹の全体が黄色にに染まりきるやろなあと思った次の日の朝、太い枝もろとも伐採されて全ての葉が姿を消しました。なんという素早い仕事。粛々と秋の深まりを周りに告げていた一本の樹が、何とも見るも無残な姿に変わり果ててしまいました。

 そも、銀杏は大木です。一本の銀杏が落とす葉はすごい量に達するのであって、毎年その落ち葉の撤去でかなりの労力とお金がかかっていたものと推察されます。公園管理事務所としては、落ちては拾い、落ちては拾いする前にいっそのこと落ちる前に全部片付けてもーたろ、という作戦やったのでしょう。

 市の公園管理の方針に沿ってやった仕事で致し方なかったのやろとは思いますが、長いことこの樹を見続けてきた者としては、なんとも可哀想な、鬼の所業に感じたもんです。

 高校時代、校庭のテニスコートの脇に立ってたポプラの木がいつのまにか姿を消したことがありました。

 また、何年か前に故郷を訪れた際、今は既に廃校となった母校小学校校庭の記念樹が無残に切り倒されているのを見つけたことも思い出しました。

 人間は樹木を木材として生活に取り入れる一方で、人の一生をはるかに凌ぐ年月を存える、この星最長の生命体としてそこに神を見いだし畏敬をもって接してきました。木霊が宿るのは神社のご神木に限ったことではありません。

 できるものなら、どうか切らないでほしい。

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katsuhiko

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奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

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