政治利用?

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 秋が深まります。キンモクセイの香りも街角から消えました。春の桜と同様に、一年のうちのほんの一瞬季節を告げてすぐに去っていく、この儚さが日本人の感性にマッチします。とくに秋の雰囲気に漂うこの底知れぬ淋しさはいったい何なのでしょうか。きっと遠い太古の昔、日本人の祖先がこの季節とてつもない大罪を犯して、その贖罪の業がDNAに沁みついているのではないか。最近つらつらそんことを思います。

 さて、近頃のそんな風情とはかけ離れた生臭い話を今日は書きます。

 病気で亡くなった衆議院議員の補欠選挙が長崎で、そして自分の公設秘書を殴ってクビになった参議院議員の補欠選挙が徳島・高知の選挙区で行われてて、今日日曜日に投開票です。岸田内閣の支持率がジリジリ下がってておそらくもう持たんという水域に到達しつつある中、いずれの選挙も与野党一騎打ちとなり、読売など保守系メディアは「接戦」と報じてます。一方朝日はじめ左側のメディアは「野党有利」とし、ここぞとばかりにお題目の「今後の国政を占ううえで重要な」選挙戦と騒ぎたててます。確かに支持率低迷の中での国政補選はインパクトがあり、過去にも補選をきっかけに政局となった例はいくつかあります。さあ、どっちに転ぶか。

 そんな中、気になる動きがありました。

jieitai.jpg 今の防衛大臣は木原なんとかって人やそうですが、こいつが長崎で応援演説した際に、「自民党の候補者に投票することが自衛隊とその家族の苦労に報いる」ことになると訴えたとかで、さあ大変、野党や朝日が食いついた。

 朝日は社説で「自衛隊の政治利用で極めて軽率で不見識である」としています。言った大臣は、例によって記者から大臣を辞める辞めないとかいうところまで突っ込まれてます。

 選挙と自衛隊といえば昔、稲田防衛大臣が、自民党への投票を自衛隊からもお願いしますなんて演説して怒られたことがありました。どうやら選挙では自衛隊のことは言ってはいけないことになってるみたいで、それは「自衛隊の政治利用」というそうです。

 おかしい。

 自衛隊のあり方は、その誕生以来ずっと与野党の主張する政策の最も重要な論点のひとつでした。当然です。国の防衛は近代国家の根幹を成す重要な課題で、これは世界中のどこの国でも同じです。しかし同時にわが国日本は平和憲法を掲げ、軍隊は持たない、持てないこととされてます。そんな、世界的にも特殊な国であるわが日本において国防にどう取り組んでいくかということは、物価高がどうとか、少子化がなんとかなんてことよりも真っ先に考えるべきで、当然、選挙戦でも訴えていくべきなのです。

 与党は国防費を増額して戦力を増強したい、立憲民主党は集団的自衛権反対の立場から憲法に自衛隊のこと書くのは反対、防衛費増やすのも反対、共産党のごときは自衛隊は違憲やから無くしてしまえという立場で、つまり、今さらですが政党によって考え方と主張が全く違う現状があります。

 そんな中で各政党の候補者の中から議員を選ぶ選挙に際して「自衛隊を認める候補者、認めない候補者いずれを選ぶのか」と訴えることがなぜダメなんでしょか。自衛隊に感謝し、その家族に感謝するのなら自民党の候補を選んでねと訴えることは、応援として至極当然の主張ではないですか。

 これを政治利用というのなら、増税・減税、物価対策、IR・万博、子育て、マイナンバー、その他争点を上げて訴えることすべて「政治利用」ではないのですか。なぜ、「自衛隊のあり方」という国民の最重要事項を選挙で訴えることだけを「政治利用」と指弾するのか全く理解でけませんわ。

 木原某、突っ込まれて発言撤回したそうですが、そんな必要ありません。「自衛隊員とその家族を賞賛して何が悪い」と論戦を挑む気概がないなら防衛大臣なんてやっちゃいけません。岸田首相にしてもふにゃふにゃお茶を濁すことなくはっきり言ってやればいいのに。安倍元首相が存命ならばここぞとばかりに声を大にして言ったことでしょう。

