半月前に高原のゴルフ場で今年初めて気がついた金木犀の香りが都会へと降りてきて、大阪市内では今が盛りです。仕事終えて建物出た瞬間に、隣の公園から風に乗って届くかすかな芳香に気がつきます。今年は列島上空で夏と秋の大気がバトルしてて、暑い日涼しい日の波状攻撃がありましたがいよいよ秋本番、これからひと雨降るごとに季節が進んでいくことでしょう。
今日はセ・リーグのクライマックスシリーズ、ファーストステージの第2戦、甲子園球場に出かける予定なんですが、朝から雨模様で、はたして試合は行われるのかなんとも心配です。もし雨天順延なら、明日ナイトゲーム観戦となります。どっちでもいいけどやっぱりこの時期はお昼にゆっくりと観たいもんです。
さて、日本国では総選挙が告示され、津々浦々いつもながらの風景が続いてます。失策を繰り返すガタガタの野党相手に与党圧勝の構図は揺るがないので、選挙結果にあまり興味はありません。そこで、ちょっと違った観察してみます。
立候補者は誰であれこの選挙戦さえ勝ち抜けばめでたく代議士センセイとなり、議員任期の4年間(解散なければ)高収入のお仕事がいただけるわけで、いってみれば今必死で就職活動やってるようなもんです。ただし、立候補に際して300万円の供託金を預けなければなりません。そして有効得票数の十分の一以上獲得しないと全額を国に取り上げられてしまいます。本気で当選する自信のある人しか出ちゃダメよという、立候補の乱立を防ぐためのしくみです。
ひとたび当選して議員になると、高すぎると評判が悪い議員歳費(お給料)をたんまりもらえます。加えて政務活動費や秘書給与、その他多くの議員特権のおまけつきなのです。これは、ワンチャン狙って大バクチやってみる値打ちはあるというものです。しかし、多少でも勝算あるならいいけど、投票終わって新聞の得票結果みると「以下供託金没収」なんとも多いこと。なぜに勝ち目のない闘いに挑んだの?と思わずにはいられません。
ところでこの供託金制度、どうも高すぎるという誹りを受けています。アメリカやドイツ、フランスなど供託金なんか必要ない国も多く、またあったとしても日本円で数万円から数十万円までで、日本の300万円は突出して高い。政党に所属してる場合は党が肩代わりしてくれますが、そうでない場合はお金に余裕のある人しか議員選挙に立候補できないのです。
そこで、一部市民団体からは「これは議員資格を社会的身分、財産、収入などで差別することを禁止した日本国憲法第44条に違反する」というわけで、人権侵害申し立ての動きがあるとか。まあ、分からんでもない。
かといって、タダで立候補できるとなると、それこそわけの分からない連中が「お祭り記念立候補」でもってわれもわれもと寄ってきます。それはそれで困ると思うのですが、アメリカなんかはその点どうなってるんでしょ。
選挙運動のやり方も法律で細かく決まってます。買収して投票依頼するなんてのは論外ですが、例えば選挙用のポスターの枚数や貼る位置、期間などほんとに細かいところまできっちりと規制されてます。わたし子供の頃は、選挙ともなると街中ところかまわず大量のポスターがべたべたと貼られてたと記憶しています。民家の塀の端から端まで同じポスター何枚も並べて貼られてたのもありました。候補者が一軒ずつ個別に廻ってお願いするなんてのもいまではNGですよね。いつからこんなに厳しくなったのでしょうか。
選挙の規制が厳しくなる一方で、投票の方法は簡単になってきました。投票日に旅行してたりして投票所に行けない場合、昔は期日前投票の制度がなく不在者投票しかできませんでした。この場合、投票用紙を封筒に入れてその封筒に自分の名前書いて係の人に託すので、誰に投票したか他人にバレるおそれがあったのです。「じゃ、やめとこ。めんどくさいし」となります。それが今や期日前投票所に行けば、投票日とほぼ同じ環境で投票日と同じように投票することができます。
選管はこの便利になった期日前投票制度をもっと宣伝広報すべきです。いっそのこと法律変えて「投票日」という呼び方やめちゃって「投票期間」にして「この期間にいつでもどうぞ、また最終日は大サービス、投票所の数増やします」という言い方で広く周知すれば、手間と費用は今と同じで投票率が格段に上がると思うのですが、どうでしょうか。
ともあれ、しばらくは選挙カーが名前を連呼して行きすぎるやかましい日が続きます。候補者の職業選択の自由ということで就活は大いに結構やけど、国政に期待する有権者の思いも少しは酌んでくださいよ。少なくとも今度は不倫の狼藉や「ちがうだろー、このハゲッ!」で退場するようなみっともないことにはならないよう、どうかよろしくお願いしますよ。
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