冤罪の罪業

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 袴田事件で、地裁の再審決定を不服とし検察が行った即時抗告を東京高裁が却下しました。これで再審開始と無罪判決に大きく前進しました。ほぼ決定といっていいでしょう。

 再審は、単に確定した判決に不服やというだけでは絶対に認められません。そんなことしてたら再審の大安売りで、たださえ手一杯の裁判所がパンクしてしまいます。請求に際しては、確定判決を覆す可能性がある新たな証拠や証人の登場が必要なのです。ふつうこんなものはあり得ない。それが、今回の袴田事件の再審請求では、弁護側が新たな証拠として「衣類についた血痕に関する鑑定」を提出していました。hakamada.jpg

 みそ工場で発生した殺人事件で犯人とされてた袴田さんの服が、逮捕から1年経ってみそタンクの中から出てきたと。ご丁寧に鮮やかな赤の血痕までついてました。そしてこれが証拠として採用され有罪が確定したのです。しかし、再審請求の過程では、1年間みそに浸かってたら血痕は黒ずんでしまうことが実験で立証されました。結局、被告の袴田さんを手っ取り早く確実に犯人に仕立てるために捜査機関が1年後にこっそりと服をタンクに隠した疑いが強い、つまりは証拠を捏造したと裁判所が認めたのです。とんでもない話です。

 でもね、最初の公判でこの捏造証拠が出されたときに、「1年みそに浸かっててそんなに血の色が鮮やかなんはおかしい。捏造とちゃうか」と弁護側は言わなかったのでしょか。みそに浸けたりせんでも1年経ったら血痕なんて黒ずみますやん。警察と検察の証拠捏造の行為は言語道断として、裁判所も弁護士も、そろってバカばっかりでした。こんな連中のせいで人ひとりの一生が台無しにされてしまったのです。

 日本の国力低下に伴って将来に不安を抱く若者が増えているところにフィリピンからルフィが登場したりで、なんだか最近、強盗殺人などの凶悪犯罪がネットやテレビでよく話題になってます。そして、逮捕された犯人が「これは冤罪です」とぬけぬけと口にすることもしばしば報じられてます。「冤罪」は、これら軽々に凶行におよぶバカ者どもが捕まった際の無駄な抗いのために発せられていい言葉ではありません。絶対にあってはならないのです。

hakamadabon.jpg ところが、世界最高の犯罪捜査能力と刑事司法制度を誇るわが国にあっても、しばしば冤罪が発生しています。中でも死刑判決が下った事件が実は冤罪であったとなると、これはもうね、極めて重大な結果をもたらしますよ。

 死刑存廃について過去に何回か書いてきた中で、廃止論者の最大の論拠がこの、冤罪です。絶対に間違えてはいけないにもかかわらず、裁判史上何度も何度も冤罪が繰り返されている。神ならぬ人間が行う裁判ではかくも間違った死刑判決が出されており、執行後に再審無罪となったら取り返しがつかない、ということが死刑廃止の有力な根拠となってます。一理あります。

 日本の「4大冤罪事件」といわれてるのが「免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件」です。いずれも昭和20年代から30年代初頭にかけて発生した強盗殺人や放火殺人などの凶悪犯罪で、死刑判決が下された後に再審で無罪が確定した事件です。

 共通しているのが、警察の捜査官たちの悪行です。4事件のすべてが確たる証拠も無く無関係の市民を逮捕し、証拠を作るために拷問によって自白させているのです。今でこそ自白が唯一の証拠である場合は有罪にできませんが、まだ戦後の混乱も残る社会情勢にあって、警察官たちの特権意識と人権軽視の姿勢によって無実の人が死刑台に送られてきたのです。つまり、警察と検察によって非道な殺人が行われようとしていたのです。特に今回の冤罪事件は捜査関係者の無能によるものではなく、証拠の捏造という積極的な犯罪行為によって発生したのです。もうね、日本の刑事司法も地に落ちたというべきです。

 しかも、そんな下衆の所業を行ってきた当時のひとでなしの捜査官や検事たちは誰一人その責任を問われることなく、その後もしらっと仕事を続けて人生を全うしているのです。これが、なんとも納得しがたい。少なくとも証拠捏造の犯人や拷問を行ったヤカラたちは立件し、きっちりとオトシマエをつけさせるべきです。

 袴田事件では、検察は最高裁へ特別抗告するみたいです。しかし、ここまでくると悪あがきにすぎずいたずらに再審の決定を遅らせるだけです。もう、検察の完全黒星認めましょうや。今後「4大冤罪事件」は「5大冤罪事件」と書き換えらるのでしょう。

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