 「自衛隊を認めない奴らに、この国を任せられるのか!」って。

 パレスチナ情勢が緊迫しています。ハマスの攻撃とガザ地区への報復で数千人の市民が犠牲となっています。ハマスったら、こうなることは分かってるのになんだってまた無謀な攻撃を始めたのかなんて疑問おそらく平和な日本人の感覚で、パレスチナの当事者にしてみたらイスラエルに対する不信と不満と憎しみが極まり、無謀なんてそんなことは分かってるけど、自分達にも犠牲がでることは分かってるけど、それでも、それでも、もうどうしても我慢できずに暴発したというところでしょう。今、地球上でもっとも緊迫してて、もっとも解決が難しい紛争と言われるパレスチナ問題、ほんと何とかならないのかと思います。20231013_031648487_iOS.jpg

 さて、平和な日本の私は先週、仕事で東北地方の小さな温泉に行ってきました。福島県会津の山間の中之沢温泉というところです。もし今回の仕事がなければ、おそらく一生知ることも無かったし、縁は無かったであろう土地です。つらつら考えてみるに、私は全国47都道府県のうち福島県は通ったことはあっても訪れたことがない唯一の県でした。

 出張決まって往復の飛行機を予約して、さて出発前日の夜10時頃ですわ。ANAから1通のメールが届きました。

 「機体が手配できないから、出発時刻を1時間半遅らせます。ごめんね

 がびーん。航空機はこれがある。これでは現地で予定の仕事に間に合わない。えらいこっちゃ。

 仕方ないので大阪から新幹線を乗り継いで郡山まで行くことにしました。新幹線はもとより電車に乗るのに紙の切符を買わなくなって久しい。日頃しょっちゅう利用してる東海道、山陽や九州新幹線は「EX予約」で事前に座席も選べてネット決済できる上に乗車直前まで列車や座席を何回でも変更できます。便利この上ない。ところが直通運転していない東北、上越新幹線はEXでは買えません。思い返してみるに、わたしはJR東日本の新幹線はほとんど乗ったことがありません。最後に乗ったのはもう30年以上前です。当時は紙の切符でした。

 20231015_000748163_iOS.jpg調べてみると、JR西のEXに相当するJR東のサービスは「えきねっと」とゆうらしい。時刻はすでに2230分を過ぎてます。急ぎなんとか手続きしてアカウントを作成し、大阪から郡山までの座席を確保できました。やれやれ。これがひと昔前ならば、空港に着いて初めて予定通り飛ばないことが分かったわけで、それこそ途方に暮れたことでしょう。便利になったもんですてか、飛行機がきちんと飛べばこんな苦労は無かったわけで、このあたりは進歩がありません。

 いざ東京について分かったのですが、JR西のEX予約は改札を通るのに専用の「EXカード」が必要なのに対して「えきねっと」は専用のカードなんかが必要なくて、普段使ってるICカード、関西ならICOCAがあればそれに紐づけして乗り継ぎの改札を通過できます。これは便利。余分なカード1枚持つ必要がなくなります。EXもそうすればいいのに。東の勝ち。

 さて、現地で所用を済ませて宿で寝ようとした矢先、ANAからメールが届きました。

「予約いただいた福島発 - 大阪/伊丹着は、使用する飛行機の手配がつかないため欠航と...」

魔女狩りを見た

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 ジャニーズ事務所所属タレントに対するジャニー喜多川の長期間にわたる常習強制猥褻事件については、先月のエントリーで言いたいことを書いたのでもういいかなと思ってたところ、先週東山紀之社長等による2回目の記者会があったので、もう少し書きます。事務所の対応に対する批判の矛先は、会見に応じた社長等に向けられ、多くの記者の狼藉によりそれは公開処刑のような様相を呈しました。

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 前回も書きましたが、今回の事態で最も糾弾されるべきは言うまでもなくジャニー喜多川です。仮に今こいつが生きてたとしたら、不同意性交罪で逮捕、起訴されます。同罪の量刑は「5年以上の懲役」なので、最高でも有期刑上限の20年です。常習性、悪質性からして最高量刑の判決が出ます。被害者が数百人いますから(20年×数百件)年の懲役としたいところですが、わが国の刑法は「併合罪」という概念があり、複数の犯行があった際の量刑は単純な足し算ではなく「最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする」(刑法47条)ことになってます。つまり最高でも20年の1.5倍、30年間のブタ箱入りで許されることになります。それでも、おそらく生きて再びシャバの空気を吸うことはなかったでしょう。

