毎月勤労統計調査

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 このところ、テレビのニュースやワイドショーでは国のいろんな統計調査の不正がトレンドです。

 そのうちのひとつ、重要な基本統計の「毎月勤労統計調査(毎勤調査)」、厚生労働省が手抜きして、結果的に統計の内容に誤りがあったと。国会始まりましたが、野党はこの問題をやり玉にあげて鼻息が荒い。

 はじめにうちは、統計結果に基づいて算出される社会保険(失業保険など)の金額が低くおさえられてて結果的に少し損した人がいることが話の中心でした。しかし、ここにきて、不正の結果民間の賃金が実態より高く公表されて景気がよくなったという誤解を国民に与えたという効果について糾弾されはじめました。アベノミクスの失敗を糊塗するために意図的にやったんとちゃうの、というわけです。tohkei.jpg

 野党にしてみたら、何か世間を騒がす出来事があるととにかく安倍政権のせいにすればいいわけで、ちょっと前までは寝ても覚めてもモリ・カケで騒いでて、それが今国会では毎勤調査でいってみよー、というわけです。今回の不適切な調査は昨日今日始まったわけではなくて、民主党政権時代も含めてずーっと昔から続いてたわけやから、安倍首相や麻生大臣が指示したとか、今の大臣にだけ責任とれとかいうのはそもそもおかしいけど、バカな野党にはそんな正論は通用しない。相変わらずの脊髄反射、非建設的な時間の浪費で政権に対する嫌がらせ以上の意味はありません。もっと審議せんといかん重要法案があるやろと思うのですけど。

 さて、調査の過程において法律で決められた手続きをしてなかったということで、これは絶対にあきません。責められて当然です。しかし、調査のやりなおしまでいるのかいなという思いもちょっとだけあります。

 というのは、私も今の職場で当の毎勤調査に携わったことがあるのです。もちろん、調査される側として。20年以上むかしのことです。

 千人以上いる従業員(正職員、非専任、アルバイトなどすべて)から規定に沿って対象者を抽出し、当月の勤務日数、所定勤務時間、時間外勤務時間、給与支給額などをすべて記載して提出します。今なら、条件に沿ったシステムを構築してボタンひとつで必要なデータがすぐに出来上がるんでしょうけど、当時は今ほど職場のIT環境が整っておらず、求められる調査票に正確に記入することは大変な労力を要しました。特にアルバイト職員の勤労状況などは、ひとりずつ給与の支払い明細、伝票を逐一目視、チェックして転記する必要があり、一人でまる一日かかる仕事でした。それを毎月1回続ける必要があります。もちろん、国からそれに見合う経費の補助などありません。「法律できまってるから指名されたらやるしかない」というわけです。実に理不尽な話です。20160818_015157984_iOS.jpg

 当然、うちに限らず対象とされた事業所からは強い反発があり、説明会では怒号が飛んでました。そらそうでしょう、いきなり呼び出されて、担当者一人が丸一日かかる作業を月一回とはいえ何年も続けて無償でやれと。これはないわ。

 その後わたしが異動で担当を外れたのち、部署の方針として「もはや協力できない」と突っぱねてたそうです。厳密にいうと法令違反ですがこれは正しい判断やったと思います。調査に要する人件費を考えると、民間企業を対象として無償で命じることは無理がありました。国は調査に要する労力を見誤ってたのです。

 さて、そこで注目すべきは調査する側の役人たちです。同じ思いを抱き、できるだけ民間事業所の負担にならないようにということは当然考えたでしょう。その結果が、法令違反を承知で、全事業所を対象するのでなく抽出という形でやることにした。その方が民間から文句を言われる機会が減るからです。

 調査の大変さを少し知ってるだけに、法令無視の手法をダラダラと続けるのではなく、もっと適切な手法に改正することで官民双方の負担を減らすことをなぜに考えなかったのか。結局はコンプライアンス意識の欠如ということになります。やれやれ。

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katsuhiko

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