数年前、初めて仕事でヨーロッパ行ったとき、数カ国歴訪やから旅券には記念のスタンプがペタペタ貯まると思てたのに、日本以外で押してもろたのは英国ヒースローの入国とヘルシンキ出国の二つだけ。その間どんだけ国境越えてもパスポートは見てももらえませんでした。なんでもEUできてから、欧州では国境の意識がほんとに希薄になってるそうです。
そのEUの立法機関である欧州議会の5年にいちどの議員選挙が先週あったとか。詳しい仕組みはよくわかりませんが、欧州議会の議員を選ぶということやそうです。欧州行きは経済団体の大学調査団やったのですが、報告書の割り当てで「EUの教育政策」について書いたんで、以来EU関連のニュースわりと気になるのです。
欧州大陸は国が陸続きでひしめきあってて、ちょっと走ればすぐに隣の国。仲良しのうちはええけど、ひとたび対立が起きればすぐに戦争になってしまう。
結果、有史以来数えきれない戦火を交えてきて、おかげで高校世界史、戦争の名前多すぎ。覚えるの苦労するようなことになってしもた。それが第二次大戦でとうとうヨーロッパ全土が焦土と化し、もうホントに懲りた、これっきりにしてこれからは仲良くしていこやということでアメリカやソ連やなんかと一緒になって国際連合を作った。が、しかし、今度は冷戦がはじまってまたぞろNATOとワルシャワ条約機構という、あらたな対立グループができてしまった。
その片方のNATO陣営が、石炭鉄鋼共同体(ECSC)や経済共同体(EEC)その他の仲良しクラブを作って協力の輪を拡げていき、さらに「悪の帝国ソ連とその衛星国に負けるな」ってんで、クラブをいっしょくたにしてEC(欧州共同体)が発足したのが1965年。
その後、共産主義沈没で冷戦があっけなく終わってしもて、よーし経済だけでなく、政治の分野でも協力関係を強化しよーやとなって、とうとう1993年にEU(欧州連合)が発足したと。
おさらいが長くなりましたが、池上彰先生、こんな感じで合ってますか?
さて、島国の国民としては、よその国と一緒になって議会を組織するなんてことがそもそもピンとこない。ていうか最近になってまったく理不尽な恫喝を始めた、困ったご近所諸国のありようを見てると、今の欧州ってホントに仲がよくてうらやましいと思います。ところが今回のEU議員選挙を経て、今後はEUの統合がどこまで維持できるかが焦点のひとつになってるとか。加盟国間の経済格差が拡がってて(ギリシャの経済危機とかありましたね)どうも一枚岩でもないらしい。英国なんか「もうEUやめちゃろか」なんて話もでてるとか。そいや加盟国の通貨はみな「ユーロ」になったのに、英国だけはポンドのままですよね。
人類が共有すべき最も大事な理念は、ありきたりやけど基本的人権に根差した自由と民主主義やと思います。大統領も市民も、サムライも町民も等しく同じ人権を有するとするこの理念は、もとを正せば欧州から始まって世界中に広がりました。人類が地球上で創り出してきた最高の発明は、電気でも宗教でもなく人権思想やと思います。アフリカが人類のふるさとなら、欧州は人が人たる所以である人権思想のふるさとです。ところが、
写真は、その欧州出張の際にブリュッセルの街角で撮った一枚。
ガイド氏「あいつらはロマです。近寄っちゃダメですよ。」
わたし 「ロマって?」
ガイド氏「ジプシーですよ。ああやってわざと子供に傷つけて、
連れてまわって物乞いするのをナリワイにしてるんです。」
欧州でもアジアでも、人の歴史は迫害の歴史でもあります。きれいごとですべて解決するとは思いませんが、宗教関係なく「人のみち」は万人に共通するはずです。
多様性(ダイバーシティ)の受容がひとつのカギです。世界に自分ひとりだけしかいないのであれば、理念もへったくれも考える必要はありません。人権という概念すらいらないでしょう。しかし、地球上には自分以外に数十億の人がいて、同じ数だけの人権があります。社会の一員である以上、世の中とかかわっていく以上、感謝を忘れず他者に優しくありたいと思う今日この頃です。
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