2018年1月アーカイブ

広辞苑のこと

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 寒いですね~。日本列島を襲っている猛烈な寒波、なんと実に40年ぶりやそうです。地球温暖化なんてホンマかいなと思ってしまいます。

 さて、そんな寒い寒い中でホットな話題、広辞苑第七版が発売されました。

20180127_070225764_iOS.jpg 言うまでもなく、国語辞典の最高峰、最高権威の名をほしいままにする岩波書店のフラッグシップ的出版物です。「広辞苑に載っているか」が日本語として正しいか否かの判断基準になります。日本語を勉強する外国人にとっては広辞苑を使うことが憧れであり、使えることが日本語習得上のひとつの評価基準とされているそうです。日本の知の集積として信頼を得、時代を貫いて圧倒的な規範性を有するこんな出版物はほかにありません。キリスト教世界の聖書にも匹敵すると言うと言いすぎでしょうか。しかし、それほどの称賛に十分値すると思います。

 そんな広辞苑が10年ぶり、満を持しての全面改訂。巷のお祭り騒ぎもむべなるかなといったところです。

 HPによると「第六版」より140ページ増、新収録語は1万語、総項目は付録込みで25万件。薄くて裏写りしない専用紙を開発することで前回からの厚さを維持しているとか。今年の6月30日までは特価8,500円、机上版(2分冊)は13,000円。そこそこのお値段です。

 ところがそんな大騒ぎに水を差すように、語釈の間違いが指摘されてます。「LGBTのTは性的指向とは関係がない」だの「しまなみ街道の島のひとつの名前間違ってる」だの、よくまあ見つけるもんやと思います。また、一部マスコミから「中国寄りの記述が多く偏向している」なんて批判もあるようです。25万項目もある中に間違いがほんの数件あったからといって「信頼が揺らぐ」などと鬼の首を取ったかのように大騒ぎする下品なマスコミの有り様をいまさらどうこう言うよりも、国民の総意として広辞苑が日本語の集大成としての地位を確立しているからこその騒ぎとみるべきでしょう。それほどの信頼を築いていることの裏返しです。広辞苑、恐るべし。20180127_090121470_iOS.jpg

 わたしが社会人デヴューしたおよそ30年前、正しい、美しい日本語はビジネスの基本的な素養ということで、買いましたよ広辞苑。当時は第四版で上代6,000円が職場の割引で4,800円でした。ミュージックCD3枚分は若い身空にはなかなかの出費ではありましたが、そこは自分への投資ということで頑張りました。

 その当時の話、ある書類を上司に回したダメを出されました。「詳細は別添資料のとおり...」と書いたところ、「別添なんていう日本語はない。広辞苑に載ってないというわけです。調べてみるとなるほど載ってない。いやしくも業務上で文章を書くからには、ひとつひとつの言葉は大事にすべし、ゆめ疎かにしてはいけないと学んだわけですが、そこでもやはり判断の基準として広辞苑があったのです。

 時代は流れ、次に買った第五版はCD-ROM版でした。このあたり時代の流れすね。そして第六版が出た10年前にはすでにインターネット万能の世の中となっており、言葉を調べる必要が生じたときには重たい広辞苑をよっこらせと開くよりもネットでググる方が圧倒的に早いという時代がきたわけです。私もとうとう買わずじまいでした。

 それでも、やっぱり日本語のデフォルトスタンダードは広辞苑。美しい日本語にはいささかのこだわりを持ち、かつ超ミーハーを自認する私としてはここはひとつ原点に立ち返り、華麗に世の風潮に乗っかって、さあ第七版、買うべきか否か。

 今年の大学入試センター試験、地理Bの問題でムーミンのことが出た!までやったら、微笑ましい話題で終わりでしたが、その出題に間違いがあったのではないかということで、巷間喧々諤々の騒ぎになってます。

moomin.jpg 北欧3国(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド)について、「ニルスの不思議な旅」はスウェーデンが舞台ですが、「小さなバイキング・ビッケ」「ムーミン」はそれぞれどちらがノルウェー、どっちがフィンランドが舞台でしょう。さらに「いくらですか?」という意味の言葉はそれぞれどちらがノルウェー語でどちらがフィンランド語でしょうかって、そんな問題でした。

