2017年11月アーカイブ

まじりっけなし

| コメント(0) | トラックバック(0)

kokuho1.jpg 総選挙がおわり、いよいよ国会が始まりました。野党は相変わらずモリ・カケの蕎麦談義を続けたくて、一部マスコミもこれに便乗して騒ぎたい様子やけど、やればやるほど国民からは愛想を尽かされていきます。先週の朝日新聞は、国から森友学園への土地売却に会計検査院がケチをつけたというネタを拾って、一面トップをはじめ驚くほど多くの紙面を割いて大騒ぎしています。その有様は異常で、いかに安倍憎しといえどあきらかにやり過ぎです。検査院の指摘があったことをことさらに論い欣喜雀躍している哀れさだけが感じられ、いつもながらの見事な逆効果として読者に伝わっています。

 朝日と言えばウソでも大新聞、かつてはわが国のリベラルの旗手としてクオリティ・ペーパーといわれてたこともあったのに、これではまるでタイガースとデイリースポーツ、ジャイアンツと報知新聞の関係にも似て、新聞というより反政府を目指す勢力の機関紙と成り果ててます。これ以上国民を敵に回すことは、本当にもうやめといたほうがいい。yoritomo.jpg

 さて、今日書きたいのはそんな凋落しんぶんの笑い話ではなく、先週行ったすごい展覧会のことです。先日のエントリーで正倉院には国宝がないということを書きましたが、芸術の秋、その国宝ばかりを集めた展覧会が京都国立博物館でありました。ズバリ「国宝展」。キャッチフレーズに「純度100%」とあります。うまいこと言う。

 開催されてたのは知ってましたがなかなか都合つかず、結局期間終盤のそれもやむなく祝日に訪れることとなりました。もう、こうなると混雑は覚悟の上で気合いれて出かけましたよ。

 早めに行って並ぼうという意気込みはよかったのですが、それでも大いに甘かった。開館1時間前に博物館にタクシー乗り付けた時点で、すでにしていったいどこが最後尾やねんというくらいの大行列が敷地をはみ出して遠くまで伸びてます。思うに私がこんなに並んだのは大阪万博の「月の石」以来ではないでしょうか。

 1時間とちょっと並んで、やっと入場したものの、当然館内は壮絶な混雑です。場内整理のスタッフの悲壮な声が暗い空間にこだましてます。ゆっくりとこころゆくまで堪能するためには、この混雑を如何に耐えていくかという試練が求められます。展覧会ではいつも、目玉商品だけに的を絞りそれ以外の展示品は適当にパスしていくのですが、なんせこの日はパスできるのんが少ない。人混みをかき分けかき分け、時間をかけて見学しましたよ。 超絶お宝ばっかりとはいえ、中でも目玉の展示品がやっぱりあって、それらの前ではことさらにゆっくりと堪能しました。korin.jpg

 神護寺の「伝源頼朝像」は教科書には必ず写真が載ってる、中世の肖像画を代表する傑作です。根津美術館の尾形光琳「燕子花図(かきつばたず)」は100年ぶりに京都に里帰りして展示されたとか。三井記念美術館の円山応挙「雪松図屏風」はビッグネーム応挙の最高傑作といわれてます。与謝蕪村「夜色楼台図」も蕪村の山水画の到達点とされる傑作です。東洋陶磁美術館の「油滴天目茶碗」は4つしかない国宝天目茶碗のうちのひとつです。どれもこれもが単独で展覧会の主役を張れるわが国の、いや人類の至宝なのです。それらが今一箇所に結集し次々にこれでもかと迫ってくるのです。もうね、すごいのひと言。okyo.jpg

yuteki.jpg ここぞという逸品の展示では人混みをもぞもぞと掻き分け、何とか最前列までたどり着いてじっくりと時間をかけて鑑賞しました。場内整理のスタッフさんたちは悲壮な表情で「歩きながら観てくださーい」「立ち止まる人は後方から観てくださーい」と叫んでますが、誰も言うことをきかずひとたび最前列展示ケースの前に張り付いたら動こうとしない、動きたくても動けない。作品にガツンと魅了されその迫力に言葉を失ってしまい、何も聞こえなくなります。本物の凄さです。

