ダムと水害

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 梅雨前線がしっかり停滞している影響で、今年の梅雨は梅雨らしい梅雨です、なんて呑気に言ってられない事態になってます。とにかく激しい雨が降り続いてやまない。特に九州は例の線状降水帯に襲われてこれでもかってくらいに水浸しになってます。熊本県の球磨川が氾濫し、多くの方が犠牲になりました。

 地球温暖化の影響でしょうか、気象庁発表で「数十年に一度」や「観測史上最悪」が毎年次々に更新されています。連載マンガでよくある悪役のインフレみたいな現象が現実に起こっているのです。

 ありがちですが、今回の球磨川水害についても人災だと言われています。国は、歴史上何度も氾濫を繰り返し「暴れ川」と恐れられていた球磨川の水害対策として、その支流に「川辺川ダム」建設の計画を進めてきました。しかし、地元では何十年に一度の水害対策よりも、流域のアユやホタルの方が大切だということで、建設には反対運動が起きていました。そして例の悪夢の政権交代があり、民主党は地元の反対運動を「そのとおり!」と称賛して建設を白紙化しました。「コンクリートから人へ」などと謳った事業仕分けの結果でした。こんな政策を、当時国民はおかしいと思わなかったのです。まさにポピュリズムの典型といえるでしょう。suigai.jpg

 そして「脱ダム」を掲げダム建設反対派の支持を得て当選した今の熊本県知事は、ダムに代わる治水政策を行うことを選挙公約にしていたのに、今に至るまで全く何も行わず、その結果今回の事態を招きました。ひどい話です。

 もっとひどいのはマスコミの在り方です。当時、ダム反対の機運は反政府系メディアのみならず多くの新聞、テレビによって大いに拡散されました。

 先週、辛坊治郎さんがTBS「グッとラック」の生放送で「川辺川ダム建設反対運動はTBSだのテレ朝だのニュース番組が徹底的にバックアップして『ダム反対!中止!』を徹底して煽った結果中止になった。この局中みんな覚えている」と発言しました。わたし、たまたまテレワークのこの日はまだ朝食食べてたんでリアルタイムに視てたんですが、みそ汁吹き出しましたよ。スゴい。よくぞ言ったもんだ。

 この日辛坊さんを出演に連れてきたスタッフたちは青ざめたと思います。ひょっとして今後はTBSには呼んではもらえないんやないでしょか。新聞、テレビはその後慌てて「仮にダムがあっても被害はそう変わらなかった」という専門家もいるなんて発信してますが、まったく説得力がありません。もしそうなら全国のダムは治水になんの効果もないことになります。比較の話として無いよりあったほうが水量が減るに決まってます。ダムがあれば死なずにすんだ人がいるという事実は動かしようがありません。

 ダム建設には巨額の費用がかかるとともに自然のかたちを大きく変えてしまうことで地域環境への影響が大きい。そのため、計画が立ち上がると反対運動が起きることが多い。ところが、利根川水系の八ッ場ダムが猛烈な反対運動にもめげずほぼ完成したことで、昨年42年ぶりに名前がつけられた猛烈な台風「令和元年東日本台風」の際に威力を発揮し、流域の洪水を回避できたと言われています。

 ダム建設は確かに巨額の税金を費やすし、利権も生じるかも知れない。自然破壊もあるでしょう。しかし、それでもたとえたった一人であっても人命を守れるなら大いに意義があるのではないですか。

 今回の人災、マスコミの責任は大きいですが一番ひどいのはやっぱり首長の熊本県知事です。公約違反と無作為によって、多くの県民の尊い命が奪われました。ご遺族から殺人罪で告訴されるかもしれません。どう責任をとるつもりでしょうか。

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