桜が終わりツツジも終わり、クチナシが咲き始めるまでの若葉の頃、年間でいちばん爽快で過ごしやすい季節やなとか思てたら、九州は梅雨入りしたとか。昨日の雨が一転穏やかな日和の日曜の朝です。
絶賛開催中の大阪関西万博、多くのパビリオンやイベントはできるだけ訪れたいと思ってます。なんせ歴史的マンモスイベントがすぐ近くで半年間もずっと続いてる、こんな機会はまたとありません。心動かされた展示についてのリポートは繰り返し綴っていくことになるでしょう。
今日は、パソナ館のiPS心臓について。
山中伸弥先生がノーベル賞を受賞したことでポピュラーになったiPS細胞は当時、「どんな細胞にもバケることができる細胞」と説明されて「ふーん」と思ったけど、具体的にどんなものかはもひとつピンときませんでした。
しかし、今回パソナ館では満を持して「これがそうや」と強烈にアピールする「iPS心臓」が展示されました。なんと培養液の中でポテトチップスのようなかたちの肉片が繰り返しヒラヒラと拍動している様子がはっきりと観察できます。これはつまり人工心臓の完成を予感させるものです。人類はとうとう、機械に心臓の代替機能をさせるのではなく、他人の心臓を移植するでもなく、本物の心臓そのものをゼロから創り出す技術を手にしたのです。すごい。
パソナ館では、アトムやブラックジャックが登場してこれからの医療のあり方や、いのちの歴史、人類の叡智や未来社会のデザインを訴える展示を行ってますが、このiPS心臓はまさに未来の医療を予感させる秀逸な展示といえるでしょう。
しかし、逆にも考えてみるのです。ヒトを含む動物は、誰から教わるでもなく心臓という複雑な器官を自前で作りだして何十年も交換することなく使っており、他の臓器にしても同様です。それを人工的に、自然発生とは違った方法で作りだすことが、これだけ科学が発達した現代においても困難な技術であったわけで、大自然の驚異とその偉大さを改めて思います。
よく似た技術に、かつてES細胞というのんがありました。iPS細胞と同じ人工の多能性幹細胞でいろんな細胞に分化できる点も同じですが、iPS細胞は体細胞から作るのに対してES細胞は受精卵から作ります。受精卵はすでにして一個の人体なので、それを破壊してしまうことに倫理的な問題がついて回ります。
20年くらい前にお隣韓国の学者先生が「ES細胞の作成に成功した!」と発表し、科学界に大センセーションが起こりました。ホントならノーベル賞間違い無しの快挙でしたが、後にこれはウソで研究データも捏造したものとバレてしまい、ノーベル賞どころか、この先生科学界から追放されてしまいました。以来、韓国ではこの件がトラウマとなったからかは分かりませんが、自然科学分野でのノーベル賞は未だ1件もありません。
ところがわが日本にしても韓国のことを言える立ち場ではなくてですね、10年ほど前に、当時理化学研究所の研究員やった小保方晴子嬢が演ずるところの「STAP細胞事件」が勃発しました。STAP細胞とは、体細胞を刺激することで多能性幹細胞に変化する現象で、これをNature誌で発表した当初はiPS細胞を凌ぐ大発見として注目を集めましたが、その後ずさんな実験とデータの捏造が発覚して結局ウソとバレてしもた。オボちゃんはこの事件を機に学位論文での盗用や捏造まで掘り返されて、博士号が取り消されました。さらに、当時の理研の上司が事件の責任を追及されて自殺するなどグチャグチャのスキャンダルに発展し、「リケジョの星」ともてはやされた時の人が一転、稀代のペテン師とメディアではさんざ叩かれました。ニッカンスポーツの写真が悪意に満ちていると話題にもなりました。
しかしオボちゃん、職を追われて大人しく隠遁したかと思いきや、後に事件の顛末を書いた本がベストセラーとなるなど、ヒールとして活動を続けました。悪名は無名に勝るというやつです。今ならNHK党から出馬してたかも。多分、STAP細胞を培養して作った、毛の生えた心臓を持っているのでしょう。
ことほどさように、多機能性細胞技術は注目されてきました。パソナ館のあのポテチがいずれ本物の心臓と同じ大きさ同じ形で拍動するまでに進歩するのも、そう遠いことではないのでしょう。第2のオボカタはゴメンです。技術の進歩とともに研究者の倫理感も進歩していくことを期待したいものです。
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