2017年12月アーカイブ

年末は免許と第九と

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 今年も押し迫ってまいりました。おそらくは今年最後のブログ更新です。

 ミサイルとモリカケに翻弄された、明るい話題が少ない1年であったように思います。いろいろあった国際情勢については自分なりに今年を集約すると、台頭する中国に対して自由と民主主義の盟主たるアメリカのリーダーがトランプで大丈夫なんかなと。これに尽きるような気がします。国内では、壊滅状態の野党と左翼反日メディアの凋落もあって安倍一強ゆるぐ気配なく、今後の焦点はいよいよ改憲なるかということになってきました。いろいろ批判された今年の総選挙、将来的に日本史上のひとつのターニングポイントと評価されるかも知れません。

 20171229_062646818_iOS.jpgさて、そんな世間の喧騒は置いといて昨日、運転免許の更新に行ってまいりました。1月生まれなんで更新時期は毎回年末年始のお休み中ということになります。公安委員会から届いた更新連絡書には、この時期運転免許試験場が壮絶な混雑になるんで覚悟して来るようにとの脅し文句が書かれてましたが、行ってみるとなるほど待ち時間があるにはあったけど、思ったほどではない。9時過ぎにおうちを出て12時前には帰ってきてました。優良ドライバーで講習が短かくて済んだこともありスムーズに新しい免許証いただきました。無事故無違反のおかげです。毎日ではないですが運転する機会はそこそこあるにもかかわらず、過去10年以上、おまわりさんに免許証の提示を求められたことがありません。

 そいや昨日だったか、朝刊にわが国の交通事故死亡者がまた過去最低を記録しそうやということが載ってました。1970年がピークで約1万7千人、それが今年は4,000人切るとか。8割近く減ってるといいますから凄いと思います。安全の啓蒙に警察が頑張ったことと厳罰化の効果はあるにせよ、やはり社会全体のマナー向上が進んでいるとみるべきでしょう。

 免許証の更新を無事に済ませたのち、恒例の第九の演奏会、ザ・シンフォニーホールに出かけました。今年は期せずして別の公演にもご招待があったんで2回目の第九です。このホールは何回も行ってるし、第九の演奏会も数えきれないほど行ってます。なので、今回はふと思い立って、ホールのステージ後ろの席を買ってみたところ、これがなんともまあ面白いというか、微妙でした。

 普段は見ないアングルでものすごく新鮮です。オケの皆さんはもちろん反対方向に向かって演奏します。お辞儀もそう。後ろには気を使わない。演奏中は正面から指揮者の顔と動きが見られる。オケはどこでもいいけど指揮者のファンやという場合には特等席ということになるでしょう。そもそもこのホール全体が細長いすり鉢状で、どこの席であっても音響は申し分ないので、通常のオーケストラの公演であれば変わらず楽しめると思います。theSymphonyHall.jpg

 しかし、第九は大勢の合唱団が一緒で当然ステージの後ろぎりぎりまで立ち並びます。よりによって最前列の席やったもんやから、すぐ目の前に歌ってる人の後頭部という状態。迫力は最高でしたが頭が邪魔でステージがよく見えない。ソリストなんかどこにいるのかも分からない。これはちょっと失敗でした。第九でステージ後ろの席を買うときはなるべく後、上の方がよいと心得るべし。

 そんなこんなで今年も終わっていきます。ふと前回の免許証更新のときもこのブログに書いたなぁと思いだして、あれからちょうど5年が経過したことに驚きを感じます。なんとも速い。1年速いし5年がさらに速い。歳を重ねていくので当然といえば当然ですが、矢のごとく過ぎ去る光陰をおよそ無駄に過ごしたくない気持ちが募ってきます。焦ってもしかたがないので、例によって一日いちにちを大事にしていくこととします。

 今年1年お付き合いいただきありがとうございました。来る新年が皆さまにとって素晴らしいものとなりますように。

 上野動物園で生まれたパンダのシャンシャンが一般公開になったことがテレビのニュースのトップで伝えられました。マスコミは大騒ぎで、かつて日中国交回復の際にランラン、カンカンがやってきた際のフィーバーぶりを思い出します(古っ)。

 この加熱報道に対して和歌山県の知事さんが「パンダは上野だけではない」と苦言を呈しました。調べてみると日本にはいまジャイアントパンダが9頭います。

 兵庫県 王寺動物園 タンタン(雄)