 恐ろしいのは、懲役30年に該当する重罪を犯しておきながら、社会がそれを容認し誰も咎めなかったという点です。

 BBCが報道し元ジャニーズのカウアン氏が外国人記者クラブで会見して、初めて日本中が「えっと...」ということで火が着いたのです。考えてみればとんでもない話です。

 たとえば、街角で無差別殺人が行われてるらしいのに誰もそれを咎めず、告発せず、警察も動かず、週刊誌が記事にして裁判でも事実と認められたのに、テレビ新聞はほとんど報道せず、結果犯人はその後も連綿と同様の殺人を続けて自分は天寿を全うした、なんてことがあり得るでしょうか。それが、今回実際に起こったのです。

 そのすべての責任は、凶悪犯罪を見て見ぬふりしてきたメディアにあります。

 にもかかわらず、芸能記者やテレビ局たちは記者会見で、悪者は事務所の後継者で、我こそは正義とばかりに魔女裁判のように東山社長たちを攻撃しました。不祥事でクビになったのにいつの間にかテレビに戻ってきた元テレビ朝日の玉川は「見て見ぬふりしてた東山が社長でいいのか」とコメントしネット上で「そのままお前のことやん」と壮絶なブーメラン批判を浴びてます。

tokyo.jpg もっとすごい東京新聞の望月記者は、会見のルールを無視し相変わらずヒステリックに自己中独善的な言動を露呈し顰蹙を買いました。東社長に対して「あんたも加害者か、それとも被害者か」なんて、こいつの異常な人権感覚には恐怖すら覚えます。仮に女性が被害者として会見に臨んでいても同じような質問をできるのでしょうか。

 東京新聞は会見の数日後、問題を見て見ぬふりをしてきた自社の対応についていちおう反省する記事を掲載しました。いわく「記事にすると何らかの不利益があるから書かなかったのではなく、『しょせん芸能界のスキャンダル』というような意識で軽視してい」たと。ジャニーズ事務所に忖度してたわけではないと言いたいわけで、新聞の性格からしてそれはそうかも知れないとは思うものの、反省はしても謝罪はしない朝日新聞みたいな書きぶりには疑問が残ります。それよりも自分とこの望月という記者の狼藉について何も触れていないことで、せっかくメディアとしての責任を率先して表明した行動も台無しになってます。

 さらにNHKは「ジャニーズ抜きの紅白」を強いられる腹いせなのか、会見で「NG記者」のリストがあったことをスクープし夜7時のニュース、トップの扱いでそれはまさに鬼の首をとったかのように喧伝しました。多くのメディアも尻馬に乗って追随してます。自分たちの罪を糊塗するため瑣事をことさらに吹聴し視聴者の目を逸らす姑息な蛮行です。記者会見のやり方なんて大事の前の小事、論点ずらしここに極まれり。恥を知れと言いたい。

 今日のTBSの左傾番組「サンデーモーニング」にしても、ジャニーズ事件に関しては当然真っ先に放送局としての自らの責任を表明すべきであったところ、渡りに船と番組冒頭にNGリストを取り上げています。本当に恥ずかしくないのかと。

 放送局と多くの新聞、週刊誌等メディアにもういちど問いたい。「仕事をしやすくするためにジャニーズ事務所に忖度してきた結果、常習レイプ犯を野放しにし前代未聞の凶悪連続犯罪を招き数百人の被害者を生んだ」ことについて、あんたたちはいつ記者会見を行って、謝罪と今後の対応について説明するのですか、と。

彗星とともに

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 阪神タイガースネタ、もう1回続けます。

 江川の入団以降、西本聖との2枚看板や原辰徳、中畑清らのスター選手の活躍で人気・実力ともに抜きんでた読売と、古葉竹識監督の就任以降急に強くなった広島カープが上位を争う時代が続き、わが阪神タイガースは低迷を続けます。

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 ところが昭和60年といいますから、わたしが社会人デビューした年です。ハレー彗星が76年ぶりに地球に還ってきた年、日航ジャンボが墜落したのもこの年でした。なにかが起こりそうな雰囲気が日本中に満ちてました。そしてそれは起こったのです。