 で、正解は「ビッケはノルウェーが舞台」、バイキングの話ということでこれは分かる。しかし「ムーミンはフィンランドが舞台」としたところ各方面異論が沸騰し、ネットの炎上のみならず新聞各紙も取り上げる事態となりました。

 「ムーミンの舞台はムーミン谷であって、原作でもアニメでも、フィンランドが舞台とは一切出てこない」というわけです。たしかに作者のトーベ・ヤンソンはフィンランド出身で、作品としてのムーミンの故郷はどこかと問われればフィンランドであることに誰も異存はないでしょう。しかし、舞台がフィンランドやと言われると、ちょっと待ってよということになります。

 この問題、出題者の目論んだ解答法は、

 「まず、ノルウェーとスウェーデンは隣接しててフィンランドはこの2国とは若干離れてる位置関係を理解していること。その上で、ノルウェーは外洋に面してて沿岸が凍らず海運が発達してることから連想して船の絵があるバイキングはノルウェーで、そうなるともう片方がフィンランド。隣接してることから言葉がよりスウェーデンと似ているほうがノルウェーでもう片方がフィンランド」と、つまり、ムーミンやビッケ知らなくても論理的思考で正解が導ける、ということのようです。

 大学入試センター試験に代わって2021年1月から実施される「大学入学共通テスト」は記述式の解答も取り入れ「思考力・判断力・表現力」を中心に評価するという考えがベースにあり、今回のムーミンの問題はその傾向を先取りしたとするならば、これはなかなかいい問題やと私なんかは思います。20180119_131354897_iOS.jpg

 しかし、詰めが甘かった。出題の意図とあまり関係ないところで「ムーミンの舞台はフィンランド」と、いわば口が滑ってしもた。うかつなやつめ。

 さらに産經新聞によると、ノルウェーが舞台とされた「ビッケ」の方も、原作者はスウェーデンの作家で、ビッケが拠点とする「フラーケ村」も実はスウェーデンの地名らしい。こうなるともう、なにがなんだか分からない。

 ムーミンは今なお世界中で絶大な人気があり、特に日本では老若男女問わずその人気は不動のものとなっています。わたしも例にもれず、小学生の頃に「カルピスまんが劇場」で初めて出合ったころは毎週楽しみにしてたもんです。特にスナフキンが大好きで、そのクールでストイックな孤高の生き様にしびれたもんです。

 出張で初めてフィンランドに行ったとき、タンペレのムーミン博物館の前まで行きながら閉館時刻に間に合わず涙して引き上げたことは、かつてこのブログでも書きました。

 さて、朝日新聞によると大学入試センターはこの出題について「知識・思考力を問う設問として支障はなかった」という見解を示しながら、ムーミンの舞台をフィンランドと決めつけた根拠については「現時点では回答できない」と苦しい言い訳です。また、騒ぎを受けてムーミン公式サイトも「客観的な事実として舞台がフィンランドと設定されているのかどうかは、第三者の検証に委ねたい」と判断を明言せず収拾がついていません。おそらく公式サイトが「舞台はフィンランドではない」と言明すると、センター試験は出題に間違いがあったことが確定し混乱がさらに広がることから、忖度が働いたものと思われます。

 ムーミンの設問は、地理Bの試験100点満点中わずか3点の配点ながら、受験生にとっては人生を左右する3点なのであって、これは今後まだひと悶着ありそうな予感がします。

慰安婦像の国で

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 平昌冬季オリンピック開催まで1カ月を切りました。

 競技施設はなんとか間に合いそうやし、寒波到来で降雪もそこそこ見込めるとかで、最大のピンチはクリアしたようです。さらに北朝鮮も突然何らかのかたちで参加することを表明したため、会場に向かって北からミサイルが飛んで来る危険も減りました。数多ある障害をクリアし、どうやら本当に開催できそうな勢いです。

