2020年7月アーカイブ

 4連休です。本来ならば東京オリンピックが開幕し、日本中いや世界中が興奮に包まれていたはずでした。しかし、まあ予定どおり行われてたら開会式は土砂降りの雨やったということで、ポジティブに考えましょう。

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 この連休初日はなんとかお天気がもって、今年初めての甲子園球場観戦してきました。藤浪晋太郎が久しぶりの登板。試合途中まではなんとか踏ん張ってましたが、逆点満塁弾を浴びてあえなく沈没。まあ初登板はこんなもんでしょ。これからに期待しましょう。観客は普段の10分の一、しかも大声禁止ということで、球場は実に静か。座席の前後左右に人がいないので、実にゆったりと観戦できました。勝てばなお良かったのですが、野球は筋書きのないドラマ、勝つと分かってても面白くないしって強がってみる。

 その後は雨とコロナでどこにも行けず、部屋で読書三昧です。んで、ひさしぶりに、最近読んだ中からよかった本のことを書きます。筋書きのあるドラマです。

「カササギ殺人事件」 アンソニー・ホロヴィッツ 作 山田蘭

 本屋大賞(翻訳小説部門)1位  宝島社「このミステリーがすごい!!」 1位  週刊文春「ミステリー・ベスト10」 1位  原書房「年間本格ミステリーベスト10」 1位  ハヤカワミステリマガジン「ミステリが読みたい!」 1位

 1位だらけです。つまり、ものすごく評価されたベストセラーというわけです。「ベストセラーなんか読まない」という人もまれにおられますが私はミーハーであって、つまりベストセラーに飛びつくタイプですから、これだけの推しがあるとこれはもうね、読まないわけにはいきませんでした。20200722_021356265_iOS.jpg

 フーダニットの本格推理です。作品の構成に特徴があり、二つの事件が劇中劇として進行する、一粒で二度おいしい構成になってます。これは、ありそうでなかった試みでなかなかおもしろい。どちらの事件も、登場人物みなが容疑者として行列を成して進んでくるような重厚なつくりで、ミステリ好きを唸らせます。謎解きの醍醐味とともに純文学のような人間関係の綾が描かれ、決してハッピーエンドではなく、読み終わると切なさが残ります。小説とはこうあるべきです。

 推理小説というと、何か新しいトリックをひとつ思いつき、それを中心に据えて肉付けしてひとつの物語に仕上げるベタな構成が多く、つじつま合わせにきゅうきゅうとして、気の利いたセリフのひとつもなく、ようは文学作品として楽しめません。1~2ページにまとめられたあらすじを読んだのと読後感がほぼ変わらず、時間だけを無駄にした、そんな駄作が多い中、今回ひさしぶりにミステリ分野の文学作品を読んだと感じました。

 推理小説の女王、アガサ・クリスティへのオマージュあり、アナグラムの言葉遊びあり、細かなディテールも満載です。特に主人公の名探偵の名前がですね...、おっとやめときましょう。

 ミステリなのであらすじや、ましてや結末を書くことはしませんが、1位だらけという評価は素直にうなずけます。今年これまで読んだ本の中では、ミステリーに限らなくても文句なしの1位です。

あの年この歌

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 先週のある日から一斉にセミが鳴きだしました。いったい誰がどこで指揮を執っているのでしょう。梅雨明けも近いのか。人の世はコロナでいつもと違う夏を迎えていますが、長い地球の歴史の中で、自然は揺らぐことなくなすべきことを繰り返していきます。

 さて、最近のテレビ周辺機器の充実は目を瞠るものがあります。初めてビデオデッキを買ったのはまだ昭和の時代、アナログ放送を磁気テープで記録してました。機材も記録メディアも今思えば実に隔世の感があります。令和の現在ではビデオ機器も格段の進化を遂げ、「これ、観たいのとちがう?」なんてAIが勝手に予約したりします。それが当たってたりするから微妙に嬉しかったり腹立ったり。そんな先進機器の使い方として、毎週決まって放送される番組をすべて録画しておくことなんてごくありふれた機能です。勝手に録画のストックが溜まっていくのです。

anotosi.jpg BSジャパン(現在のBSテレビ東京)でかつて放送されてた「あの年この歌~時代が刻んだ名曲たち~」という番組がありました。いちど気になって録画したところ、視るのをうっかり忘れてて、ビデオデッキは知らないあいだに毎週毎週きちんと録画し続けて、気が付くと50本以上勝手に録画されてる。録画済リストに「まとめ」なんて一行で表示するもんやから、こんなに溜まってるとは気がつかなかった。