 和歌山県 アドベンチャーワールド 永明、海浜(雄)、良浜、陽浜、優浜(雌)

 東京都 上野動物園 リーリー(雄)、シンシン(雌)、シャンシャン(雌)

 panda.jpgあれ、そんなもんだっけか。もっといてたように思ったけど、みんな死んじゃったんですね。そんなに少ない中で9頭目が生まれたという点では、ビッグニュース扱いも分からんでもない。しかしそれなら和歌山で生まれたときにもトップニュースになるのかって話です。やはり日本の報道は東京偏重のきらいが否めません。「今日の東京は寒かった」がトップに来たり、雪でも降ろうもんなら時間を割いて大特集です。雪国の人が見たら白けてしまうでしょう。関東ローカルでやってよと思います。

 ところで、パンダ。今日本にいるこの9頭、実はすべて中国の所有物です。今回日本で生まれたシャンシャンもアドベンチャーワールド5頭のうち日本で生まれた4頭も含めてすべて所有権は中国にあり、日本はレンタル料払って借りてるわけなのです。ランラン、カンカンなどはじめの頃は贈呈でしたが、最近はワシントン条約などの関係で買い取ることができません。しかもそのレンタル料金たるや1頭年間数千万円の単位やとか。これからも日本でパンダが生まれるたびに中国に支払うレンタル料が増えていくというわけです。莫大な金額です。

 それに見合う効果があるのでしょうか。ランラン、カンカンは「友好のしるし」でした。その「友好」どこに行ってしまったのか。日中関係は当時と今ではすっかり様相が変わってしまいました。最大の発展途上国といわれていた共産中国は、文化大革命の悪夢の時代を乗り切り、急速な経済発展を成し遂げ、いまやその強大な国力をもてあましつつも世界の覇権を目指してつき進んでいます。戦後の頃、中共にとって経済大国日本は国家建設の手本であり、目標でした。しかしいまや中共の目指すところはアメリカと渡り合い世界を2分するレベルに達しています。日本などは、アジアの他の国々同様、乗り越えていくべき邪魔な存在に過ぎません。

 現在の日中関係は正常化以降最悪といわれてますが、原因は世界の覇権を狙う中国の野望に起因することは明らかです。日本の中国に関する姿勢は、少なくとも鄧小平の時代、正常化直後の日中蜜月と言われた頃から一貫して変わってないのです。日本は中国に対し、ODAや人的交流、技術移転によって有形無形の経済援助を行い、戦争の不幸な過去を清算し、アジアの大国としてともに発展を目指そうと思ったものです。甘かった。中国にとっては面従腹背かつ臥薪嘗胆の日々やったのです。china.png

 いまや経済的に発展を遂げ米国に次ぐ大国に成長した中国が、静かに復讐を開始しました。江沢民が主導した反日教育を受けて育った世代が国民の多くを占めるにつれて、日本は踏み越えるべき敵国として認識され始めました。そして中国は、日本が石原都知事の無節操な行動を阻止するためやむなく尖閣諸島を国有化したことを奇貨とし、突然大騒ぎを始めて公船の領海侵犯が日常化しました。尖閣は戦後ずっと日本の実効支配下にあり中国との表立った衝突はほとんど無かったのに、国有化をきっかけに太平洋進出の野望を鮮明化させてきたのです。首相の靖国参拝にしたって戦後ずっと続けてた頃には何も言わなかったのに、ある日突然騒ぎ出しました。ようは日本を敵視するための単なる口実にすぎません。

 日本では何が何だか分からないうちに大規模な官制の反日デモが繰り返されるようになりました。上海では暴動も起きています。ちなみに石平さんの講演会で聴いた話ですが、このとき日本領事館にぶつける生タマゴを現地の警察や役所がデモ隊の市民に配ったところ、みな自分ちに持って帰ってしまったのであまり効果なかったとか。

 韓国が北朝鮮のミサイル防衛のために米国からTHAADミサイルを買って配備したことで、中韓関係が悪化したこととも状況は似ています。韓国が対北施策として配備しただけで、およそ中国に文句を言われる筋合いではないわけで、まさに言いがかりにすぎません。この件に関してだけは韓国を気の毒に思います。

 かつてランラン・カンカンに象徴された友好の時代が過ぎ去ったことは、近年身に染みてきました。中国は大国です。今後日本は、気を引き締めてことにあたる必要があるのです。