 とはいえ、ウィンタースポーツ大国にして前回のソチ冬季五輪開催国のロシアがドーピング問題で参加しないし、最大の人気競技のアイスホッケーに北米アイスホッケーリーグが南北衝突のリスク回避で選手を派遣しません。確かに、例えば野球のWBCがシリアやソマリアで行われることになったら、日本からいったいどこのプロ球団が大切な選手を派遣するかいなという話です。競技の最高レベルを競うというオリンピックの魅力は損なわれ、韓国内のみならず国際的にも盛り上がりに欠ける状況が続いています。Pyeongchang1.jpg

 そんな中、安倍総理は開会式に出席しないとか。隣国で、しかも次期五輪開催国の首脳が開会式に参加しないなんて前代未聞の事態です。行かない理由は当然のことながら、慰安婦問題で韓国の大統領が事実上の日韓合意見直しを表明したことによるものです。

 国家間の合意を一方的に破棄する、韓国の前近代的な外交姿勢は到底認められるものではありません。こんな状況下で安倍総理がのこのこ出かけて行けば、例えば日本大使館前の慰安婦像も日本は許容したと誤認されかねません。そもそも北朝鮮がミサイル発射と核開発を続けるこの時期に宥和姿勢を示して国際社会の足並みを乱し、日本に対しては慰安婦問題でまたぞろゴールポストを動かして神経を逆なでする挑発を行う。まったくこの国だけは本当に何を考えているのかと悲しくなります。

 思い起こせば2020年の五輪開催都市選考に際しては、朴槿恵率いる韓国が官民挙げて「東京五輪反対」の妨害工作を展開しました。そして、その努力空しく開催地が東京に決定すると、今度はてのひらを返して平昌五輪への協力を日本に要求してきたというその厚顔ぶりに閉口したものです。去年の夏来日した韓国の国会議長は「平昌に日本からの観客が少なかったら、東京五輪にも韓国人をひとりも行かせない」と言い放ったとか。もしそうなったら日本としては別に困らないどころか大歓迎やけど、まあ非礼極まれりという話です。Pyeongchang2.jpg

 その後も、平昌五輪の公式ウェブサイトの世界地図から日本が消えてて、日本政府が抗議しても日本語以外のサイトでは修正していないなど、韓国のわが国に対する陰湿ないやがらせはずっと続いています。そして今回の慰安婦問題に関する狼藉。韓国政府は安倍総理に期間中の訪韓を再三要請しているそうですが、ソウル日本大使館の正面をはじめ国中あちこちに醜悪な慰安婦像が建てられ、あまつさえバスに乗せて走り回っているような国に、安倍総理が出かけて行くわけがないやないですか。

 先の日韓合意は「最終的かつ不可逆的な解決」であったはずです。日本は合意を遵守し10億円を公金で支出しました。ところが韓国はそんな合意などまったくなかったかのように、相変わらず「日本は被害者らの名誉・尊厳回復と心の傷を癒やすための努力を(外務大臣)」だの「日本の誠意ある謝罪が必要(大統領)」といった発表を変わらずに続けています。これまでの経緯を踏まえたとき、いまさらのこんな主張は極めておかしいと、韓国国民はなぜ理解できないのでしょうか。

 戦後、現在に至るまでわが国は韓国に対して莫大な財政支援を行い、有形無形の援助とともに数えきれないほど謝罪を続けてきました。この上いったい日本にどうしろというのでしょうか。もう、ここに至っては、ゴールポストが動くどころか、そもそもどこまで行ってもゴールなどないことに日本人は気づくべきです。「反日」は韓国民のアイデンティティー、国家存立の基本理念として永久に続いていくのであって、こんなことにわが国が付き合っていく必要などありません。前にも書きましたが、甘やかして相手にするから様々な問題が生じるのです。地理的に近いからどうしても目についてしまいますが、もう一切関わらないことです。

