お正月休みが終わり、仕事はじめのご挨拶その他ワチャワチャもひととおり収まり、世間は普段通りの営みへと戻ってきました。わたしも先月患ったコロナも全快し、七草粥をいただき心身ともにいきなりのフル回転の様相です。
さて年末にNHKで久しぶりに帝銀事件を扱った番組がありました。ドラマとドキュメントで構成された、なかなか見ごたえのある内容で楽しめました。
わたしはNHKのことを忌み嫌っており、絶対に許すことができないと常々発信しているのでよく誤解されるんですが、視る番組はNHKが圧倒的に多いのです。批判しているのは組織のあり方と受信料を搾取する事業の構造に対してであって、個々の番組の内容自体は高く評価しています。
コンテンツはやはり民放とはレベルが全然違います。政治的偏向だとか、ドキュメント周りのやらせ疑惑なんてつつかれたこともありましたが、そんなこと言い出したら民放なんて偏向どころか、どの政治家、政治団体からいったいいくら貰ってるんやってくらいにひどい内容が大手を振ってオンエアされてます。もし、こんな内容がNHKで流れたら一発で多くの関係者が飛ばされることでしょうよ。
仮に、巷間言われているように、晴れてNHKのスクランブル化、国営化(税金投入)が実現し視聴者が激減しても、そのときは私は喜んで受信料払って番組を楽しむことでしょう。
さて、帝銀事件です。番組では、松本清張の推理に沿って平沢貞道はシロで真犯人は他にいるという前提で作られてました。GHQの関与や旧日本軍の陸軍731部隊の関係者が真犯人であるという説は、これまでもいろんな論考、ドラマなどで繰り返し発信されてきましたが、ここまではっきりと「平沢シロ」を打ち出した構成は無かったように思います。すでに平沢が獄死したことで、強めの主張が可能になったのでしょうか。しかし、再審請求は続いています。テレビが「シロ」と言ったからといって再審が認められる(つまり冤罪の可能性が高まる)ものでもないでしょうが、少なくとも世論はそちらに傾きます。テレビの絶大な影響力です。
NHKは「これはあくまで松本清張サンの意見やで」という姿勢なんでしょうけど、視聴者はそうは思いませんよって。もう、GHQに守られた731の残党が真犯人やったってことでええやないですか。
戦後の混乱期、帝銀事件や、例の国鉄三大ミステリー下山事件、三鷹事件、松川事件が立て続けに起こました。いずれも全容は解明されてません。当時は科捜研に沢口靖子もいなかったし、現代と比べて科学捜査の技術はじめ犯罪捜査・防犯に関するシステムが圧倒的に未発達で、今ならすんなり真相にたどり着けてた事案も簡単に迷宮入りしたり、一応の解決に至っても世間的に「疑問が残る」状態であいまい決着しちゃってました。だから新聞・雑誌・テレビが次々とさまざまな謀略説を提起することで、私のようなミーハーを相手に視聴率と購読料を稼いできたのです。それが令和の現代になっても繰り返されてるわけです。
月日は流れてこれらの事件は遥か昔の話になり、今後タイムマシンが発明されないうちは、その真相が明らかになることはありません。だから松本清張先生ならずとも、もう言いたい放題の状態です。これはもう歌舞伎と同様に「演目化」したとでもいえるでしょう。
一緒に視てたうちの奥さんはそもそも「帝銀事件て?」という視聴者層で、犯人が誰かなんてどうでもよくて、松本清張役の大沢たかおがカッコ良すぎる、ミスキャストやという一点にのみ突っ込んでました。まあ、賛成です。
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