巨編炸裂

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IMG_0608.jpg 先日、居酒屋で友人と話しているうち「最近、何読んだ?」という話になったとき、「宮部みゆき」と言うと、
 「う~ん、宮部みゆきねぇ…」あんまり好きくない様子。

 こんくらいの超売れっ子作家になると、好きな人そうでない人いて当たり前で、好みの問題なのですが、わたしは好きです。氏の現代ミステリーやファンタジーほぼ読んでます。きっかけは「模倣犯」が文庫本になって大きな話題になったときに何気なく手にしたことでした。その後「理由」「火車」など代表作を読んでいくにつれて、すごい作家さんやなぁ、と素直に感心し現在に至ります。
 
 半年くらい前でしたか、書店にドカンドカンと平積みされて雑誌や書評でも 「満を持して登場、さあ買え」と話題になった最新現代ミステリ 「ソロモンの偽証」 遅ればせながら今日、読み終わりました。

 好きな作家や話題の新作も文庫本になるまであまり買いません。読書時間がほんとんど通勤の電車とバスの中なので、もっぱら、重い、かさばる、持ち運び不便という理由からです。「一刻も早く読みたい~っっ」というほどの熱心さはありません。従って「ソロモン」も「模倣犯」のように文庫化を楽しみにしてました。

 ところが先日、帰宅するとリビングに「ソロモンの偽証 第一部『事件』」がでぇんと置かれてます。うちの奥さんの母上がしばらく入院し、その付き添いのお供として買ってきたそうです。その後無事に退院し、結局奥さんは最初の方だけ読んでそのままになっていたので、せっかくやからとわたしもソロソロ読み始めたというわけです。

 家でも職場でもあまり読んでる時間ないので、重くても通勤カバンに入れて持ち歩くしかない。またよりによってブ厚くて重たい。電車のつり革につかまって読んでると腕が鍛えられましたよ。

 帯には「学校に仕掛けられた史上最強のミステリー」となってますが、『史上最強』の看板に偽りなしの傑作です。宮部みゆきの最高傑作と言ってよいでしょう。いつも思うのですが、読後に感動で泣きそうになるこんな作品を、トラベルだの何だのといったその辺の安っぽいトリックや犯人あて小説と同じ「ミステリー」というひとつのカテゴリで括ってしまうのは、およそ問題があります。

 「三部作」となってますが、三部読まないと完結しないので正しくは「三分冊」。とにかく巨編です。2100ページを超える長さ。模倣犯とどっちがどうでしょ。しかし、その長大さをまったく意識させない確かな構成と巧みな文章、とっとことっとこ読み進めて10日ほどで読み終わりました。

 主役の女子はじめ登場する多くの中学生のキャラが立っていて、それぞれが何とも愛おしい。「こんな中学生いるわけない」「中学生がこんなセリフを吐けるはずない」という多くの感想や批評は、正直当たってます。しかし、この作品はそんな辻褄なんかを超越したところで展開するいわばファンタジーなのです。現代社会にありがちな重いテーマに真摯に取り組みながら、ファンタジックな世界に読者を引きずり込んでいく、宮部みゆきの真骨頂、脱帽です。

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ソロモンの偽証三部作、私もチェックリストに入れております。
去年の秋に新聞広告で作品をみつけ、同じく文庫化を待っていました。
ここでハードカバーで3冊並んだところをみせつけられたら、私も欲しくなってきました。
この性格、なんとかしないとあかんよな~。

あいうえだぁ様

知的欲求を封殺してはいけません。何でも欲しいときが買い時ですよ。

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katsuhiko

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奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

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