 前のシーズン例によってBクラスに甘んじた責任をとって安藤統男監督が辞任し、吉田義男さんが指揮を執ると発表されたとき、正直おおくの虎ファンは「う~ん」と思いましたよ。この年の春、駅で買った写真週刊誌Forcusに「吉田新監督は『優勝は狙わない』と語った」というインタビュー記事があったのをはっきりと覚えています。発行元新潮社の、阪神ファンに対する憐みが滲みでた内容でした。ところが。

 この年、阪神タイガースはなんとなんと優勝したのです。前回の優勝から21年ぶり、昭和48年の悪夢のV逸から12年ぶりのことでした。

 シーズン当初から打線が好調で、1番真弓とバース、掛布、岡田のクリンナップでホームランを打ちまくり、チームの年間219本塁打の新記録(当時)を更新しました。特にシーズン序盤の4月17日、甲子園での読売戦で槇原投手から放ったバックスクリーン3連発は球史に残る伝説となりました。

bass.jpg 近年、槇原投手が何らかのテレビ番組に出演する際に大阪では「最後の完全試合を達成した」ではなく必ず「あの3連発くらった」と紹介されてました。思えば気の毒な話です。

 この年ランディ・バースは三冠王を獲得し、なんと余勢をかって日本シリーズをも制覇し球団史上初の日本一に輝きました。自分の人生の節目でもあったし、ものごころついて以来初めての優勝は感動的でした。

 いよいよタイガースの時代がきたか!?との期待もつかの間でしたね。優勝の翌々年から2001年にかけての15年間で最下位10回と、もうね、先の低迷期に輪をかけた暗黒時代となったのです。

 85年日本一の際に道頓堀に沈められた例の「カーネル・サンダースの呪い」によって今後タイガースは優勝できないと言われてました。しかし、その後タイガースは2003年星野監督、2005年岡田監督によってセ・リーグ制覇を達成しました。カーネルおじさんが川底から発見されたのは2009年やったから、果たして呪いは解けたのか。いや、日本一なってないからまだ続いてるのか。このあたりは専門家の検証に委ねたいと思います。ただ、85年の優勝監督の吉田さんは、発見の際コメントを求められて「歴史が終わったなと感じた」と語ったそうです。

 ともあれ、私を含めタイガースファンはこの長い長い暗黒時代にあっても当然、必死に応援を続けてきたわけで、思えばなんとも可哀そうな話です。たまにしか優勝しないタイガースであればこそ、ひとたび優勝した際はいや増して大きな感動を得られるわけです。

 今年はこのままCSを乗り切り、悲願の日本一をぜひとも達成してほしいもんです。

空白の一日

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 今朝は涼しい。例年にない猛暑から一転、今日から一気に秋になったようです。 

20230922_090257163_iOS.jpg 気が付けば今年も自宅マンションの植え込みに鍾馗水仙が顔を出しました。初めて見つけたのはもう10年近く前、そんときは1本やったのにだんだんと家族が増えてきました。ふるさと下市ではヒガンバナの見ごろも近いことでしょう。

 さて、プロ野球パシフィック・リーグはオリックスバファローズが3連覇を達成しました。セ・パ優勝球団がCSを経てこのまま日本シリーズに進むと、関西ダービーが実現します。1964年の阪神タイガース対南海ホークスの「御堂筋シリーズ」以来です。関西人としては楽しみがいや増して募ります。今日もタイガースネタです。

 前回書いた昭和48年悪夢のV逸ののち、タイガースは昭和59年までの間、吉田義男、後藤次男、ドン・ブレーザー、中西太、安藤統男と監督さんもコロコロと変わり、後藤さんのときに史上初の最下位を経験するなど低迷が続き、「ダメ虎」の烙印は誰もが知る日本語として定着しました。当時、球団フロントは「阪神は優勝せんでもええ。負けても観客は入るし、2位でいてくれた方が選手の年俸上げんでええから助かる」という考えやったと言われてます。勝てるはずがない。

