自己責任とは言わないけど

| コメント(0) | トラックバック(0)

 シリアでテロリスト集団に拉致されたジャーナリストの安田純平さんが、3年以上経って解放されて帰国したことがニュースになっています。

 シリアといえば今、絶賛内戦中で、地球上で最も危険な地域の筆頭です。当初はアサド大統領率いる政府軍と反政府軍の戦いでしたが、だんだんとISみたいな純粋テロ組織やクルド人の武装組織などの民族自決系の集団など各方面から関係者入り乱れてきて、わけが分からなくなってます。さらに、例によってアメリカとロシアが介入し引くに引けなくなって、紛争収束の目途は立たず絶望的な状態に陥っています。ゴラン高原に派遣されていた日本の自衛隊も、戦闘が激しくなってきたんでさっさと帰ってきました。つまりは、こんなところに関係のない者がわざわざ行ってはいけないのです。20181027_110428349_iOS.jpg

 よく分からないことが多い事件です。安田さん、いったい何しに行ったのか。誰に捕まったのか。なぜ殺されなかったのか。ネットに流れた映像で「韓国人です」って言ったのはなぜか。本人が帰国途上にボソボソ説明してますが、要領を得ずさっぱり分からない。マスコミも「本人はこう言ってます」と伝えるだけで、納得のいく説明ができていません。

 日本人が中東やなんかの危険な国に渡航して捕われたり殺されたりといった、こんなことがまれにあります。今回も例によってマスコミやネットでは、「英雄として迎えよう」という論調と「自分勝手なふるまいであちこち迷惑かけたとんでもないやつ」という意見が交錯してます。

 英雄派の主張は、「現地の状況を世界に伝えねばというジャーナリストの使命に燃えて現地に赴いたところ不運にも悪者たちに捕まったもので、いわば災害の被災地で逃げ遅れた人と同じ。ひどい目にあったのに苦難を乗り越えてよくぞ無事に帰ってきた。ヒーローとして迎えるべきである。」というもの。

 一方非難派は、「日本政府はシリアへは渡航自粛するようしきりに言ってるのに、また、過去にも何度か捕まって危ないめに遭ってるのに懲りもせず、ジャーナリストとしての金儲け目的で現地入りし、案の定また捕まった。詳細は伝わってこないけど、救出のために誰かがお金出してるのは間違いないしそれって税金とちゃうの。帰ってくるなとまでは言わないけど、周りにとんでもない迷惑かけたって自覚あるんかい。」といったところ。

 わたしはどっちかというと、非難派です。

 無事に帰ってきたことはよかったけど、ほんと迷惑極まりない。こんなヤカラをヒーロー扱いしてはいけません。災害で不幸にして逃げ遅れた犠牲者とは絶対に同じではない。それを言うなら、「おー、津波来たスゲー」ってわざわざ海岸に写真撮りに行って巻き込まれたバカと同じというべきでしょう。

 ただし、勘違いしてはいけないのは、国の警告を無視して行ったからといって「日本政府は、こんなバカは放っておけばいい」ということにはならない、という点です。どんなバカであっても日本国民である以上、政府は他の善良な国民と同様の権利を保障し日本以外の地域においてその生命・身体・財産を保護する義務があります。凶悪犯が怪我した状態で逮捕された場合、一応は治療した上で刑事手続きを始めるのと同じ理屈です。どうせ死刑になんのやから治療なんてせずに放っておいたらいい、というわけにはいかない。

 安田氏、これからどっかの役所で「おまえ、いったい何考えてるんや」ってとっちめられるんやろけど、どうかせいぜい反省して今後は世間の目を避けてひっそりと大人しくしていてください。

トラックバック(0)

トラックバックURL: https://corridor0108.main.jp/mt/mt-tb.cgi/497

コメントする

WELCOME

CALENDAR

PROFILE

IMG_0227_2.jpgのサムネール画像のサムネール画像

katsuhiko

男 

血はO型

奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

生まれてから約半世紀たちました。

お休みの日は、野山を歩くことがあります。

雨の日と夜中はクラシック音楽聴いてます。

カラオケはアニソンから軍歌まで1000曲以上歌えます

月別 アーカイブ