4連休です。本来ならば東京オリンピックが開幕し、日本中いや世界中が興奮に包まれていたはずでした。しかし、まあ予定どおり行われてたら開会式は土砂降りの雨やったということで、ポジティブに考えましょう。
この連休初日はなんとかお天気がもって、今年初めての甲子園球場観戦してきました。藤浪晋太郎が久しぶりの登板。試合途中まではなんとか踏ん張ってましたが、逆点満塁弾を浴びてあえなく沈没。まあ初登板はこんなもんでしょ。これからに期待しましょう。観客は普段の10分の一、しかも大声禁止ということで、球場は実に静か。座席の前後左右に人がいないので、実にゆったりと観戦できました。勝てばなお良かったのですが、野球は筋書きのないドラマ、勝つと分かってても面白くないしって強がってみる。
その後は雨とコロナでどこにも行けず、部屋で読書三昧です。んで、ひさしぶりに、最近読んだ中からよかった本のことを書きます。筋書きのあるドラマです。
「カササギ殺人事件」 アンソニー・ホロヴィッツ 作 山田蘭 訳
本屋大賞(翻訳小説部門)1位 宝島社「このミステリーがすごい!!」 1位 週刊文春「ミステリー・ベスト10」 1位 原書房「年間本格ミステリーベスト10」 1位 ハヤカワミステリマガジン「ミステリが読みたい!」 1位
1位だらけです。つまり、ものすごく評価されたベストセラーというわけです。「ベストセラーなんか読まない」という人もまれにおられますが私はミーハーであって、つまりベストセラーに飛びつくタイプですから、これだけの推しがあるとこれはもうね、読まないわけにはいきませんでした。
フーダニットの本格推理です。作品の構成に特徴があり、二つの事件が劇中劇として進行する、一粒で二度おいしい構成になってます。これは、ありそうでなかった試みでなかなかおもしろい。どちらの事件も、登場人物みなが容疑者として行列を成して進んでくるような重厚なつくりで、ミステリ好きを唸らせます。謎解きの醍醐味とともに純文学のような人間関係の綾が描かれ、決してハッピーエンドではなく、読み終わると切なさが残ります。小説とはこうあるべきです。
推理小説というと、何か新しいトリックをひとつ思いつき、それを中心に据えて肉付けしてひとつの物語に仕上げるベタな構成が多く、つじつま合わせにきゅうきゅうとして、気の利いたセリフのひとつもなく、ようは文学作品として楽しめません。1~2ページにまとめられたあらすじを読んだのと読後感がほぼ変わらず、時間だけを無駄にした、そんな駄作が多い中、今回ひさしぶりにミステリ分野の文学作品を読んだと感じました。
推理小説の女王、アガサ・クリスティへのオマージュあり、アナグラムの言葉遊びあり、細かなディテールも満載です。特に主人公の名探偵の名前がですね...、おっとやめときましょう。
ミステリなのであらすじや、ましてや結末を書くことはしませんが、1位だらけという評価は素直にうなずけます。今年これまで読んだ本の中では、ミステリーに限らなくても文句なしの1位です。
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