 この低迷期に勃発した忘れられない事件が、昭和53年の「江川騒動」でした。当時読売球団は勝手に球界の盟主を自称し、プロ野球界はジャイアンツ中心に回ってるとの認識のもと、ルールもマナーも無視のやりたい放題でした。他球団の主力選手をカネにものを言わせて強奪してくる伝統は今も受け継がれてるし、NPBを人気球団だけに編成し直す「新リーグ設立」なんて騒ぎもあり、その傲慢ぶりは酷い有様でした。中でも酷かったのがこの「空白の一日」の一件でした。 

 江川は読売に入りたい。読売も江川が欲しい。しかしドラフト会議ではおそらくほぼ全球団が1位指名するやろから読売が獲得する可能性は非常に低い。そこで双方結託して思いついたのがドラフト制度の盲点を突いた奇策でした。

egawa.jpg 当時の野球協約では、ドラフト指名権は翌年のドラフト会議の2日前まで効力を有しました。つまり会議前日の1日だけはどこの球団にも優先的交渉権がないことになります。ここに目を付けた悪党読売と江川が、ドラフト会議前日に「江川は読売と交渉して、今日入団に合意した」と発表したのです。さあたいへん。 

 こんなことが許されるはずがありません。せ・リーグ会長は当然この入団は無効と表明し、翌日のドラフト会議は粛々と行われ江川の指名権は阪神が獲得しました。すると、ここからが読売の凄いところ、会長の裁定に猛反発してドラフト会議をボイコットした上に「全球団が出席してへんのやから、このドラフト会議は無効」と言い出したのです。勝手にボイコットしといてこの言い草、なんという厚顔無恥ぶり。

 結局、苦慮したコミッショナーの裁定で、江川はいったん阪神に入団させて読売にトレードしたらどお?ってことで決着しました。思えばこの裁定も大アマで、本来なら読売球団をリーグから除名するべきやったところ、リーグもコミッショも当時の読売のカネと人気に逆らえなかったのです。shigeru.jpg

 江川とのトレードで阪神移籍が決まったのが当時の読売のエース、小林繁投手でした。これには読売を除くすべてのプロ野球ファンから、そして阪神ファンからも「可哀そう」との声が上がりました。ひどい話です。しかし、小林投手はトレード発表後すぐに「うち(阪神)は投手力が弱いんで、少しでも役に立ちたい」と表明し、阪神ファンの心をぐっとわしづかみにしたのです。そのシーズン、小林投手の奮戦ぶりはまさに鬼気迫るものがありました。なんとシーズン22勝を挙げ、読売相手には8勝負け無しという見事な成績を収めました。相変わらず弱かった阪神にあって小林投手のこの見事なリベンジ劇には、阪神ファンだけでなく全国民が快哉を叫んだもんです。

 このシーズン、私が特に印象深かった試合が、新人江川がいきなりプロ初登板で先発した甲子園の読売戦でした。初登板が阪神戦先発ですよ。読売という球団のいやらしさ傲慢さここに極まれりです。ところが江川は、「どのツラ下げて」の猛ブーイングを浴びながら見事なピッチングを続けます。どんな心臓してるんやと思いましたよ。「このまま負けるのか」「こいつにだけは負けたらアカン」と球場全体が悲壮な思いに包まれたそのとき、あの舶来の熱血猛虎マイク・ラインバックがスリーランホームランをたたき込み、見事に逆転勝ちを収めたのです。半世紀以上の阪神ファンとして忘れられない試合は多くありますが、この「クソッタレ江川」粉砕の試合は鮮烈に思い出に残っています。

 それにしても、読売球団の傲慢さよ。今では考えられませんがコンプライアンスなんて言葉が浸透する遥か以前の昭和の時代、こんなことがまかり通ってたのです。その後江川は「球界のヒール」の芸風を貫きたったの9年で引退に追い込まれ、生涯135勝は小林繁投手に及びませんでした。天網恢恢疎にして漏らさず、世に悪の栄えたためし無し。死して屍拾うものなし。

 話がそれた気がします。阪神タイガース優勝記念特集、次回さらに続けます。

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katsuhiko

男 

血はO型

奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

生まれてから約半世紀たちました。

お休みの日は、野山を歩くことがあります。

雨の日と夜中はクラシック音楽聴いてます。

カラオケはアニソンから軍歌まで1000曲以上歌えます

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