 係の人たちは大変やと思いましたがこれは、すごいものばかりを集め過ぎた、企画の失敗です。

 いやー眼福でした。並んだ甲斐がありました。今年私があちこち行った展覧会の中で文句なしのナンバーワンです。惜しむらくは当初お目当てとしていた国宝「金印」、そう、日本史の教科書のはじめの方に必ずでてくる「漢委奴国王」印、それに俵屋宗達の「風神雷神図屏風」が、期間中の入れ替えでこの日の展示には無かったこと。ぜひ実物を見たいところでしたが、まああまり欲をかいてはきっとバチがあたります。次の機会の楽しみということにしておきましょう。

青のシンフォニー

| コメント(0) | トラックバック(0)

 ふるさと吉野についてはこれまでも何回も書いてきたところですが、先週友人からお誘いいただき、また行ってまいりました。

 といっても今回は同郷の幼馴染というわけではなく、大阪の奈良県人会のイベントの遠足に、ゲストとして声をかけてもらったのです。こういう友人は大事にしないといけない。

 このお友達はずっと奈良県在住ですが、だんな様の職場が大阪ということで加入してはるんです。今回は、吉野山に行くというよりも、話題の観光特急「青のシンフォニー」を楽しむことがまずお目当ての企画です。近鉄の大阪阿部野橋駅から乗車し南大阪線、吉野線経由で終点吉野駅まで約1時間ちょっとの旅です。他のメンバーやわたしのように大阪在住なら問題ないのですが、お友達ご夫妻は奈良在住なんで、わざわざいったん阿倍野橋まで赴いたのち折り返して「青の...」に乗って吉野に向かうことになります。20171112_014212342_iOS.jpg

 思えば吉野出身のわたしにとって、吉野線とそれに続く近鉄南大阪線は、かつてもの心ついてから高校を卒業するまでどこかに出かけるためには必ず利用していたふるさとの路線です。車窓の風景はすべて記憶してます。自身の、路線のべ乗車距離ランキングがあったとしたら、新幹線をはるかにしのぎダントツトップでありましょう。

 赤字ローカル線でありながら、世界的観光地吉野山を抱えることから廃線にならずに存えている経緯についてもかつて書きました。それどころか近年、新型特急「さくらライナー」に続いてこの超豪華観光特急「青の...」が投入されるなど、なぜか近鉄鼻息が荒い。路線の活況で県南部の過疎化が鈍ればいうことありません。

 さて、青のシンフォニー、初めて見ました。近鉄が「しまかぜ」に続いて鳴り物入りでつくった観光特急です。わずか1編成、それも3両しかありません。従って乗車定員も少なく、今回のような企画ツアーでないとなかなかチケットが手に入らない。他の特急列車のように発車前に乗車駅で買うなんてまずムリです。阿倍野橋駅に着いて停車しているのを見つけたときは、純朴なテツ少年のように思わず駆け寄ってしまいましたよ。その瞬間を当の友人に激写されました。

 3両の両端が木のぬくもりを重視したゆったりサロンシートの車両で、真ん中がラウンジ車両になってて空いていれば誰でも一杯やったりお茶したりとくつろげるのです。「しまかぜ」のサロン席、グループ席同様、観光特急はこういうコンセプトの設備が充実してきました。2017-11-17.jpg

 ワイワイとお話しするうちに、あっという間に吉野駅とうちゃく。

 お食事の後、竹林院、金剛峰寺蔵王堂の2箇所を見学して帰路につきました。どちらも子供の頃から数え切れないほど訪れてる馴染み深いスポットです。記憶と違うのはやはり外国人観光客が増えてること。インバウンドで潤うの結構なことです。吉野山は年間の稼ぎの大部分を4月ひと月で叩き出しますが、四季それぞれに良さがあることも知ってほしいもんです。