国民栄誉賞

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 将棋の羽生さんと囲碁の井山さんに国民栄誉賞を同時に授与することになったそうです。

 羽生さんは史上初の永世七冠、井山さんは史上初の七冠というその世界では前人未到の快挙を達成したということで、受賞は誰しも納得といったところです。

 habu.jpgこの国民栄誉賞は授与の基準が曖昧で時の政権が恣意的に人気取りに利用しているなんて批判が言われてきました。政治が滞って世の中の雰囲気が暗くなったときに、パッと明るい話題を作って少しでも政権批判の矛先をかわそうという思惑が見え隠れするというわけです。だからといって別に時の内閣の人気が上がるわけでもないんですけどね。

 今しも日本では、極悪犯罪国家北朝鮮からのミサイル攻撃に晒されるという、かつてない事態に直面しています。にもかかわらず国会ではその対策を真剣に論じようとせず、ボンクラ野党が相変わらずモリ・カケを叫び続けるお粗末な有様で、政府も政府で、いつまでもそんな野党のたわごとに付き合い、国の安全保障をはじめとして年金・教育といった懸案の重要施策に有効な活路を見い出せずにいます。

 もう少し待てば冬季オリンピックが始まって、日本選手のメダルラッシュでもあれば、一気に明るくなって景気もよくなると思っていたところが、ロシアがドーピング問題で参加しなくなったし、それよりもそもそも分断国家の紛争休戦ライン近くで、オリンピックなんかホントにやれるんやろか?と、開催が近づくにつれて世界中の人々が懸念し始めました。北朝鮮が国境すぐそばの会場狙ってミサイルを撃ってこないと、いったい誰が言えるでしょうか。つまりは、日本国内でも不安と失望が広がりつつあるのです。

 そんな中で、なんとか社会の雰囲気を盛り上げたいと思った政府が「そや、国民栄誉賞や!羽生(ハニュウ)がだめなら羽生(ハブ)でいこ。んで将棋のついでに囲碁でもほらこないだなんかおったやんか」というわけで今回のニコイチ受賞の運びとなったわけですね、きっと。

 さて、この国民栄誉賞、今回は納得の受賞ですが、基準が曖昧なんで過去には「なんで?」というケースがままありました。漫画なら長谷川町子よりも手塚治虫やろとか、寅さんがもらって高倉健や三船敏郎にはなんでないのとか。fukumoto.jpg

 また、ノーベル賞は死んじゃった人はもらえませんが、国民栄誉賞は没後受賞が非常に多い。本人の意向を無視した後の祭りやから「政府の人気取り」なんてことが言われるのです。国民の声をしっかり把握して、資格アリという人には元気なうちに授与してほしいもんです。

 ちなみに野球界では、ホームラン世界記録の王さん、連続出場世界記録の衣笠さんがもらってるのに、なぜに盗塁世界記録の福本豊さんがもらえないのかがかつて話題になりました。当時「パ・リーグやったから」なんて冗談が言われましたが、実は政府は打診したのに福本さんが断ったらしい。曰く「そんなんもろたら、立ちションもでけへんようになる」

 実に福本さんらしくて、よい。

 実際のところは「記録だけやなくて、王さんのように野球人として本当に国民皆から愛される人でないといけない」と思って辞退したんやとか。

 こんな人にこそ、国民栄誉賞あげるべしと思います。

NHK驕り高ぶる

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 国営有料放送のNHKは受信料やめてスクランブル化すべし、とだいぶ前に書きましたが、このたびNHKの受信契約を強制する放送法が合憲か否かが争われていた裁判で最高裁は「ごーけん」とする判決を出しました。もし仮に違憲判決など出ようもんなら、これまで払った受信料全部返せと日本中で暴動が起きるので、合憲判決は大方の予想どおりでした。とはいえNHK受信料問題に関する初めての最高裁判断、歴史的判決というわけで各紙大騒ぎです。

 NHKbill.jpg判決いわく、テレビが家にあれば受信料を支払わなければならない。これは知る権利に応える公共放送を支えるため、なんですと。

 「NHKが知る権利に応えているから契約は強制でも合憲」とは妙な理屈です。知る権利があれば知らない権利も当然あるわけで、視聴者に知る権利を押し付けて、それを支えるために受信料制度が必要というのは論理矛盾の気がします。