 まいったなあと、ちょっと観始めたところ、なんとこれがツボにはまって面白い。1960年代以降のある1年にスポットを当てて日本のフォークソング、歌謡曲の中から特定の楽曲を切り出し、当時の懐かしい映像とともにパーソナリティの坂崎幸之助や高見沢俊彦が曲のエピソードや時代背景を語る、というどおってことない進行なんですけど、解説の音楽評論家富澤一誠氏の博識とアルフィーの二人(片方ずつの出演ですが)のトークが深くて飽きない。番組のパターン、スタイルが一貫して変わらない。他局なら「今日は○○からお送りしてます」だの「今日は○○さんをゲストに...」とベタな演出に走りそうなところ、出演者固定、座る位置も固定、進行固定。「ブレないテレ東」の面目躍如です。そして肝心の内容、時代がわれわれかもう少し上の、元気な昭和を駆け抜けてきた世代にドンピシャで、懐かしくて実に親しみがあります。これは好番組です。

 わたしは最近に至るまですべての録画を観ずに放ってあって、最近気がついたというわけです。今年に入って放送は終了したらしい。まあ、毎回1年ずつ取り上げてたらいつかは終わりがくるのは道理なわけで、残念ですが仕方がない。幸い、放送終了に至るまでほぼすべての回が録画されてるんで、最近は毎日夕食食べながら何本かずつ観てます。まだしばらくは楽しめます。

ダムと水害

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 梅雨前線がしっかり停滞している影響で、今年の梅雨は梅雨らしい梅雨です、なんて呑気に言ってられない事態になってます。とにかく激しい雨が降り続いてやまない。特に九州は例の線状降水帯に襲われてこれでもかってくらいに水浸しになってます。熊本県の球磨川が氾濫し、多くの方が犠牲になりました。

 地球温暖化の影響でしょうか、気象庁発表で「数十年に一度」や「観測史上最悪」が毎年次々に更新されています。連載マンガでよくある悪役のインフレみたいな現象が現実に起こっているのです。

 ありがちですが、今回の球磨川水害についても人災だと言われています。国は、歴史上何度も氾濫を繰り返し「暴れ川」と恐れられていた球磨川の水害対策として、その支流に「川辺川ダム」建設の計画を進めてきました。しかし、地元では何十年に一度の水害対策よりも、流域のアユやホタルの方が大切だということで、建設には反対運動が起きていました。そして例の悪夢の政権交代があり、民主党は地元の反対運動を「そのとおり!」と称賛して建設を白紙化しました。「コンクリートから人へ」などと謳った事業仕分けの結果でした。こんな政策を、当時国民はおかしいと思わなかったのです。まさにポピュリズムの典型といえるでしょう。suigai.jpg

 そして「脱ダム」を掲げダム建設反対派の支持を得て当選した今の熊本県知事は、ダムに代わる治水政策を行うことを選挙公約にしていたのに、今に至るまで全く何も行わず、その結果今回の事態を招きました。ひどい話です。

 もっとひどいのはマスコミの在り方です。当時、ダム反対の機運は反政府系メディアのみならず多くの新聞、テレビによって大いに拡散されました。

 先週、辛坊治郎さんがTBS「グッとラック」の生放送で「川辺川ダム建設反対運動はTBSだのテレ朝だのニュース番組が徹底的にバックアップして『ダム反対!中止!』を徹底して煽った結果中止になった。この局中みんな覚えている」と発言しました。わたし、たまたまテレワークのこの日はまだ朝食食べてたんでリアルタイムに視てたんですが、みそ汁吹き出しましたよ。スゴい。よくぞ言ったもんだ。

 この日辛坊さんを出演に連れてきたスタッフたちは青ざめたと思います。ひょっとして今後はTBSには呼んではもらえないんやないでしょか。新聞、テレビはその後慌てて「仮にダムがあっても被害はそう変わらなかった」という専門家もいるなんて発信してますが、まったく説得力がありません。もしそうなら全国のダムは治水になんの効果もないことになります。比較の話として無いよりあったほうが水量が減るに決まってます。ダムがあれば死なずにすんだ人がいるという事実は動かしようがありません。

 ダム建設には巨額の費用がかかるとともに自然のかたちを大きく変えてしまうことで地域環境への影響が大きい。そのため、計画が立ち上がると反対運動が起きることが多い。ところが、利根川水系の八ッ場ダムが猛烈な反対運動にもめげずほぼ完成したことで、昨年42年ぶりに名前がつけられた猛烈な台風「令和元年東日本台風」の際に威力を発揮し、流域の洪水を回避できたと言われています。

 ダム建設は確かに巨額の税金を費やすし、利権も生じるかも知れない。自然破壊もあるでしょう。しかし、それでもたとえたった一人であっても人命を守れるなら大いに意義があるのではないですか。

 今回の人災、マスコミの責任は大きいですが一番ひどいのはやっぱり首長の熊本県知事です。公約違反と無作為によって、多くの県民の尊い命が奪われました。ご遺族から殺人罪で告訴されるかもしれません。どう責任をとるつもりでしょうか。

リニア危うし?