 オリンピックがこんな国で開催されるなんていったい何の冗談かと思いますが、それはいまさら言っても始まらない。リオ五輪の際にこのブログで、五輪は国家の威信なんかは二の次でアスリート・ファーストの壮大な運動会であればよいと書きました。その思いは今も変わりません。出場する選手たちは国家間の思惑など一切気にせずに頑張ってほしい。そしてまた日本中に爽やかな感動を届けてほしいと思います。

闘将 星になる

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 明けましておめでとうございます。

 1月も7日になっておめでとうもないもんですが、今年のブログ初めということでご容赦ください。どうか、本年もよろしくお付き合いのほどをお願いいたします。

 さて、お正月早々衝撃の訃報が届きました。元阪神タイガース監督闘将星野仙一氏が亡くなりました。70歳という早すぎる旅立ちでした。

 20180106_135649536_iOS.jpgわれわれ関西人にとって星野さんといえば2003年、低迷する阪神タイガースを率いて18年ぶりのリーグ優勝をやってのけた恩人的存在です。星野さんの監督就任前はかの野村克也監督が3年やって3年連続最下位、87年から2001年の15年間で8回最下位という暗黒時代のあとやったので、いまだに救世主的イメージが強い。その後岡田監督に引き継がれ再びリーグ優勝するわけですが、この年は圧倒的に強かった。ダメトラやった阪神がこのふたりの監督によって強いチームへと変貌を遂げたのです。押し入れから星野阪神優勝の号外を引っ張り出し星野さんを偲びました。当時の感動が甦ります。思えば長らく優勝から遠ざかっており、闘将よ再びの思いが募ります。

 野村さんは例のID野球、チーム作りや練習を理論をきわめて行ってたのに対して星野さんは「巨人の星」のスポコンよろしく根性論でチームを率いていくタイプでした。鉄拳制裁も辞さずの練習方針で、お相撲さんの暴力事件が社会問題になる現在ではおそらく通用しないでしょう。それでも結果的に選手たちは理屈をこねまわして結局勝てない監督よりも、暴力を使いつつも結局選手のことを第一に考えている監督に従い、一丸となって勝ち続けることができたわけです。

 現役時代から打倒巨人を標榜し、闘志をむき出しにした熱血投球は痛快でした。しかしよく打たれた。打たれてもまた向20180107_001435813_iOS.jpgかっていくその勇姿には中日ファンならずとも魅せられたものでした。プロ野球の珍プレー史に残る有名な「宇野ヘディング事件」、私もリアルタイムでTV中継を観てたのですが、グラブをたたきつけてチームメートの宇野に罵声を浴びせる星野投手を敵ながら哀れに思いましたよ。弱いチームで孤軍奮闘する姿は日本人受けするのです。結局、憎っくきジャイアンツの10連覇を阻止したのが、わが阪神ではなくエース星野を擁する中日ドラゴンズでした。

 その昔、プロ野球人は個性的な人が多かった。ちょっと前に書いた福本さんにしてもそうです。かつては、空振り三振しても絶賛を浴びてベンチに引き上げる役者が確かにいたのです。しかし、昨今そんな野武士のような選手が減ってきたように思います。選手として監督として成し遂げてきた実績よりもプレー中のパフォーマンスでもって、生きざまを観客にアッピールできる選手が減ってきたのです。野球は数字のスポーツと言われるように残した数字がすべてです。その数字が実績となりもらえる年俸に直結しているのですから当然ともいえます。その結果小手先でもって数字を稼ぐプレーが幅をきかせ、観ていて大向こうが唸るような「勝負」が減ってきました。プロである以上、観客は試合ではなく勝負を観に来てるということもあるのです。

 選手としても監督としても、役者として観客から金を取れる星野さんのようなキャラクターはもう、望むべくもないのでしょうか。

 謹んでご冥福をお祈りいたします。どうか今後のプロ野球の発展を見守ってください。合掌。

WELCOME

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katsuhiko

男 

血はO型

奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

生まれてから約半世紀たちました。

お休みの日は、野山を歩くことがあります。

雨の日と夜中はクラシック音楽聴いてます。

カラオケはアニソンから軍歌まで1000曲以上歌えます

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