 そもそも契約には当事者間の合意が必要であり、一方的に押し付けられるものではありません。受信契約にしても同様で、放送法の「契約しなければならない」なんて法令条文は普通ではありえない話です。ではなぜNHKだけ契約の強制が許されるのか。放送法は「(NHKは)公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組...を行う」としています。つまり、NHKは「豊かで良い」番組やから、国民皆これを視なければならない、視てるんやからそれに対して金を払う義務があると。つまり「視ることを強要」しているのです。

 普通に考えてこんな法律はおかしい。「豊かで良い」番組なんて誰がどのように評価するんでしょか。いいか悪いかなんて1億人の国民ひとりひとり判断が違うわけで、国民すべてにとって「良い」番組なんてありえません。イスラム国やオウム教団は間違いなく悪ですが、そのカルト思考に心酔した変人にとっては教義に沿った犯罪を悪とする報道は「良い」番組とはいえません。ご皇室の様子を伝える報道は、天皇制を認めない共産党員にとっては「良い」放送とは思えないでしょう。人によって違うのです。皆が「良い」と思う放送なんて不可能です。放送法は不可能を求めており、その不可能を前提として受信契約を強制してるのです。

 お金払ってでも視たい人だけが見る。それでいいではないですか。

NHKlog.jpg NHKはスクランブル化しない理由について、公式サイトで次のように説明しています。

 ○ NHKは、広く視聴者に負担していただく受信料を財源とする公共放送として、特定の利益や視聴率に左右されず、社会生活の基本となる確かな情報や、豊かな文化を育む多様な番組を、いつでも、どこでも、誰にでも分けへだてなく提供する役割を担っています。

 スクランブル化すれば「受信料を財源とする」必要はなくなります。受信料を財源としなければ「特定の利益や視聴率に左右されず、社会生活の基本となる確かな情報や、豊かな文化を育む多様な番組を、いつでも、どこでも、誰にでも分けへだてなく提供する役割」など担わなくてすむわけです。本末転倒とはこのことです。

○ 緊急災害時には大幅に番組編成を変更し、正確な情報を迅速に提供するほか、教育番組や福祉番組、古典芸能番組など、視聴率だけでは計ることの出来ない番組も数多く放送しています。

 だから、何故にだれもみたくない番組を金をかけて制作する必要があるのかって話です。「お前のためを思ってこの番組を作ってやったからありがたく思って視なさい」ということですか。徴収した受信料を大多数の視聴者がみたくもない番組の制作に浪費していることを抵抗なく公言する姿勢がそもそもお上意識の権化です。視たい番組は自分で選びます。

○ スクランブルをかけ、受信料を支払わない方に放送番組を視聴できないようにするという方法は一見合理的に見えるが、NHKが担っている役割と矛盾するため、公共放送としては問題があると考えます。

 その「NHKが担っている役割」なんてものがそもそも必要ないのです。放送といえばNHKしかなかった時代にできた放送法は、今や時代にそぐわずただNHKの既得権益を保護するためにしか機能していません。視たい番組は自分で選びます。

○ また、スクランブルを導入した場合、どうしても「よく見られる」番組に偏り、内容が画一化していく懸念があり、結果として、視聴者にとって、番組視聴の選択肢が狭まって、放送法がうたう「健全な民主主義の発達」の上でも問題があると考えます。

20171208_134539842_iOS.jpg  採算のとれる範囲で番組を制作すればええやないですか。視聴者が求めれば自ずと番組の種類は拡がっていき、結果選択肢も増えます。巷間に溢れる民営ペイテレビのチャンネルの多さを知らないのでしょうか。結果的に多くの人が見たい番組を多く作りニーズに応えることが放送局のあるべき姿なのではないでしょうか。視たくもない、したがって視てもいない番組の制作費まで搾取されることがNHKが言う「健全な民主主義の発達」なんでしょうか。さっぱり分からん。

 NHKの価値観、NHKの倫理観、NHKの善悪意識こそが正しい「良い」ものであって、衆愚はただそれに従えばええんよという考えやからこんな斜め上の理屈を堂々と公表できるのです。もうね、これは合憲違憲という話やなくてNHKの在り方そのものを、その解体も含めて真剣に議論すべき時期にきていると思うわけです。

 ところで、新聞各紙今回の判決を伝える中で、もともとNHKとは仲が悪い朝日新聞は、判決要旨とともに大法廷の最高裁判事全員の写真とプロフィルなんか載せてます。「読者のみなさん、受信料合憲の判決出してNHKに味方した裁判官はこいつらですよ~、覚えといてね♡」という意図が感じられます。朝日らしい印象操作で、これはこれでなかなかに興味深い。

