2016年12月アーカイブ
思えば、夏頃でしたか「コンサートのチケット転売禁止」について日本の音楽関係団体が新聞に意見広告を掲載したりHPを立ち上げたりのキャンペーンを行いました。アーティストや音楽団体の言い分は、コンサートのチケットを買い占めて高額で転売している業者やなんかがいて、それが原因でチケット欲しくても入手できないファンがいるということらしい。
これに対して先日、橋下徹氏が「価値があるものは高く売れて価値が低ければ安く買い叩かれる。資本主義の原理で転売行為そのものには問題はない。物価を一定に維持して行くのは社会主義、共産主義。転売行為がなぜ問題になるのかさっぱりわからない」と発言し、議論となっています。
わたしはどちらかというと橋下さんに賛成です。商取引は需要と供給のバランスで進んでいくものなんで、高額でも手に入れたいと思うファンがいるならそれが適正価額なのです。つまりコンサートの主催者が決めた定価がそもおかしいわけで、最初から最前列ン十万円ということにしておけば利ザヤが減って転売ヤーが介在する余地がなくなるのに、それをやらないで一律早い者勝ちで売っちゃうから、結果欲しくても入手できないファンがでることになるのです。
これに対して音楽団体は「単に資本主義の原則でチケットを売れば、多くの人気アーティストのライブは、金銭的余裕がある一部の人しか行けなくなってしまい、若者などは音楽から離れていき、ひいては音楽文化の衰退につながる」と反論します。また、転売ヤーがやってることはダフ屋とおんなじで犯罪である、という主張もよく聞きます。
ダフ屋は、主催者がファンのために安く提供するチケットを買い占めて転売することで、主催者にもファンにも迷惑をかけています。したがって都道府県の迷惑防止条例で禁止されてて違反すると逮捕されます。しかしこれは、迷惑かけるほどのスケールで自分が行く気もないのに転売目的で買占めたりしたりするからダメということであって、そうでない場合は法令には違反しません。ですから、ネットオークションでの高額転売や、梅田の地下街にたくさんあるチケット屋さんのショーケースに並んでるコンサートやプロ野球のチケットが迷惑条例違反で摘発されることはありません。
アーティストや興行主催業者にしたら、いくら高額で転売されても自分とこにはお金が入ってこないので、面白くないということでしょね。古書や中古レコードとおんなじなのですが、作家さんたちが、古書店あいてにして「古本の転売に反対します」なんて聞いたことありません。
チケット転売をいっさい禁止するとなると、もしその公演日に用事ができて行けなくなったときには出したお金は全くのムダになり、空席がひとつできてしまいます。また、転売チケットとわかった場合には入場させないケースも出てきてるとか。どうしても観たいから高いお金だして買ったのに、行ってみたら入れてもらえないとなったら、こっちの方がより「音楽文化の衰退につながる」と思うのですがどうでしょうか。
ちなみに私はくだんの「第九」、もし行けなくなっても転売したりしませんよ。誰か友人にでも進呈します。