「雪見酒がしたいから温泉に連れていけ」
うちの奥さんの指示には抗いようもなく、まあ、昨今仕事が忙しく息抜きもいいかということで、昨日から温泉旅行に出かけており先ほど帰ってきたようなわけでして、今時分のブログ更新となっております。
「あわら温泉」は福井県にあります。近くには奇勝「東尋坊」があります。火曜サスペンス劇場で犯人が追い詰められて犯行をシカジカと告白した後に飛び降りる、例の自殺の名所です。何回か行ったことがあり、最初は確か高校の修学旅行でした。今回はクルマではなく列車で行くので周辺の観光などいっさいスルーし、温泉宿でできるだけ長くの時間を費やすこととしました。
福井といえば昨年、とんでもない豪雪に見舞われて交通と物流がマヒしてしまい「雪も自然災害」との認識がしきりに報道されました。立往生した車列で山﨑パンの配送車の運転手さんが売り物のパンを配ったことが話題になりました。今回の湯治は雪が必須なわけで、そんならということで豪雪の期待をこめて北陸の温泉地に決めたのです。ところが。
旅館のお部屋は広くて設備も整い、露天風呂もいうことなし。料理も適量と大満足ではあったのですが、あろうことか肝心の雪がまったく無い。仲居さんに聞くと、今年は去年とはうって変って積雪が少なくて、積もっても次の日には溶けてしまうの繰り返しなんやとか。あまつさえ雨が降ってきました。当然ながらうちの奥さんのご機嫌が悪い。何年か前、同様に雪見酒を求めて山陰の温泉地にカニを食べに行ったところ、すっかりいいお天気で雪の気配も無かったいきさつを書きました。その悲劇が再び繰り返されたわけです。
しかし、いつもどおり部屋の露天風呂に入っては呑み、呑んではまた湯に浸かりしているうちにしっかりとリフレッシュできたので、まあよしとしましょう。
一夜明けて部屋から外を見ると、なんとかなりの雪が積もってるやないですか。夜のうちに雨から雪に変わったのです。旅館の女将が部屋に現れて「いい具合に降りましたよねー、ホホホ」って、帰る日に降ってもしゃーないし。
JRの芦原温泉駅に着いた頃には雪が激しくなり、奥さんは恨めしそうに眺めてます。「もぉー、今日来たらよかったのに。大体あなたはいつもそう」なんて、そんなこと言われてもねぇ。
大阪に帰るサンダーバード号の車窓も、激しい雪に煙るこれぞ雪国という景色が流れていきます。ところが、北陸トンネルを抜けて敦賀に着くとカラッといいお天気で、もちろん積雪も皆無。山の北側と南側でこれほどにお天気が違うのか。もし日程が一日ずれてたら「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった」という、まさに望んでいた展開やったわけです。いっそう空しくボヤキ続ける奥さんとわたくしを乗せて、列車は大阪へと走り続けるのであった。
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