お相撲さんたち

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 はやいもんで今年も12月に突入しました。うわ、年賀状まだ書いてないし、あれもこれもまだできてない。しゃーなし来年まわしっと、いつもどおりの師走の心象です。例によって週末を中心に忘年会ラッシュ、全部で十数件の宴席を粛々とこなしてまいります。がんばれわたしの肝臓。今月はゴルフもコンペとプライベート2回の予定があります。仕事に支障をきたさないよう体調に気をつけていかねば。

sumo1.jpg さて、大相撲が大騒ぎです。暴行疑惑で加害者の日馬富士はもとより、被害者貴乃岩、横綱白鵬、協会理事会、貴乃花親方、それぞれにいろんな動きをしてて、そこに遠くモンゴルから朝青竜や鷲羽山やなんかも大声あげだして、もうなんだかわけ分かりません。

 暴行事件で立件されたわけですから、引退やむなしは当初から言われてて想定どおりの決着なのに、どうもすんなりいってないなという印象です。「物言い」横綱の白鵬は、優勝したもののインタビューで「二人とも土俵にもどすどー、バンザーイ!」とかやって厳重注意されたり、貴乃花親方は協会理事会の事情聴取に応じないし、一部では今や主流となったモンゴル出身力士閥と親方衆や日本人力士たちの確執があるのでは、なんてことも言われてるそうです。どこまでが本当でどこまでがメディアの捏造なのかは分かりませんが、全体像がすっきり見えないことは確かです。

 さて今回の事件、たとえばプロレス、ボクシングなどほかの競技団体の話であったなら、ここまでの騒動にはなりません。なぜにお相撲さんの場合こんなに国民の関心が高いのか。ひとつにはそれだけ人気があるので注目を浴びやすいということがあります。競技として国民に人気があればあるほど、そのプレィヤーは有名税として品行方正な身の振り方が求められるのです。

 しかしそれよりも大きな理由は、大相撲が他の競技とちがって単なるスポーツ、興業ではなく、わが国古来の伝統に則った神事であるという一面があるからやと思います。相撲は五穀豊穣を願って神に奉納するために行われる神聖なパフォーマンスであって、当然のことながら卑怯な行為や八百長などの不正が介在することに国民は本能的な拒否反応を示します。今回のように最高位たる横綱が暴力を振るって非難されるなどもってのほかなのです。

sumo2.jpg その神聖さと日本人が共有できる有益性を有するがゆえに、日本相撲協会は公益財団法人という法人格を取得しています。公益法人でありながらプロ選手を多数かかえ、営利目的の興行を全国規模で開催しているのです。こんな団体ほかにありません。その長い歴史と有益性によって農耕民族日本人の総意として「お相撲ならまあいいか」という認識ができ上がっているからです。

 ところが、その人気が高まるにつれて力士が野球賭博や大麻で捕まったり、今回のように力士同士や民間人に対して暴力振るったりとさまざまな不祥事が頻発するようになりました。中でも2011年に発覚した八百長事件ではどうにも収拾つかなくなり春場所の開催を中止するという前代未聞の事態となりました。その際に叫ばれた角界の綱紀粛正がどうやらまたぞろなおざりにされてきた模様です。これは協会理事会が考えている以上に深刻な事態であると思います。ファンが減って入場料収入が減り、スポンサーの懸賞も減り、タニマチも離れていくといずれ力士の給料も払えなくなるでしょう。相撲協会が税金面でも優遇されて派手に興業が打てるのも、国民多くの総意が結集してそれを求めているからです。ひとたびその信頼を失えば「協会解散」もそんなにありえない事態ともいえません。

 お相撲さんといえば横綱ならずとも強くて優しい正義の味方、人格高尚にして清廉潔白、品行方正というイメージがあります。これはいわば日本人がもとめる人間の理想像なのです。どうか繰り返される不祥事で、このイメージを損なうことのないように願いたいもんです。

WELCOME

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PROFILE

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katsuhiko

男 

血はO型

奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

生まれてから約半世紀たちました。

お休みの日は、野山を歩くことがあります。

雨の日と夜中はクラシック音楽聴いてます。

カラオケはアニソンから軍歌まで1000曲以上歌えます

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