ミサイルと学費支援

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 台風18号が九州に上陸、そのまま列島を縦断する最悪のコースをたどるとの予報です。そろそろ風が強くなってきました。今日は所用で田舎にでかけるつもりでしたが中止して様子をみることとします。

 さて、現在、わが国の高等学校は国公私立問わず授業料の一部または全部がタダになっています。正確にいうと、国公立は一部または全部を免除、私立の場合は学校に対して授業料相当額の補助金が出るので、生徒・保護者はそのぶん納めなくてもいい仕組みになってるのです。

 教育の機会均等の推進は、国民の教育を受ける権利という基本的人権の尊重を実現し、高度な教育を遍く助成することで科学技術の発展と社会の成熟、民度の高度化を促すことになります。現在、一部で大学の無償化が叫ばれていますが、必要となる桁違いの財源をどう確保するかが壁となって実現は極めて困難です。一方、高校の無償化は時間がかかりましたが、なんとか実現にこぎつけることができて大いによかったと思います。missile.jpg

 わが大阪府やとなりの京都府では、国のこの就学支援にさらに補助金を上乗せして手厚い援助を実現しています。将来ある若者が経済的理由で夢を諦めることがないようにという特段の配慮であって、税金の使い方としては高く評価できる珍しい事例やと思います。

 ところが、この授業料無償化をめぐってなんだかきな臭い話が聞こえてきました。

 無償化の対象となる学校には「各種学校となっている外国人学校のうち高等学校の課程に類する課程を置くもの」を含みます。日本人でなくとも日本で暮らすすべての人々を公平、平等に扱う理念に基づくものです。ここまではなんの問題もない。ところが、外国人学校には全国にあまたある朝鮮学校も含まれることから話がややこしくなってきた。

 国民感情として、「あの」北朝鮮の体制を支持するのみならずキム王朝を礼賛し、わが国を極限まで敵対視するような教育を行う学校に対して、なぜわれわれの税金を拠出しなければならないのか、というのは至極もっともな思いです。したがって文部省は朝鮮学校を無償化の対象から除外しています。ところが朝鮮学校側はこれが気に入らない。

 「差別するな、カネをよこせ」とあちこちで訴訟を起こしました。その判決が出始めてて、地裁レベルで判断が分かれているのです。広島地裁、東京地裁は原告敗訴。しかし、ひとり大阪地裁は原告勝訴、すなわち朝鮮学校も無償化対象として補助金を支給すべしという判断を示しました。musho.jpg

 感情のみで素直に考えるなら、補助金なんて出せるはずがない。しかし、わが国は法治国家です。韓国みたいに国民感情が法律の上位に位置づけられた国とは違います。国家におけるすべての決定や判断は、国家が定めた法律に基づいて行う必要があります。

 さて、そこでどう考えるべきか。論点いろいろありますが、大きくはふたつ。

 法律で「無償化しなさい」となってるのに、それを文部科学大臣が政令でもって特定の学校を対象外とできるかということ、その裁量の範囲が大きな論点となりました。次に、朝鮮学校と朝鮮総連の関係です。特定の団体の支配下にあれば、就学支援金が授業料に確実に充当されないなど「適正な学校運営」が行われないことから、そもそも指定要件に抵触して無償化の対象とはならないことになります。

 ひとつめの論点について、広島、東京は、今の国際情勢や、北朝鮮の過去の国家的犯罪などのむちゃくちゃぶり考えると大臣の政治的、外交的判断はあって当然で裁量の範囲内という立場。一方大阪は「教育の機会均等の確保とは無関係な外交的、政治的な判断」であって、大臣に許される裁量の範囲を超えているとしました。

 ふたつめについて、3つの地裁とも朝鮮学校は朝鮮総連の大きな影響下にあることを認めました。その上で広島、東京は、支援金が授業料に充てられず総連が横領・搾取する懸念があるから無償化対象から外してもOKとしました。ところが大阪は、総連の介入を「民族教育の維持発展を目的とした協力関係」とし、キム3代の独裁体制を評価することもまた「民族教育」の名のもとに許される、つまり、総連の支配があってもよいとしたのです。ワオ!。

 新聞の論調も、朝日、産経は社説で両極端の主張を叫ぶいつもながらの光景で、これはこれで安定感があって微笑ましい。

 私が思うに、無償化法の理念に沿えば、朝鮮学校の教育の内容がおよそ認めがたいおぞましいものであったとしてもその生徒らに教育の機会を保障することもまた必要、という理屈は理解できます。しかし、実質的に北朝鮮の前線基地である朝鮮総連の支配を受ける朝鮮学校に血税を差し出すことは、到底容認できません。大阪判決は、総連の関与をあまりに肯定的に捉えており違和感があります。総連の関与を正当化するために、結論ありきでこじつけた印象をぬぐえません。これは、多くの日本人が同じ思いではないでしょうか。

 さて、原告と国、どちらも譲りません。高裁、最高裁でどんな判決が出るのでしょうか。今日もわれわれの頭上を飛んでいく、かの国のミサイルは裁判に影響を与えるのでしょうか。推移を見守っていきたいと思います。

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