 ところで気になることがありました。駅から山腹まで架設されてるロープウェーが止まってたのです。「吉野大峰ケーブル」という名の会社の運営ですが、ケーブルカーではなくロープウェイです。なんと現存する日本最古の索道路線として機械遺産にも指定されてるとかでつまりは、古い。で、今回それが点検で一時休止などではなく老朽化で完全にストップ「復旧の見込みなし」とか紙貼ってます。428日からといいますから、20171112_070413000_iOS.jpg今年の桜が終わってからずっと止まってるわけです。知らなんだわぁ。今回、一行はもともとバス利用の予定やったんで支障なかったけど、このバスもオフシーズンは週末のみの運行なので、平日は七曲りの急坂を歩いて登るしかなくアクセスがいちじるしく制限されます。吉野駅下りてから「聞いてへんがな〜」ということになります。これは由々しき事態であって、来春までに復旧してもらわんと世界遺産吉野が危機に瀕してしまいます。心配してたところ、帰ってネットで確認すると、休止は2月いっぱいとでてました。やれやれ。

 ともあれ、いいお天気で久しぶりに故郷の空気を吸い、慌ただしい日常から逃避しリフレッシュできた晩秋のいちにちでした。お誘いいただいたお友達には本当に感謝です。

正倉院展

| コメント(0) | トラックバック(0)

shosoin.jpg 正倉院展、みてきました。

 いうまでもなく奈良東大寺の正倉院所蔵のわが国最高超絶のお宝を公開する、奈良国立博物館の特別展です。毎年11月の初めに開催され、深まりゆく秋の風物詩になってます。

 お宝大好き、ミーハーの極みである私としては実に興味深いイベントです。毎年やっててタイミングが合えばちょくちょく行ってたのですが最近機会がなかった。今回は職場で招待券もらったこともあり、うちの奥さん帯同して行ってきましたよ。

 所蔵のお宝はそのほとんどが聖武天皇の時代といいますから8世紀半ば、由緒伝来や製作年代、使用年代の明らかなものが多く、その希少性のみならず学術的価値も空前のレベルなんやとか。

 正倉院展というからには、所蔵品のすべてを大公開するものと子供の頃には思ってましたが、もちろんそんなことはありません。お宝類は整理済のものだけでも9,000点以上あるとかで、全部を一堂に展示なんてとてもやないけど無理です。で、毎年少しずつ小出しにしてお披露目しているわけです。hituji.jpg

 ことしの目玉展示品は、羊木臈纈屏風(ひつじきろうけちのびょうぶ)というシロモノで、「樹木の下に動物を配したこの様式は、サーサーン朝ペルシアの聖樹禽獣紋から影響を受けている(wikipeより)」とかで、シルクロードの東の終点ともいわれる正倉院ならではの逸品です。

 ほかにも鏡や文箱、楽器、双六、ガラス器そしてさまざまな古文書など、なるほどこれは高値がつきそうやと思えるたくさんの宝物が展示されていました。

 しかし、いつもながらたいそうな人出です。小雨降るあいにくのお天気にもかかわらず連休中ということもあり大混雑となっています。会場に入るのに約200mの行列。入館制限しているのかと思いきやさにあらず、入場改札は粛々と進んでおり行列は少しずつ進んでいきます。約30分ののち入館したところ、館内は予想通りの壮絶な混雑です。展示ケースの前に何重にも人が張り付き、なかなか展示品が見えない。ケース内の上部に写真が貼ってあり、何が展示されているのかは知ることができますが、いかんせん人の頭ばっかりで実物がなかなか見えない。

 剣の写真が掲げられたケースで実物にたどり着いたら10cmくらいの小さいのんやったので、奥さん「やっぱり奈良時代には一寸法師がおったんや」

 とてもじっくりと満足いくまでというわけにはいかず、目玉商品以外は跳ばし跳ばしでチラ見しながら、人の波をかき分けて出口へと進みました。まあ、そこそこ楽しめました。

 ところで、9,000点以上のお宝のすべてが超絶希少価値というならば、そのうちのいったいいくつが国宝に指定されているのか、という話を以前テレビで観たことがあります。

 答えは「ゼロ」。宮内庁管理の文化財は文化財保護法による国宝、重要文化財等の指定の対象外で正倉院の宝物はすべこれにあたります。国宝や重要文化財の指定は、たぐいまれな日本の宝物を適正に管理して棄損、消失、流出を防ぐための制度であり、もともと「勅封」で皇室、宮内庁が厳正に管理している正倉院の宝物、いわゆる「御物」は、あえて国宝に指定する必要もないわけなのです。なるほど。

