変な台風がきました。いつものように日本列島を通り過ぎず、ゆっくりと長居し今なお近畿地方上空で迷走してます。太平洋上の高気圧に阻まれて、上空の偏西風が弱まってるからやそうです。おかげで長雨が続きました。誰かがテレビで言うてましたが、普通、強い台風が沖縄付近まできたときは「勢力を維持しながら」北上するのですが、今回のんは「発達しながら」列島のすぐそばまで来たと。地球温暖化、日本の熱帯化の表れではないかということです。
さて、今日のお話。お米が品薄やそうです。スーパーの売り場からお米が消えてると。わたしは食糧の買い物には行かないので知らんけど。
買い者客が「すわ、お米が品薄やん。値上がりする。買っておかねば」というわけで、さらに売れて不足します。それがニュースで取り上げられて視た人が「すわ、お米が買えない。買えるうちにカクホしなければ」というわけで、さらにさらに品薄になります。今ここ。
しかし、お米大好きなわたしはまったく慌ててません。スーパーの店頭からは消えましたが、ネットではまだ普通に買えます。街のお米屋さんでも充分商品は並んでます。さらに、ふるさと納税のサイトでも返礼品のお米は絶賛 ON SALEです。もうしばらくすると早稲の新米が市場になだれ込んできます。秋が深まるころには品薄も解消するでしょう。今、あちこちで買い溜めした人は、買い置きした古米の処分に困るなんてことになるのです。
去年の猛暑による不作が原因らしい。米どころといわれている巨大生産地での作柄が著しく悪かったと。「梅雨に降って土用に照ると米は豊作」といわれますが、照りすぎて気温が高いとかえって具合が悪いのです。加えてコロナ禍終息で外食産業での米の需要が増えたことや、インバウンドも影響しているらしい。日本のおいしいお米がそっくり来日観光客の胃袋に収まってると。
30年以上前になりますが、同様に米が不足して「平成の米騒動」なんて言われた年がありました。わたし結婚した年でよく覚えてます。この時は今年と逆で、冷夏の影響で不作となり極端に供給量が減りました。国の在庫米を吐き出しても到底足りない。米農家さんが自宅用のお米をお店で買ってたそうです。政府は急遽タイから米を輸入して流通にのせました。ところがタイ米はいわゆる長粒米というパサパサなやつで、これがとにかく日本人の口に合わない。日ごろ食べてるごはんの代わりにはとてもならず、ピラフやカレーなど色物に加工しないといけないシロモノでした。
当時わが家では、お米は近所のお米屋さんでビールといっしょに配達してもらってました。ある日の夜、その店の大将が突然「配達でーす」とジュースのダンボール箱を抱えて現れました。うちはビールしか飲まんこと知ってるやろに、おやじ何をトチ狂ったかと思ったところ、箱の中にはなんと流通が絶えた貴重なコシヒカリ5kgの袋が。注文もしていないのに、日ごろのご愛顧にお応えして優先してお持ちしましたというではありませんか。嬉しかったわー。今みたいにスーパーや量販店で買ってたらこんな恩恵はまずありません。平成のはじめ、良き時代の風景でした。
日本人の歴史はお米とともにあります。日本という名前が付くまでこの国は「豊葦原千五百秋瑞穂国(とよあしはらのちいおあきのみずほのくに)と呼ばれてました。「いいお米がいっぱいとれる素晴らしい国」という意味です。江戸時代にはお米の石高が三百諸侯各藩のGDPを表し、税金は年貢米で徴収し、お侍さんは給料をお米でもらってました。米本位経済制度が確立していたのです。庶民は、オカズがなくてもとにかくお米を腹いっぱい食べられたら満足という食生活でした。何回もあった飢饉も乗り越えました。広々とした美しい田んぼは農耕民族日本人の原風景です。夏に水を湛えた田は洪水を防ぎ、新鮮な空気を供給し、気温を調節し、人の心に安らぎをもたらします。
欧米では、ライスは肉や魚の付け合わせ野菜に過ぎませんが、わが日本では堂々たる主食です。花といえば桜のことを指すように、ごはんといえば米飯のことです。パンやパスタがこれだけ普及してもお米の地位は絶対に揺るぎません。
明治維新以降、軍部のバカヤローたちが戦争なんか始めたせいで昭和の始めから戦前戦後までは、庶民がお腹いっぱいごはんを食べられない苦難の日々もありました。ヤミ米を買うことを拒否して餓死した裁判官もいました。しかし、日本人は頑張った。米の生産を増やせ!と、日本で2番目に大きい湖をぜーんぶ埋め立てて田んぼにしてしまった。品種改良や技術の進歩もあって生産高はうなぎ上り。そして、戦後復興なって高度成長の時期にはなんと、逆にお米が余ってきました。
そこで大阪万博の年に減反政策が始まります。農家さんたちは自由にお米が作れなくなった。休耕田の札を上げて草ボウボウにしとくか畑に転作すれば、米を出荷して得られる何倍もの額の補助金が国からポンと支給されます。これでは誰もお米を作ろうとは思わない。2018年に減反政策は廃止されますが、転作に対する補助金は残ってて、実質的に国よる米の流通と米価管理は続いてます。米価を維持するためにギリギリのところまで生産量を絞ってるんです。だから今回みたいに、ひとたび不作でお米が品薄になると慌てるのです。
生産農家が市場経済の原則に沿って、切磋琢磨、競争して安くて美味しい品種をどんどん開発し、作りたい銘柄を作りたいだけいくらでも作れる仕組みの方が、需給が安定するんやないでしょか。
日本で、お米が不足して狼狽える、なんてことはあってはならんのです。
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