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 首都の新たなコロナ感染者数が減らず第ニ波襲来も懸念される中、異例づくしのプロ野球が始まってます。観戦すると感染するかもってんで無観客試合、ファンはもっぱらテレビ中継で応援です。画面みてるとやっぱりかなり様子が違いますが、やってる選手たちはどんな感じなんでしょね。まあ、昭和の昔パ・リーグの藤井寺球場や日生球場なんてガラガラでほぼ無観客試合みたいなもんやったし、あの頃の雰囲気が帰ってきたと思えばよろしい。

 それにしてもぶっちぎり最下位のわが阪神タイガース、いったい何があったのか、いったい何やってんだか。トホホ。甲子園に戻ってからの奮起を期待しましょう。

 さて、「空飛ぶ地下鉄」こと超電導リニア中央新幹線が着工されてもう4年になるそうです。山梨の実験線の着工からやとすでに30年経過したとか。2027年の東京-名古屋開業に向けてちゃくちゃくと工事が進んでいると思ってたところ、どうもそうでもないらしい。ルートのうち静岡県内の工事許可が下りず着工できんくなってて、どうやら27年開業は遅れそうということが先週伝わりました。

 リニアについては、過去何回か取り上げてきました。計画に懐疑的やった頃と、そのくせ試乗に応募して当選してウキウキ出かけたときです。

20180802_032113858_iOS.jpg わたしが生まれた頃、東京オリンピックと新幹線の開業が日本の高度経済成長開始の号砲となったわけですが、新しいインフラ整備の事情に関してその時代と現代では社会の受け止めが微妙に違っています。昭和の頃はとにかく戦後の痛手から立ち直りなんとか戦勝国に肩を並べるべく、科学技術の発展と国土開発のため多少のことは横に置いといてイケイケどんどんの雰囲気があったように思います。騒音公害などの環境問題もあとになって言われはじめたわけで、とにかく国と社会の発展と豊かな生活の実現が最優先でした。ところが環境ファーストの令和のリニアにあっては、工事の進捗につれてあちこちで差し止めの訴訟が提起されたり、工事業者の談合が発覚したりとリニア完成に向けて国民が一枚岩とは言い難い様相です。そこに今回、JR東海と静岡県のバトルが伝わりました。「え、いまさら、どゆこと」と思いますよね。

 わたしも最初ニュース聞いたときには、リニアが開通しても駅が設置されずあまりメリットがない静岡県が、JR東海に対していぢわるしてるんかいな?なんて一瞬思いましたが、そうではありません。静岡県はリニアに反対しているわけではなくて、工事によって大井川の水利に影響があるからその対策をきちんとやってねって話をしてるだけなんです。これにJR東海がしっかり応えていないから話が進まないと。東海はじめ工事関係者にしてみたら、なんせ初めての経験なんでどんな影響があるのか実際やってみないと分からないところもある、だから現時点での対策はこんくらいで勘弁してください。いやいや、それではちょっと...と言う状態で折り合いがつかない。結果、最終的に工事の許可ができないと。どうやらそういうことらしい。

 今となっては、そんなこと計画段階できちんと話できてなかったの?と思うけど、いろいろと大人の事情があるのでしょう。県とJRで話つかなければ、国が「まあまあ」って割って入って仲介することになるかな。ゴタゴタはあってもいずれリニアは完成するでしょう。ただ、予定よりも少し遅れますよって話です。

 私はすでに1回試乗させてもらったので、開通してもあえて乗りたいとも思いません。その頃には(多分)リタイヤしてて仕事で上京することも無くなってっし、大阪まで延びる頃にはそも生きてるかどうかもあやしい。開通後は東海道と中央の新幹線に人が集中するのを後目に、「密」でないローカル線で、の~んびり旅ができればいいかなって。

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katsuhiko

男 

血はO型

奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

生まれてから約半世紀たちました。

お休みの日は、野山を歩くことがあります。

雨の日と夜中はクラシック音楽聴いてます。

カラオケはアニソンから軍歌まで1000曲以上歌えます

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