独立独歩

| コメント(0) | トラックバック(0)

 スペインのカタルニア州が独立するとかしないとか、したいとかさせないとかでもめてるそうです。州都バルセロナは1992年にオリンピックがあった大きな都市です。14歳の岩崎恭子が200m平泳ぎで金メダルとって「今まで生きてた中で一番幸せ」とのたまったところです。

Catalunya.jpg 最初、国民投票で独立賛成派が90%を占めたとか聞いたんで、そんなら独立したらええやんと素直に思ったところ、どうもそんなに単純な話でもないらしい。

 そもそも投票率が有権者の半分もなかったとかで、州民全体の過半数が独立を支持したものでもないと。独立反対派も大勢いて、先週、州都バルセロナでは反対派の大規模なデモが行われたとか。

 投票結果を受けて州の首相は独立宣言するのかと思いきや、スペイン政府に脅かされて独立するともしないともはっきり表明しないまま、ベルギーに逃げ出して亡命するんちゃうかという話です。なんという腰砕けの無責任。なら、初めからやめときゃええのに。

 国家が独立して国際社会に国として認められるためには、ある程度よその国に承認されることが必要です。フランスやドイツなど欧州の主たる国々やアメリカもスペインに気をつかって承認するつもりはないとかで、この点でもカタルニア独立は厳しそうです。

 思い出されるのはスコットランドが英国からの独立を目指して国民投票やったという一件で、あのときは、独立賛成が少なくて結局ことは成りませんでしたが、もし賛成多かったらすんなり独立認められそうな雰囲気がありました。スコットランドとカタルニア、いったい何が違うんでしょか。願わくばチェチェンやコソボのように、武力衝突から紛争に発展することなどないように。

 以前にヨーロッパ行ったときに、ベルギーは民族も言葉も違う2つの地域が連邦制で国を成していると知りました。カナダのフランス語圏であるケベック州もいっとき独立しよっかなんて動きがあったそうです。ちょっと意味合いが違うけど台湾は独立してたのにいつのまにか中国の一部にされちゃいました。megami.jpg

 国とは何かという話になります。こんにち国際法上では、「領域」「国民」「権力(政府)」が国家が成立する三要素とされています。大昔読んだ星新一のショートショートに「マイ国家」という作品がありました。ある男がマイ・ホーム、マイ・カーよろしく自分ちをマイ国家として独立を宣言する話です。狭いけどわが家という領土があり、ひとりやけど国民がいて、家ん中では自分が権力者として統治しているので、国としての要件を満たしているというわけです。オチは忘れましたが、今思えば星新一独自の手法で国家論を展開していたと言えます。

 まず起こりえないことですが、仮に日本で同じことが起こったらどうなるでしょうか。例えば基地問題に業を煮やした沖縄県がブチ切れて「独立したど」と宣言したら、おそらく中国はすぐさま国として承認するでしょう。かつての琉球王国の時代さながらに中国に朝貢せよというわけです。当然尖閣諸島は中国に割譲され、沖縄を属国と従えた共産中国は宿願の太平洋進出が実現し、地球を米国と二分する中華帝国主義の覇権が確立します。こんなことがあってはいけない。しかし、「あってはいけない」と考えるのは沖縄県民以外の日本人であって、当の沖縄の人たちがどう考えるかによって可能性としてはまったくゼロでもないところが面白い。

 そういえば星新一のS.S.は小中学校時代大好きでほぼすべて読み尽くしましたが、その後買い集めた文庫本を姪っ子にすべて譲渡したため近年は読む機会なく忘れてました。今回の独立騒ぎで思いだしたのを機に、また読んでみよかな。 

WELCOME

CALENDAR

PROFILE

IMG_0227_2.jpgのサムネール画像のサムネール画像

katsuhiko

男 

血はO型

奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

生まれてから約半世紀たちました。

お休みの日は、野山を歩くことがあります。

雨の日と夜中はクラシック音楽聴いてます。

カラオケはアニソンから軍歌まで1000曲以上歌えます

月別 アーカイブ