コロナ以来久しく映画館なんて行ってなかったんですが、大ヒットした前作も観たし、テレビのオンエア待ってられんし、しかも映画館なら大画面で眼鏡かけて3Dで観られるし、ちょうど買い物のついでもあったりで先週行ってきました。
だいぶ前にも書いたように思うのですが、わたし映画館では頭ン中空っぽにして楽しめる娯楽大作しか観ません。シリアスで考えさせられるのんとかまっぴらゴメンです。非日常への逃避こそが映画の醍醐味であり、現世と隔絶するためにわざわざシネコンに足を運ぶのです。ビールを片手にポップコーンを頬張って、久しぶりのレガシーな正統派娯楽のひとときを楽しみました。
SF映画といえば、宇宙人の侵略に対して人類が団結して立ち向かい最後に勝利を勝ち取るというのが通り相場です。しかし「アバター」は逆で、資源を求めて宇宙に乗りだした地球人が他の星で平和に暮らしてた知的生命体を虐殺する侵略者として描かれます。観客は、邪悪なわれら人類が返り討ちにあい、ばったばったと殺されていくクライマックスに感動しカタルシスを得るのです。これはなかなか新しくて良い。かつて昭和の頃、ヤクザさんたちは「太陽にほえろ!」みて悪役に感情移入してるんやろかという話題がありましたが、そんなことは無くて、人類はすべからく正義の味方なのです。
前作同様にとにかく映像がキレイ。近年日本のアニメもキャラクターとともにその映像の美しさが評価されてますが、ハリウッド映画の映像の仕上がりはCG技術の進化のたまものです。想像を超えたイノベーションが知らず知らず進んでいるのですね。空想の惑星「パンドラ」の世界観を圧倒的なスケールで表現しており、これは感動ものです。
昭和の頃は、映像美が秀でた作品というと実写でのカメラワークと編集の成果であったところ、CGが出てきてレベルが格段に上がりました。この点評論家サンたちが「マンガみたいになんでも作れてしまい、映画の価値が無くなった」と批判してた時代もありましたが、昨今聞かなくなりました。大昔、トーキー映画の上映に活動写真弁士たちが猛反対したそうですが、それに似てます。技術の進歩に抗ってはいけません。実写だろうが作り物だろうが、映像のできがよくてより楽しめればそれで良いのです。
ストーリーも練られてて、クライマックスの長大な戦闘シーンは圧巻なれどそこに至る展開よりも、結局は家族の絆の大切さ素晴らしさを全編の中心に添えています。日本で作ったらきっと、男女の純愛だの愛憎だの何らかのラブ・ストーリーを絡めてくるのが目に見えてます。このあたり、しっかりアメリカ映画やなあと思いました。
3時間12分の大作ですが、長さをまったく感じさせない。娯楽大作とはこうあるべきというお手本のような傑作でした。
キャメロン監督はこれ5部作にするなんて言うてるそうです。楽しみができました。
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